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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 Diamond 〜

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34/78

⑦.生き残り

翌朝テントを片付け出発した聖騎士と魔法師の部隊は、森の麓の村へと程なくして辿り着いた。


そこには噂通りゾンビがたむろしていた。


どうやら村人は全員ゾンビとなってしまったようだ。


そしてその中には聖騎士の格好の者もいた。


先に偵察に森に派遣した者がゾンビになっていたことから恐らく生存者はいないという見解になり、部隊の者達に緊張が走った。


ゾンビになってしまった者を元に戻す方法がないため、せめてもの償いとして一思いに殺し楽にしてあげようということになった。


そこで部隊を分けこのまま村に残りゾンビを倒し埋葬する班と、森へ入り調査に向かう班の二手に別れた。


リアーナとレオンハルトとシオンはもちろん森へと向かう危険な方だ。


(馬はゾンビに怯え進むのを躊躇したため、魔法で結界を張り村の厩舎に預けた)


しかし森の中にもゾンビが複数うろうろと徘徊していた。


襲われないようゾンビを倒し麓の村へ運ぶため、徐々に同行していた者が減っていった。


すると森の中ほどまで来た辺りで建物を見つけ、恐らくここが噂の鬼ばばの住む家なのだろう。


数名になっていた聖騎士と魔法師は警戒態勢を取り家のドアを数回叩いた。


だが中から返事はなく、レオンハルトが扉を開け中を覗くと人の気配はなかった。


「人はいないようだな」


皆は警戒しつつ家の中に入り、怪しい物がないか確認することになった。


家の中は物が綺麗に整理され、一見なんの変哲もないように見える。


だが道中、複数のゾンビが徘徊していたことを考えると人が何事もなくこの森で生活していると考えるには、あまりにも不自然だった。


「どう考えたっておかしい、こんな所でまずまともな生活が出来るとは思えない」

「普通ならそうだよね。何かを隠そうとしてる?とか」

「そう考えるのが妥当だろうね」


3人はそう考え、もっと部屋の奥まで見る必要があると思った。


その後もくまなく家の中を捜索していると、壁の一部に僅かな隙間があることにリアーナが気付いた。


「ねぇ、壁ってこんなに隙間が空いてるものなの?」


その隙間は1〜2cm程だった。

そばにいたレオンハルトがその隙間の周辺を見渡すと、周囲には擦れたような形跡があった。


「この壁、動かせそうだな」


そう言ってどう動かすのかと考えていると、シオンが近くの壁に触れながら「こういう所にボタンがあったりするんじゃないの?」と言って、ペタペタと壁を触っているとどうやら本当にボタンがあったようで「ドスッ」という音とともに一部の壁が下に下がった。


すると下へと続く階段が現れたが先は真っ暗で何も見えなかった。


そこでリアーナが魔法で明かりを灯しレオンハルトを先頭に皆で階段を下りると部屋が現れた。


そこはまるで古びた実験室のような場所だった。


どうやらここで人体実験のようなことをしていたようだ。


『ここを調べればゾンビの出た理由が分かるかもしれない』


とレオンハルトが思った時、村に残った聖騎士が1人現れレオンハルトのそばに駆け寄った。


「村に生き残りがいました、どうやら隠れていたようです」


それを聞いたレオンハルトは一先ず皆で村へ戻ることにした。


道中レオンハルトはそばにいたリアーナを気遣った。


「リナ疲れてないか?こういうの慣れてないだろ?」

「まだ平気、ありがと」

「疲れたら言え、俺がおぶってやる」

「私をおぶってくれるの?」

「あぁ、リナだけな」


そう仲良く話す2人をそばで見ていた者達は、普段は見せないレオンハルトの優しい態度と口調に驚いていた。


村へと着くと1人の女性が聖騎士と魔法師の数人に囲まれていた。


どうやら彼女が村の生き残りらしい。


するとその女性は山を下りてきたレオンハルトを見るなり「レオン!」と言って走って駆け寄った。


皆が呆然としていると近くにいたシオンがさっと前に出て、その走ってきた女性を受け止めた。


「僕に何か用かな?」とシオンは女性に優しく声をかけた。


すると村人の女性は不思議な顔をしながら「あれ?」と言って、辺りを見渡し近くにいたレオンハルトを見つめた。


その女性は以前通っていた学校の同級生の『アルマ』だった。


リアーナとレオンハルトは女性の顔を見るなりアルマだと気付き、目を合わせてアイコンタクトした。


アルマは学生の頃と変わらない小柄でとても可愛らしい雰囲気だった。


そして彼女が卒業間際にレオンハルトと2人きりで話していた女性だった。


シオンは何かを察しているのか彼女を抱きとめたまま離さなかった。


「僕に用があったんでしょ?それとも僕じゃ嫌?」

「いえ、アナタが嫌なのではなく…」


とアルマは何かを言いたそうに呟いた。


「可愛いお嬢さん、どうしてここにいるのか教えてくれる?」


とシオンは女性の腕を両手で掴んだままこの村にいた経緯を聞いた。


すると女性は諦めたように話しはじめた。


彼女の祖父母がこの村に住んでいて王都でこの村にゾンビが出たとの噂を聞き、両親には行くなと言われたが、いてもたってもいられなくなり村へと来たが既に村はゾンビだらけだったため、どうしようもなくなり誰もいない祖父母宅に隠れていたと話した。


