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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 Le Lien 〜

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21/38

①.花の精

「なんでお前みたいなのが俺の婚約者なんだよ」


そう言い放った男の隣には勝ち誇った顔の女がいた。


「お前とは婚約破棄する、だがそれには理由が必要だ。悪いがお前には悪者になってもらう」

「…悪者ですか?」


男は目の前の女性にそう話し、隣にいる女の肩を抱き寄せた。


「そうだ、前もって知らせてやった俺の優しさに感謝しろよ」そう言うと男は目の前の女性に「ほら、さっさと帰れ」といった。


“自分から呼び出しておいて、それだけ言うと私に帰れって言ったのよ。酷いと思わない?今度のパーティーで皆の前で私を悪者にして婚約破棄するそうよ。婚約を解消するのはいいけれど、どうして私が悪者にならなければいけないのかしら”


と書かれた手紙を読んだ男性は手を震えさせ、怒りを湧き上がらせた。



________________



ここは『ヴラール王国』、そこに生を受けた『リアーナ』は王家と深い関わりを持つ『タンエル公爵家』の一人娘として生まれ幸せに暮らしていた。


そんな彼女の家族は時々、王都から離れた田舎の領地で暮らす祖父母に会いに行っていた。


祖父母は自然豊かなその領地をとても気に入っていたのだ。


ある日、領地に遊びに行ったリアーナは家族から離れ建物の裏にある小高い山に登り、1人で遊んでいた。(年齢は5歳)


頂上から少し下った所に窪みを発見し中を覗くと、そこにはクローバーが咲いていた。


その中をよく見ると四つ葉のものがあり、リアーナは短い手を伸ばし取ろうと頑張ったが足を滑らせ、ズルズルと下へ落ちてしまった。


リアーナは気付くと地べたにちょこんと座っていた。


すると目の前には見たことのない大きな建物があった。


どうやら自身の家とは反対側の方へ落ちてしまったようだ。


その大きな建物を『これからどうしよう』と考えながらリアーナはぼんやりと見つめていると、横から見知らぬ男の子が現れた。


彼は異様な物音に気付き音がしたところを探していたようだ。


すると葉っぱだらけの少女が家の裏にいたことに気付き、その場の状況から上から落ちてきたんだと思いとりあえず家の中に招き、彼女の身体に出来たかすり傷の手当をしてくれた。


男の子は『レオンハルト』という名でリアーナの話を聞くと、送ると言って馬車を用意し彼女の家までわざわざ見送ってくれ、リアーナの両親と祖父母はとても感謝した。


リアーナは王都に帰ってからもレオンハルトと手紙のやりとりをし、2人は何でも話せる友となった。


それからリアーナは田舎の領地に行くたびに、いつもレオンハルトに会いにいった。


レオンハルトもリアーナと会うのが凄く楽しみだった。


明るくて可愛いリアーナをレオンハルトはいつの間にか好きなっていた。


近くにある広い『コスモス畑』に、リアーナを連れて行ったこともあった。


秋晴れの空の下をピンクと白の一面のコスモスが咲き誇る中、リアーナはとてもキレイだと言ってはしゃぎながら喜んだ。


その光景はまるで『花の精』が舞い降りたかのようにレオンハルトの目には映った。


「また来るからね、手紙も書くからね」

「分かった、俺も手紙書くから、もう泣くな」


リアーナは王都に帰る時いつもレオンハルトと別れるのが寂しくて涙をこぼした。


レオンハルトはそんな彼女の頬伝う涙を、いつも指で優しく拭いなぐさめた。


小さくなっていくリアーナを乗せた馬車を見て、レオンハルトも毎回いつも切なかった。


会えない間2人は近況報告の手紙を頻繁に行い、そして2人が出会ってから5年の月日が経った。(2人は10歳)


するとリアーナの父が突然病に倒れた。


リアーナは “しばらくそっちに行けそうにない、でもレオに会いたい。またコスモスが見たい” と手紙を書いた。


レオンハルトも “リナの父がよくなって早くここへ来れるように、俺もリナに会いたい” と書き、そして押し花にしたピンク色のコスモスを封筒に入れリアーナに出した。


だがリアーナの父が亡くなった。


そして数ヶ月後リアーナの父は生前、自分が死んだらお前に俺の全てをやると友人に遺言を残していたことで、その『平民宰相』と国民から慕われていた独身の男とリアーナの母が再婚。


領地も全てその男のものになった。


だがリアーナの父が託すだけのことがあり、その人物はとても真面目で家族にも優しい人だった。


実は密かにリアーナの母を慕っていたことを父は分かっていたのだ。


リアーナの住む家は変わったが、暮らしぶりは今までと何も変わらなかった。


だが爵位のない男に嫁いだ母を他の貴族達はよく思わず、母は皆から仲間はずれにされるようになってしまった。


(夫が亡くなり数ヶ月で再婚したことも、本当は不倫してたんじゃないかと噂をされた)


それまで明るかった母は心を閉ざし家から出なくなった。


すると食事を取らなくなったことでみるみる衰弱し、あっという間に母も息を引き取った。(最初は軽い風邪だったが体力が落ちていたことでなかなか治らず、そのうちに肺炎になり重症化した)


リアーナは血の繋がらない父と2人きりになってしまったが、父はとても優しかった。


血の繋がりなど関係ないと言い、変わらずリアーナを愛してくれた。


そのお陰でリアーナは少しずつ心の平和を取り戻していった。


学校で友達が出来たとレオンハルトに手紙を書き、彼もリアーナから届く手紙から以前のような明るい彼女に戻ったなと感じていた。


そんな矢先のことだった。


リアーナが12歳になったある日、彼女は父に呼ばれ書斎へと向かうと父は渋い表情をしながらあることを伝えた。


その後リアーナは久しぶりに領地へと向かった。


レオンハルトに内緒で会いに行き驚かそうと思ったからだ。


だが家にレオンハルトの姿はなく、もしリアーナが来たら帝都の家に帰ったと伝えるように言われていたと使用人の男性は話した。


それを聞いたリアーナはその場で紙とペンを借り、レオンハルトへの手紙を書きそれを使用人の男性に渡し、祖父母宅で1泊したあと王都へと戻った。


手紙を受け取った使用人の男性はいつも通り、帝都にいるレオンハルトへ彼女の手紙を送った。


そうリアーナとレオンハルトは他国の人間だった。


2人の家の裏山を境に隣国になっていたのだ。


リアーナはレオンハルトに直接会って相談したいことがあった。


しかし彼に会うことが出来ず、1人で解決しなければいけないと思ったと手紙に書いた。


それを受け取ったレオンハルトは何の相談だったのか気になったが、“リナならきっと上手くいく、いい知らせを待ってる” と返事を書いた。


それからしばらくしてからリアーナは、“婚約をした” とレオンハルトに報告の手紙を出した。

今回はもう分かっちゃったかもしれませんが『ピンク』がテーマです(ꈍᴗꈍ)

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