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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 Trust 〜

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4/12

④.精神支配

それから数日が経った頃リアーナが学園の廊下を歩いていると「お姉さん」と、また後ろから声をかけられた。


リアーナが後を振り返るとそこには青い制服を着た少年が立っていた。


「僕、中等部になったんだ。覚えてる?」そう聞かれたリアーナは戸惑いながら「えっえぇ、前に一度会ったわよね?」と答えた。


そう彼は以前もリアーナに話しかけてきた少年だった。


そして彼は自分は『デスノア・ディハイト』という名で闇魔法が得意だと話した。


「闇魔法?珍しいのね」

「お姉さんこそ光魔法でしょ?珍しいよね」


とデスノアは笑顔で言ったが、目が全く笑っていなくリアーナは怖さを感じた。


どうして自分が光魔法だと知っているのか疑問に思ったが、それよりもここを離れたいという気持ちの方が勝りリアーナは「急いでるから」と言い後ろを振り返ると早足にその場を去った。


よく前を見ずに角を曲がるとフィリップとぶつかってしまい、そのリアーナの慌てた様子に違和感を覚えたフィリップが「どうかしたの?」と聞いたが彼女は「何でもないの」と返事をし理由は言わなかった。


だがそれから毎日のようにデスノアはリアーナに声をかけてきた。


レオンハルト・フィリップ・モアラも最近リアーナが変な少年に声をかけられていることを知り、そんな彼女の様子から彼を遠ざけたいのだと察していた。


「あの子、可愛らしい感じじゃない。なのに苦手なの?」とモアラが言うように、リアーナ以外の人物には特に何も違和感がないようだ。


しかしリアーナにはそれがかえって怖かった。


『あの不気味な雰囲気がなぜ分からないの?』


と周囲のデスノアにたいする盲目的ともいえる好意的な視線が不思議で仕方なかった。


「そいつ自分は闇魔法だって言ったんだろ?」


ある夜、リアーナはレオンハルトの部屋を訪れデスノアの不気味さを説明した。


レオンハルトだけはリアーナの話を信じ、そして自分も彼には嫌な感じがすると答えた。


「うん、闇魔法なんだって」

「なら上位魔法が使えるんじゃないか?」

「上位魔法?それって…」


闇の上位魔法は『暗黒魔法』と言われる『精神支配』だった。


レオンハルトは皆がデスノアに好意的なことから精神支配の影響を受けているからではないかと考えた。


そして精神支配がかからないリアーナに声をかけてるのではと。


「かからないから話かけてくるの?」

「自分の魔法のかからないリナが気になるとかな」

「そんなことで…」


そう言って不安な顔をしたリアーナをレオンハルトは抱き寄せ「俺がいるから心配すんな、お前は俺が絶対に守る」と言った。


リアーナはその言葉だけで安心できた。


だがその日の深夜やはりデスノアのことが気になり眠れないリアーナは、隣で眠るレオンハルトを起こさないよう起きると静かに部屋を出ていった。


だがレオンハルトは既に目を覚まし部屋を出るリアーナに気付いていた。


『まったく、寝れねーなら俺に声かけりゃいいのに』


そう思い自分も起きようかと考えたが、あまり深追いするのもよくないと考えレオンハルトはまた眠りについた。


✦ * ✦ * ✦


翌朝レオンハルトが目を覚ますと、隣で寝ているはずのリアーナの姿がありません。


あれから帰ってこなかったのかと思いレオンハルトは少し心配になった。


『やっぱ追いかけるべきだったか?』と考えながら支度をすませ食堂へ向かったが、そこにもリアーナの姿はなかった。


その後にフィリップとモアラにリアーナのことを聞いたが「知らない」と言われ、レオンハルトは学園の中を探し回った。


すると長い廊下の先でリアーナの姿を見つけ「リナ!」と声を掛けながら駆け寄った。


近付いてきたレオンハルトと目を合わせたリアーナの顔は、どこか疲れた様子だった。


「どこ行ってた?何で部屋に戻って来なかったんだ?心配したぞ」とレオンハルトが言うと「ごめんなさい…」と弱々しくリアーナは答えた。


「どうした?顔色悪いぞ」と様子のおかしいリアーナにレオンハルトは触れようと手を伸ばすと、リアーナはとっさにその手から避け「何でもないから1人にして」と少し強い口調で話し廊下の先を歩いて行った。


