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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 Flower 〜

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⑤.全てを手に入れる

邸宅へ連れてこられてから数時間後、リアーナは見知らぬ天井の部屋で目を覚ました。


『ここはどこ?!』


と思い思わず身体を起こすと、肩から足首まで薄手の白い布を何枚か重ねたワンピースを着せられ、足の部分には膝下まで切れ目(スリット)が入っている服を着せられていたことに気付いた。


その姿に驚いてベッドから下り、そばにあった全身を映す鏡の前に立って今の姿を確認すると、耳飾りに腕輪それから頭にもヘアバンドがあり、その全てが『金』を基調としたとても細かな細工を施した物だった。


「なによ、これ?!」


とリアーナは思わず叫ぶと、誰もいなかった部屋の中に使用人らしき女性がドアを開け中へと入ってきた。


「お目覚めでございますか?」


と言い、手慣れた手つきで空のコップに水を入れそれを盆に乗せたままリアーナの前に差し出してきた。


リアーナはここは何処なのか、なぜ自分は此処にいるのか、この服はいったいなんなのかなどと質問をした。


「私達、使用人共が着替えさせました。ご安心くださいませ」


と言ってそれ以上は何も答えなかった。


差し出したコップを受け取らないリアーナに使用人の女性は諦め、近くの棚にコップを置くと「必要なときにお呼びください」とだけ言い残し部屋を出ていった。


『なぜ何も答えないの?そうだ』


使用人から何も聞き出せなかったリアーナは、窓から外を見ればここがどこか分かるだろうと思い窓辺に立った。


だがそこには暗闇の中に野原が続いているだけで建物も何もなかった。


『何もない……、こうなったら、意地でもここから出てやる!』


そう意気込んだリアーナは部屋のドアを開け廊下へと出た。


すると数名の使用人が立っていたがリアーナは構わず走ってその間を通り抜けた。


慌てた使用人の女性がリアーナを捕まえようと追いかけ彼女の腕を掴んだがリアーナは掴んできた使用人の女性を払い除けた。


そうリアーナは体術を学んでいたのだ。


だが流石のリアーナにも限界があり、結局外へは出れずに捕まり部屋に戻されドアには鍵をかけられてしまった。


窓から出ることも考えたが夜に見知らぬ場所を彷徨うのはさすがに危険だと感じ諦めることにした。


リアーナはため息をつきながらベッドに腰かけ、奥の壁に背中を付けた。


『一人は怖い…。助けて…、レオ…』


リアーナはこれからどうなるのか不安になり、膝を抱えて頭を伏せた。


✦ * ✦ * ✦


翌日、ゲルトは使用人の男性から昨夜リアーナが部屋から出たと報告を受けていた。


「そうか、なら俺が見ていよう。ところでドリスの姿が見当たらないがどうした?」


使用人はドリスが先に帝国へ戻り、リアーナを迎える準備をすると言っていたと話した。


『やっと自分の立場をわきまえたか』


使用人の話を聞いたゲルトは微笑みながらそう思った。


機嫌の良くなったゲルとは「俺の妃に会いに行くか」と言って部屋を出た。


リアーナが目を開けると、いつの間にか眠ってしまっていたのかベッドに横向きになっていたことに気付いた。


すると「起きたのか?」と声を掛けられ、慌てて声のする方を見るとゲルトが椅子に腰掛けこちらを見ていた。


それを見たリアーナは驚いてベッドから身体を起こした。


「暴れるなよ、どうせ無駄だからな」


リアーナはベッドに座ったままゲルトを睨みながら聞いた。


「あなたが私をここに連れてきたのね」

「そうだ、お前を俺の側妃にする。もう少し経ったら出発するから、その前にこっち来て飯を食え」

「…側妃?」


リアーナはゲルトが何を言っているのか理解が出来ず、唖然としてしまった。


そんなリアーナにゲルトは自身の座っている向かいの席に来るようにと言い、リアーナは仕方なく立ち上がると歩きながら思った。


『私を側妃にするために無理矢理ここに連れてきたってこと?』


リアーナは椅子に着席すると、目の前に座るゲルトを冷ややかな目で見つめた。


「そう睨むな、昨日から何も食ってないだろ?簡単に食えるようサンドイッチを作らせた。何も入ってないから安心しろ」


だがリアーナはテーブルの上に用意されていたサンドイッチを取ろうとしなかった。


「意地を張るな。俺の国に行けばお前には何不自由ない贅沢な暮らしをさせてやる。だから食って体力をつけておけ、まだまだ移動に時間がかかるからな」

「私に選択肢はないってこと?」


すると何処か寂しげにそう話したリアーナにゲルトは喜んだ。


「そうだお前に選択肢はない。ただお前なら正妃にしてもいいと思ってる。俺は本気だ、それだけは分かってくれ」


なんとゲルトはリアーナを自身の正妃にしてもいいと言ってきたのだ。


どうやらゲルトは望むものを全て手に入れたい傲慢な性格なようだ。


「正妃って…」


それを聞いたリアーナは呆れたように呟くと、ゲルトは彼女のそばの窓辺に置いていた鉢植えを見ながら言った。


「それをお前にやる、その花は我が国原産の花だ。花が好きなんだろう?」

「どうしてそれを」


ゲルトはリアーナのことを調べつくし花が好きなことを知り『ストレリチア』という、まるで南国を思わせるような細長いオレンジ色の花を咲かせる花の鉢植えを用意していた。


「お前のことなら調べた、1番上の王子が婚約者だろ?」

「そこまで知ってるのね」


すると部屋のドアをノックし使用人の男性が中へと入ってきた。


「殿下、移動の準備が整いました」

「そうか、ならこれを包んでくれ。馬車の中で食べる」

「かしこまりました」


ゲルトはテーブルの上のサンドイッチを包むよう命令し、立ち上がると座っているリアーナのそばへと近寄った。


「来い」


そう言ってリアーナの腕を引っ張り立ち上がらせたが、彼女は「いやっ」と言って抵抗した。


しかしゲルトはお構いなしに引っ張り、部屋の外へとリアーナを連れ出した。


「いいから来い」


そう言って抵抗するリアーナの肩を抱き寄せて歩き、外へと連れていった。

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