③.謎の少年
午後からは魔法の授業になり演習場へと移動をした。
するとSクラスということで互いにどれほどの実力か知りたがってるようだと教師が言い、生徒同士で対戦することになった。
その話を聞くと早速レオンハルトとフィリップが前へと出た。
教師の合図で対戦が始まるとレオンハルトは腰に差していた剣を取り出し、青い炎を剣全体に纏わせた。
それを見たフィリップは「本当に上位魔法が使えたのか。だが私の魔法から避けれるかな?」と言って小さい剣のような形の風をあちこちに散らばせて作ると、それらをレオンハルトに向けて放った。
レオンハルトは持っていた剣を素早く左右に振り、自分に向かってきた『風の剣』を切り裂いて全てを消した。
自身の魔法を消されたことに驚くフィリップに「次は俺の番だ」と言いレオンハルトが青い大きな炎を放とうとすると教師が間に入りそれを消し止めた。
「これ以上は怪我じゃすまないよ」と教師が言うとレオンハルトは舌打ちをし、フィリップはただ突っ立ったまま驚いていた。
レオンハルトは炎の色を変えるだけでなく魔法の威力があり、剣の実力もあることを皆に見せつけた。
そしてリアーナの番になり前へと出ると目の前の女子生徒は「モアラ・ソラルド、魔法属性は地よ。あんたみたいな男にチヤホヤされてる女なんかに負けないから」と鋭い目つきで言ってきた。
それを聞いたリアーナはレオンハルトと一緒にいることで、そんなふうに思う人もいるんだなと思った。
「ありがとう教えてくれて、私は…」とリアーナも自己紹介をしようとしたが「いらない」と言ってモアラは自分の目の前に『土の盾』を作り身を隠した。
どうやらこれでリアーナからの攻撃を防ぐようだ。
『上位魔法はあの男だけでしょ?私の盾は頑丈だから、絶対に壊れ…』
とモアラが思った瞬間リアーナから放たれた光魔法で盾は粉々になり、屈んでいたモアラは粉々になった土の破片を被りあちこち怪我をしてしまった。
するとリアーナがすぐにモアラのそばへ駆けつけ「ごめんね。手加減したんだけど、土の盾とか初めて見たから加減が分からなくて、今治すからね」と慌てた様子で言いながら治癒魔法を施した。
リアーナの治癒魔法は傷はもちろん破れた制服や土を被って汚れたところまで、全て完璧に直した。
腰を抜かし座り込んでいるモアラに「立てる?」とリアーナは優しく声をかけ、肩を抱き寄せながら座っているモアラを立たせた。
すると少し遠くで見守っていた教師も駆けつけ「大丈夫か?」と声を掛けるとモアラは、はっとしたような表情になり「何でもないわよ、触らないで」と言い、リアーナから離れ1人クラスメイト達のいる方へと歩いて行った。
こうしてリアーナも丈夫な土の盾を破るほどの実力を持ち、上位の神聖魔法(治癒)まで使えると皆に知らしめた。
その時からリアーナとレオンハルトは上位魔法を使いこなすと学園中に噂が広まり、クラスメイトはもちろん他のクラスからも一目置かれる存在となった。
「何でお前らまで一緒にいるんだ」
それから数日後、食堂でランチを取ろうとしていたリアーナとレオンハルトの隣にはフィリップとモアラの姿があった。
2人はレオンハルトの実力を認め、そして綺麗で優しいリアーナに憧れを抱いていた。
つまりレオンハルトはライバルが増えたのである。
(※ちなみにモアラは入学試験で的の石にヒビを入れた。フィリップとモアラは上位魔法ではない)
「リアとレオンはどういう関係?」そうモアラに聞かれたリアーナは「幼なじみなの。ね?」とレオンハルトに同意を求めた。
「あぁ」
「ではそれ以上ではないんだな?」
「さぁ?それはどうだろな」
とフィリップに聞かれたレオンハルトが答え、するとレオンハルトとリアーナが見つめ合って微笑んだ。
それを見たフィリップとモアラは『この2人、出来てる』と心の中で思った。
それからはいつも4人で学園生活を過ごし実力もどんどん高めていった。
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数年後、中等部から高等部へと4人は進級し制服は青から紺色になりマントは腰の下までの長さになった。
そしてまもなく高等部の3年になろうという頃、リアーナは寮を出てすぐに急に後ろから「お姉さん」と言われ呼び止められた。
『私のこと?』と思いながら後ろを振り向くと初等部の格好をした少年が立っていた。
(※初等部は校舎と寮が別。制服は水色の半ズボンに白シャツ、マントはなく代わりにサスペンダー)
すると少年は「見つけた、お姉さん」と言うと、すぐに姿を消した。
姿を消す魔法があるため消えたことに違和感はなかったが、リアーナはなぜかとても不思議な感覚に陥った。
そのまま『今のは何だったんだろう』と突っ立ったまま考えていると、誰かの手が肩に置かれ「何してる?」と耳元で囁かれた。
リアーナが驚いて振り返るとそこにはレオンハルトが立っていた。
「ビックリした…」と言って驚いた様子のリアーナにレオンハルトは何かを感じたのか「何かあったか?」と聞いた。
リアーナは先程の少年のことを話し、それを聞いたレオンハルトは「気にすんな」と言い、どうせモテる彼女のことだから変な奴に目をつけられたんだろうと考えた。
「なんかあれば俺が追い払ってやる」と励まし、2人は教室へと向かった。
その後、無事に3年へと進級したリアーナ達4人は変わらず仲がよかった。
そしてリアーナとレオンハルトの仲もより親密になっていた。
少し前にリアーナは自身の気配を周囲から隠す魔法を覚え、それを使い時々レオンハルトの部屋に行っていた。
「やっと来たか、来るのが遅いぞ」
「ごめん。モアラに話しかけられちゃって、一緒にお風呂行ってた」
どうやらレオンハルトはリアーナが部屋に来るのを待っていたようですが、リアーナは部屋とは別の大浴場へモアラと共に行き部屋へ来るのが遅くなったようです。
「風呂なら、ここで入ればいいだろ」そう言いながらレオンハルトはリアーナに近付いて抱き締めた。
「いい匂いする」
「レオも石鹸の匂いする」
「遅いからさっき一人で入った」
そう少し拗ねたようにレオンハルトは言うと、抱き締めていた手を緩めリアーナの頬に手を添え「好きだ」と言って彼女に深く口付けた。
そのまま近くのベッドにゆっくり押し倒し上に覆い被さるとリアーナがレオンハルトの頬に手を伸ばし「私も好き」と言い、2人は再び深く口付け合った。
翌朝、リアーナは自分の部屋へ戻ろうと寝ているレオンハルトを起こさないよう背を向けて昨夜脱いだ服をベッドの端に座り着ていると、それに気付いたレオンハルトが起き後ろから彼女を抱き寄せた。
「帰んの?」
「うん、戻って制服に着替えないと」
「ならここに制服持っくればいいだろ」
「それもそうだね」
「こっち見ろ」
そう言ってレオンハルトの手がリアーナの顔の方へ伸び顎を持つと顔を横に向けさせ、親指で唇に触れると後ろから深く口付けリアーナの身体に触れた。
すると「ダ〜メ」と言いリアーナはレオンハルトの手をどかしベッドから立ち上がった。
だがすぐにレオンハルトが目の前の彼女の手を取り「少しくらいいいだろ」と声をかけ「レオの少しは全然少しじゃないからダメ」とリアーナは答えた。
2人はとても深く想い合っていた。まるで世界に2人しかいないかのように、お互いだけを一途に見ていた。




