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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 Diamond 〜

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②.真実の愛のキス

数年後、レオンハルトは騎士になっていた。


聖騎士団に入団すれば、いなくなったリアーナの情報を得られるかもしれないと思ったからだった。


(ちなみにドラゴンのパレジオンも聖騎士団に預ける形で置いている)


『あいつまた向こうに飛んでったな。何かあるのか?』


そんな中、パレジオンがたびたび1人で飛んでいく方角があった。


それが気になったレオンハルトは休暇を取り、その方向へと向かうことにした。


レオンハルトは自由に休暇を取れるほど、既に高い地位に就いていた。


何日かかけて辿り着いたさほど大きくないその街の通りで、たまたま花屋で明るく働くリアーナを見つける。


パレジオンはリアーナの様子を時々ここへ来て確認していたことをレオンハルトは知る。


2人は再会するが、リアーナはレオンハルトのことを全く分からなかった。


話がしたいと言われ悪い人には思えないレオンハルトをリアーナは仕事終わりの夕方、花屋の上の住居に招いた。


初対面で部屋に入れるなんて何を考えてるんだろうと、自分自身にリアーナは心の中で突っ込みながら2人ぶんのお茶を淹れ、テーブルの上に置くと向かい合わせで座った。


そこで自分が誰なのか何も分からないと話すリアーナが、レオンハルトには嘘をついているようには思えなかった。


自分を知りたいと話たリアーナにレオンハルトは自身の知る彼女のことを話して聞かせた。


そして自分達は恋人同士だったということも。


リアーナがいなくなった原因をそう思わせるような行動をしてしまった自分が悪いと言って謝った。


それを聞いたリアーナは「知らない話なのに胸が痛くて涙が止まらない」と言って、ポロポロと涙をこぼした。


レオンハルトは立ち上がりそんなリアーナの横に跪くと、両手でリアーナの片手を取り「記憶がなくても俺のそばにいてほしい、お前と離れたくないんだ」と話した。


頭では思い出せなくても、心は覚えているんだとレオンハルトは気付く。


だがリアーナは顔を横に振り「私はあなたの知ってる人じゃないです、だから一緒にはいられません」と言った。


「何でそう思うんだ?俺が嘘をついてると思えないから、涙が出たんじゃないのか?」


と言って、レオンハルトは片手を伸ばしリアーナの頬を伝う涙を拭った。


「自分でも分かりません。それに私は魔法が使えないんです。だからそんな凄い人のはずがないんです」

「魔法なんか使えなくていい、俺はただお前にそばにいてほしいんだ。ここで働きたいならそれでもいい、俺がこっちに来る」

「どうしてそこまで…」

「お前が好きだからだ、絶対に離したくない」


どこか寂しげにそう話したレオンハルトの顔を見たリアーナは胸が締め付けられそうになり『きっとこの人は消えた彼女を見つけるために、今まで必死に探してきたんだ』と思った。


そしてその人物が本当に自分なのか何も思い出せず、もっと分からなくなった。


するとレオンハルトはそれに気付いたのか「惑わせて悪い、泣かせるつもりもなかったんだ」と言い、座っているリアーナを抱き締めた。


それから2人はベッドの方に移動し隣同士に座ると、レオンハルトはリアーナを自身に抱き寄せ時々頰を流れる涙を拭い泣き止むまで待った。


「ごめんなさい、泣いちゃって」少ししてから落ち着いたリアーナはそばで見守っていたレオンハルトに謝った。


「そんなこと気にすんな。それより俺に触れられるのは嫌じゃないのか?」

「嫌ではないですけど、恥ずかしいです」


そう答えた彼女にレオンハルトはやはり記憶がなくても、リアーナはリアーナだと思った。


レオンハルトはいつからこの街にいたのかと聞き、リアーナはここから少し離れた宿で目を覚まし、その時点で自分が誰なのか何のためにいたのか何も分からなかったと、その後に宿の人にこの花屋を紹介され働いていたと答えた。