「この村にはどうやって来たの?王都から歩いたら遠いよね?」とシオンが尋ねると「ここには馬で来たけど逃げちゃったの」と彼女は答えた。


「隠れてたら皆んなが来てゾンビを倒してて、そしたらレオンがいたから…」と続けて話し、アルマはレオンハルトの方を見つめた。


「気安く呼ぶな、お前とは学校が同じだっただけでろくに話したことも無いだろ」


とレオンハルトは冷たくあしらい、なぜ急に仲が良かったと装うのか理解が出来なかった。


彼女はこの怖い場所で知り合いを見つけ、思わず助けを求めるために飛び出したんだと皆は思った。


それを聞いたシオンは同情しながら「それは怖かったね、僕がそばにいるからね」と言って慰めの言葉をかけた。


リアーナは一部始終を近くで見守りながら、学校では接点がなかったアルマがレオンハルトと親しくしていた記憶もなく、唯一あの時だけ話していたなと思い返していた。


きっとこの村に1人でいて心細くなり、知り合いだったレオンハルトを見て思わずすがろうとしたのかもしれないと思い、アルマのそばに近寄ろうとした。


だがそれに気付いたシオンは『リアーナ来ちゃダメだ、この子のそばには僕がいるから』と念話で伝えてきた。


リアーナはその理由が分からず戸惑いながら近くにいたレオンハルトの顔を見ると無言で頷かれた。


どうやら彼にも念話で近付くなとシオンは伝えていたようだ。


すると次の瞬間、灰色の靄が辺り一面に現れたかと思ったら森にまだ残っていたゾンビ達が雄叫びを上げながら一斉に村へと向かってきていた。


何が起きたのか皆は分からなかったが聖騎士と魔法師は、とりあえず共にゾンビを倒し始めた。


リアーナとレオンハルトも協力しながら戦い始めた。


ゾンビが現れて驚いたシオンがアルマを掴んでいた手を少し緩めた瞬間、アルマは「いや〜〜!!」と奇声を上げながら何処かへと走って逃げてしまい、シオンは慌てたようにアルマを追いかけた。


ゾンビは次々に村へと現れ、まるで聖騎士と魔法師を狙って襲っているように思えた。


そんな中ゾンビ達を倒している最中、急にレオンハルトが持っていた剣を鞘に納めフラフラしながら森の方へと歩いて行ってしまった。


様子のおかしいレオンハルトに気付いたリアーナが彼のあとを追って森へと入ると、レオンハルトは少し先に立ち止まっていた。


「レオ?どうしたの?」


とリアーナは前に行き彼の顔を覗くと、レオンハルトは目を閉じていた。


そしてまたフラフラと身体を揺らし始めたため、リアーナはレオンハルトの身体を掴み「しっかりして、レオ!」と叫んだ。


✦ * ✦ * ✦


レオンハルトはゾンビを斬っていると何故か急に目の前が薄暗くなった。


さっきまで沢山いたゾンビはどこにもいなく、遠くにリアーナの姿だけがあった。


とりあえず持っていた剣を腰の鞘にしまいリアーナのそばへ行くと、彼女は怒った表情で言った。


『どうして私を探しに来たの?ほっといてほしかったのに。あの時に私達はとっくに終わったの』


と言って顔がどんどん溶け始めた。


レオンハルトは驚いて顔が溶けていくリアーナの腕に触れると身体も溶け出していた。


『その手を離して』と言いリアーナは目の前のレオンハルトを強く押し、後ろに下がらせた。


レオンハルトが少し離れるとリアーナは『もう二度と私の前に現れないで』と言った。


レオンハルトはリアーナから拒絶されたことと、目の前でリアーナがドロドロに溶け醜くなっていくことのショックで言葉が出てこなかった。


その時どこからか「レオ!」と自身の名を呼ぶリアーナの声が聞こえた。


『そうだ、リナがこんなこと言うわけない!』


そう気付くと目の前の光景が砕け散った。


レオは気付くと地面に膝をついていた。


リアーナはレオンハルトを支えながら自分も地面に膝をつき「レオ!」と声を掛け続けていた。


するとレオンハルトが目を開けたので「気が付いた?」とリアーナが言うと、彼はそばにいたリアーナと目を合わせるなり思わず彼女を抱き締めた。


* ✦ * ✦ *


「どうしてこうなるのよ!」


とアルマは喚くと持っていた水晶を地面に叩き付けた。


その時、後ろから「カサッ」という音がし振り返るとそこにはシオンが立っていた。


「やっぱり、お前が鬼ばばか」


そう薄ら笑いを浮かべるシオンに鬼ばばと言われたアルマは「いったい何のことですか?」と言って、顔を横に傾けた。

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