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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 Flower 〜

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④.朝焼けの空

パーティーから1週間が過ぎた頃、リアーナは隣のクラスの『オーロラ』という名の子爵家の子女によく話しかけられていた。


彼女はここ数日、急に親しげに話しかけてくるようになっていたのだ。


リアーナは公爵令嬢という立場でありながら誰にでも平等に接する人柄から人気があり、レオンハルトもフィリップもそんなオーロラにたいし特に警戒はしていなかった。


ただパーティーでゲルト皇太子殿下と話をしていたのは目撃していたが、そのくらいはよくあることだと思っていた。


そんなある日、食堂でテーブルを囲み皆でお昼を食べていた時リアーナは隣に座るオーロラに不意に耳打ちされた。


「ここに来る途中とても珍しいお花が咲いているのを見つけましたの。よかったら一緒に見に行きませんか?皆には内緒で」と言われ、リアーナは「分かったわ」と返事を返した。


その後、レオンハルトとフィリップは食後すぐに食堂をあとにするリアーナが気になったが、何か用事でもあるんだろうと思い特には気にしていなかった。


だが共について行った人物だけは見ていた。


『あの女、さっきもリナに声かけてたな』とレオンハルトは入口から出ていった2人を見ながら思った。


そんなレオンハルトにフィリップも気付き、2人は無言で目を合わせたあとに再び入り口の方を見ていた。


そしてリアーナはオーロラに連れられ校舎の裏の人気のない場所に来ていた。


『どこまで行くのかしら』と思っていると、オーロラが振り返って言った。


「また会いましょう、リアーナさん」


と不敵に笑った彼女にリアーナは不思議に思った時、後ろから口と鼻に布があてがわれ薬のツンとした匂いを感じた瞬間リアーナは気を失った。


彼女はそのまま男に担がれ学校から姿を消した。


そんなリアーナの消えた方向を見ながらオーロラは思った。


『これであの人に会える、早く迎えに来て』


* ✦ * ✦ *


「何でもする」と言ったオーロラにゲルトは、リアーナを国に連れて行く手伝いをするようにと言った。


そうゲルトは初めからリアーナを憎んでいそうなオーロラが利用出来ると思い近付いていたのだ。


そして思い通りに動かすために彼女の気持ちを自分へ向けさせてそそのかした。


『自身の従者がリナを気に入っている、だから内緒で国に連れて行き驚かしたい、手伝ってくれれば必ず君を迎えに来る』


そう言ってこの計画を話しオーロラはゲルトの話を信じ従った。


少し考えれば公女を誘拐し国へ連れて行くことが変だと気付いたはずなのだが、オーロラは既に盲目的にゲルトを慕っていたため疑問にすら思わなかった。


むしろ自分ではなく先にリアーナを国へ連れて行こうとしてることに嫉妬さえしていた。


✦ * ✦ * ✦


リアーナを連れ邸宅へ戻ってきたゲルトは、驚愕するドリスをよそに客間の部屋のベッドに彼女を寝せ部屋を出ると、廊下で待っていた従者のドリスにゲルトは追及された。


「いったい何をお考えなのです?!彼女をどうするおつもりですか!」

「うるさい黙れ、こっちは寝ずに移動して疲れてんだ」


ゲルトはダルそうに頭をかきながら近くの自身の部屋へと入った。


「まさか彼女を国へ連れて行くおつもりですか?」


ゲルトと共に部屋へと入ったドリスは連れてきたリアーナをどうするのかと聞いた。


「そうだ、俺の妃にする」


全く悪びれる様子もなくゲルトは淡々とそう話した。


「まさかこの間ホテルに連れ込んでいた女性を利用したのですか?」

「よく分かったな、その通りだ。少し甘やかしたら何でもするっていうから、あとで迎えに来るって言って手伝わせた」

「ではあの方も側妃に?」

「何言ってる、俺があの程度の女を連れて行くわけないだろ。風呂に入ったあとの顔を見たか?化粧落としたら別人とか…、顔を見ずに抱くの大変だったんだぞ。こっちの身にもなれ」