レオンハルトは自分とは違い明るく前向きで社交的なリアーナを、この街の人々は快く受け入れたのだと想像出来た。


「やっぱりお前は俺の知るリナだな」と、どこか嬉しそうに話たレオンハルトにリアーナはなぜか胸が高鳴った。


レオンハルトは抱き寄せている手と反対の手でリアーナの手を取り真っ直ぐに目を見つめた。


「お前のことが誰よりも好きだ。だから俺のそばにいてくれないか?」と改めて告白。


するとリアーナは照れたように目を逸らしながら「本当に私達、恋人だったんですか?」と聞いた。


リアーナはレオンハルトに触れられても何も違和感がなかった。


まるでそれが当たり前のようにも感じていた。


そしてレオンハルトも自分の記憶のないはずのリアーナが触れても拒まないことから、またあの頃のような2人に戻れる気がしていた。


「そうだ、俺の記憶がなくても構わない。少しずつでいいから俺を受け入れてくれないか?」

「…分かりました」


そう戸惑いながらもリアーナが答えると、レオンハルトは嬉しさと照れる彼女の可愛さで我慢が出来なくなり顎に手を添えると、触れるだけの優しいキスをした。


リアーナは急なことで何が起こったのかよく分からなかった。


そんな驚くリアーナをよそにレオンハルトは触れた唇を離すと目を合わせ優しく微笑んだ。


するとその瞬間リアーナの様子がおかしくなった。


目線を下に移しどこか遠くを見るような表情になると身体が傾き倒れそうになった。


レオンハルトは慌てて両手でリアーナの身体を支えた。


「どうしたんだ?!」そう言葉をかけられたリアーナはレオンハルトと目を合わせると、ふっと笑いかけ小さく「レオ」と呟くと目を閉じた。


* ✦ * ✦ *


数時間後、リアーナが目を覚ますと部屋のベッドで横になり、隣には椅子に座ったまま眠っているレオンハルトがいた。


どうやらあのあと意識を失ったリアーナをレオンハルトがベッドに寝せたようだ。


リアーナは寝ていた身体を起こし、眠ったままのレオンハルトの肩に触れ声をかけた。


「レオ、こんな所で寝ちゃだめだよ」


するとすぐにレオンハルトは目を開け、慌てた様子で身体を起こしていたリアーナに両手で触れた。


「起きたのか?大丈夫なのか?どこかおかしい所はないか?」と立て続けに聞いた。


リアーナは微笑みながら「大丈夫、平気。どこもおかしくない」と答え「心配かけてごめんね、レオ」と言った。


それを聞いたレオンハルトは「それならいいが、さっきも俺をレオって言ったが、まさか記憶が戻ったのか?思い出したのか?」と驚いた様子だ。


するとリアーナはそばにいるレオンハルトに手を伸ばし抱き締めて目を閉じて言った「うん、全部思い出したよ」


✦ * ✦ * ✦


リアーナは幼い頃、亡くなった母に同じ物語をよく読んでもらっていた。


それは過酷な運命を辿っていた少女がある日、王子様と出会い2人は恋に落ちるがそれを羨んだ者に邪魔をされてしまう。


しかし2人の絆は強く困難をあっという間に乗り越え、最後は真実の愛のキスで結ばれる。


という物語がリアーナは大好きだった。


その物語になぞりレオンハルトからの真実の愛のキスで自分の記憶が戻るよう施していたのだ。


でもそんなことを言うのは恥ずかしいので、レオンハルトのキスで全て思い出すようにしていたとリアーナは濁して話した。


「よかった、リナ」その話を聞いたレオンハルトは今度は自分からリアーナを抱き締めた。


2人は今も昔も変わらず、深く想い合っていたことにお互いに気付く。


「あの日リナを不安にさせて悪かった。話はあいつから全部聞いた」


レオンハルトは抱き締めていた手を緩めながらリアーナにそう話した。


「そうだったんだ、私もレオに確認せず逃げてごめん」


互いに悪かったことを謝り、今後何か思うとことがあれば必ず話し合おうと約束した。


「しばらく見ない間に男らしくなったね」と言ってリアーナは目の前のレオンハルトの頬に触れた。


するとレオンハルトも「リナもますます綺麗になった」と返し、2人は深く口づけ合った。


レオンハルトは身を乗り出しリアーナをベッドに押し倒すと上に覆いかぶさった。


その夜2人はまるで互いの存在を確かめるように愛し合った。


* ✦ * ✦ *


翌朝ベッドの横にある窓から差し込む光で目が覚めたリアーナは隣にいるレオンハルトに抱き寄せられた。


リアーナはレオンハルトの方を向くと「起きたのか?」と言われキスをされた。


2人は「おはよう」と言い合い再びキスをした。


するとレオンハルトがリアーナの頭を撫でながら「リナ、これからどうするんだ?」と聞いた。


「今日は遅番だから、まだゆっくり出来るよ」とリアーナは話し「違う、そうじゃない」と言ってレオンハルトは記憶を取り戻したリアーナにこのままこの街に残るのか、それとも郊外の家に帰るのか、もしくは自分と共に王都に行くのかと聞いた。


それを聞いたリアーナは「私はレオと一緒にいたい、だから王都に行く」と迷わず答えた。


「そう言うだろうと思った」そうレオンハルトは言い、嬉しそうに目の前のリアーナにキスをした。


「これから住むとこ探さないとね」

「それなら心配ない、俺の家に来ればいい」


レオンハルトは騎士団の拠点近くに家を借りリアーナがいつでも戻って来れるようにしていたと話した。


「準備よすぎない?」

「リナのためなら何でもしてやる」


そう言ってレオンハルトはリアーナに深く口付け、優しく身体に触れた。

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