『俺を避けた?』とレオンハルトは初めてリアーナに避けられたショックでその場に立ち尽くし、しばらくリアーナの消えた方向を見ていた。


その日の授業中レオンハルトはリアーナのことが気になり何度も目で追ったが、彼女は一切レオンハルトと目を合わせなかった。


授業後、足早に教室を出たリアーナをレオンハルトはすぐに追いかけた。


「リナ!」と何度か後ろから声を掛け、やっと立ち止まり振り返った彼女にレオンハルトは謝った。


「昨日リナが部屋を出た時、俺が起きてたの分かってたのか?なのに俺がお前を追いかけなかったから怒ってるんだろ?悪かった、俺が悪かったから、もう怒らないでくれ」


そう話したレオンハルトに「何で私が怒ってるって思うの?」とリアーナは冷たく返した。


「え?」自身に冷ややかな視線を向けるリアーナの態度にレオンハルトは戸惑った。


「俺があげた髪飾りしてないだろ?いつもつけてるのに」とレオンハルトは驚きながらも返事を返した。


そうリアーナは以前レオンハルトに買ってもらったピンクのリボンの髪飾りをいつも髪につけていたが、今日はその髪飾りをつけていなかったのだ。


「あ〜、あれね。飽きたの、だからつけなかった」飽きたという予想外の彼女の言葉にレオンハルトはとても困惑した。


そんな彼に「私は別に怒ってない。それからもう私に構わないで。レオの部屋にも行かないから。それじゃあ」とリアーナは続けると、また足早に去っていってしまった。


レオンハルトは何が何だか分からなかった。怒ってないと言うが自分にはもう構うな、部屋にも行かないと言った彼女が何を考えてそう話したのか、レオンハルトには理由がさっぱり分からなかった。


* ✦ * ✦ *


その後もレオンハルトはリアーナに避けられていた。


レオンハルトはめげずに何度もリアーナに話しかけたが、毎回嫌な顔をされリアーナは話を聞かずに立ち去る、それを繰り返していた。


フィリップとモアラもそんな現状に「リナにはもう近寄らない方がいい」とレオンハルトに言った。


どうやらフィリップとモアラにもリアーナは同じように冷たい態度のようだった。


「最近のリア、誰にでもあぁいう態度だから気にしなくていいよ」

「そうだ、振られたくらいで落ち込むなよ」

「まだ振られてない」


学園の生徒達は最近一緒にいないリアーナとレオンハルトは別れたと思っていた。


「まだってことは、そうなるかもしれないって思ってるんでしょ?」

「もう諦めろ、リアは新しく年下の男が出来たって噂だぞ」

「はぁ?!」


するとフィリップがリアーナには既に新しい男がいると話し、それを聞いたレオンハルトは「どういうことだ?!」と怒って隣にいたフィリップの襟を掴んだ。


「落ち着けって、ただの噂だ」


フィリップは襟元のレオンハルトの手をどかし、最近リアーナは中等部の方へ頻繁に行っていると聞いたと話した。


そこで以前声を掛けてきていたデスノアという男子生徒と一緒にいるのを見たと別の生徒が話ていたと続けた。


その話を聞いたレオンハルトはすぐに中等部の方へと向かった。


フィリップとモアラも様子を見に行こうと言ってレオンハルトの後を追った。


少ししてから立ち尽くすレオンハルトがいたため、フィリップとモアラがレオンハルトの見ていた方向を見ると、リアーナとデスノアが並んで一緒に歩いている後ろ姿があった。


「本当だったの?!」とモアラが驚いて呟くとレオンハルトが「リナ!」と後ろから声を掛けた。


振り返ったリアーナとデスノアに、レオンハルト達3人が近付いた。


「何でそいつと一緒にいるんだ?!」とレオンハルトが感情的に話し掛けると「あなたに関係ないでしょ」とリアーナは相変わらず冷たく返した。


するとデスノアが「リアーナ。ちゃんと話してあげないと、この人ずっと分からないんじゃない?可哀想だよ」と言った。


「分かりました、デスノア様」とリアーナが答え、レオンハルトは「どういうことだ?」とリアーナに問いた。


リアーナは学園を卒業後レオンハルトと精鋭部隊に入ると約束していたがそこには入らないと決め、ここにいるデスノアが今度新しく部隊を作るためそこに自分は入る。私は光魔法の上位魔法を使えるから幹部にしてくれると言われたと語った。


「そう彼女ほどの実力者なら僕の部隊に是非入れたいと思って誘ったんだ、僕の右腕としてね。報酬も弾むと約束したのさ」

「幹部?右腕?報酬?そんなんで簡単に受けたのかよ」

「そうよ、あなたからデスノア様に乗り換えたの。それだけよ、行きましょう」


とリアーナはデスノアに話しかけ、2人はレオンハルト達に背を向けて歩いて行った。


どうやらデスノアという少年の家はこの国の大貴族で、誰も逆らうことが出来ないほどの強大な権力を持っているとフィリップはレオンハルトに話した。


「どう足掻いても太刀打ち出来ないってわけだ。だから今度こそリアは諦めろ、レオン」

「リアがそんな人だったなんてね、信じられない」


フィリップとモアラは、レオンハルトにリアーナのことは諦めろと説得していた。


『何でどいつもこいつもリナを悪者みたいに言うんだ!絶対裏に何かあるに違いない!そうだ、あのデスノアとかいうやつ闇魔法だったよな?だったらリナも精神支配されたのかもしれない!』


と考え、レオンハルトはリアーナを信じていた。


そんな現状にフィリップとモアラは信じるだけ無断だとレオンハルトに何度も言ったが、彼は一心にただリアーナを信じていた。

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