「殿下、そのような言葉を使ってはなりません」


すると責めるドリスにゲルトは視線を合わせて言った。


「いいか、お前は俺の従者だ。主人である俺の行動を止められなかったお前にも責任がある。つまりお前は俺と同罪だってことだ。このことを誰かに話したらどうなるか分かるよな?分かったらさっさと出ていけ、俺は寝るからしばらく部屋には誰も入れるな」


そうゲルトに言われたドリスは何も言えなくなり、部屋をあとにした。


悔しさから唇を噛み締めながら思った。


『もう私はアナタについていけない。同罪だというのなら私にも考えがあります』


そしてすぐさまゲルトが寝ている今がチャンスだと思い行動に移した。


* ✦ * ✦ *


その頃、グレモニア王国の王都ではリアーナ公女がいないと騒ぎになり、ジークベルトの指示で兵が編成され王都の街中の捜索が行われていた。


リアーナがいなくなってから数時間が経ち、王子達は王宮の1つの部屋に集まっていた。


「くそっ、やっぱり俺も探しに行く!」

「ダメだ、犯人が見つかっていない以上、王子であるお前まで危険にさらすわけにはいかない」

「兄さんはリナが心配じゃないのか!」

「心配に決まってるだろう」


レオンハルトはリアーナを探しに行くと言ったがジークベルトがそれを止めていた。


そのそばでフィリップとカールハインツが何やら話し込んでいた。


「あのオーロラって人、パーティーに来てもいつも1人でいましたよね?」

「あぁ、僕もそれは気になっていた所なんだ」


リアーナがいなくなる直前オーロラという生徒と一緒だったことから、既に彼女には聞き取りが行われていた。


オーロラはリアーナと共に食堂を出たあとすぐに別れたためリアーナの行き先は分からないと話した。


その話が嘘だと証明するものもないため、それ以上追求することが出来なかった。


だがフィリップは彼女が嘘をついてるような気がしていた。


「帝国の皇太子と話していたのも、あの女ですよね?」

「そうだ、彼女はあの日ゲルト殿下と親しげに話していた」

「は?!じゃああの女が犯人なのか?」

「落ち着け、まだそうと決まったわけではない」

「だけどあの皇太子、明らかにリナを狙ってたじゃないか!」

「それだけじゃ何とも言えない、だいたいあの2人が繋がってるとは限らない」


そう話したジークベルトに皆が注目し、ゲルトとオーロラが何処かで繋がっていて、今回の事件が起きたのではという結論に至った。


そんな時だった、ドアをノックし執事の1人の男性が部屋の中へと入るとジークベルトの耳元で何やら呟いた。


すると話を聞いたジークベルトの顔色が変わり「分かった、すぐここに呼んでくれ」と指示を出し執事は部屋をあとにした。


「誰か来るのか?」とレオンハルトが聞くとジークベルトの発した言葉に皆は驚いた。


4人の前に現れたのは皇太子ゲルトの従者ドリスだった。


彼はゲルトの指示で仲間にリアーナを誘拐させ滞在している邸宅に連れてきたこと、そしてそのまま一緒に国へ連れて帰るつもりだということを話した。


それからオーロラという子爵令嬢が手引きしたらしいということも語った。


ジークベルトはその話を聞くと王宮にいる騎士と共に、リアーナがいるという国境付近に向かうことにした。


「私はその女性について調べます、カール手伝ってくれる?」

「分かった。父さんには僕の方から言っとくから兄さん達、気をつけて」


フィリップとカールハインツは残ってオーロラという人物について調べることにし、レオンハルトもジークベルトと共にリアーナの所へ向かうことにした。


ゲルトは自身で乗ってきた馬に跨り、ジークベルトとレオンハルトもそれぞれ馬に乗ると数十名の騎士と共に朝焼けの空の下を駆け出した。


『リナ待ってろ、今行くからな!』とレオンハルトは意気込んだ。

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