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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 Sapphire 〜

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19/24

⑤.お披露目

数ヶ月後、18歳になったリアーナとレオンハルトは正式に婚約し、2人のお披露目を首都の城で行うことになった。


パーティーに招かれた貴族達は怪物王子と仮面王女と呼ばれる2人が一体どんな姿なのか興味津々だった。


王子であるレオンハルトは病弱のため一切表には出ず、隣国の王女であるリアーナは醜い顔を隠すため仮面を被っていると噂があり、会場に入った人々はその話で大いに盛り上がっていた。


そんな人々の声を聞きながら国王は王太子である息子ハンス(15歳)に小声で話しかけた。


「レオンは呪いで間もなく死ぬ、そしたらリアーナ嬢はお前の好きにしなさい」

「嫌ですよ、醜い女なんて僕興味ないです」

「今まで一度も顔を見せなかったからな、よほど醜い顔なんだろう」

「だったら父さんが責任とって側女にでもしたらいいじゃないですか」

「馬鹿を言うな、私も醜い女は嫌いだ」


まだ見ぬリアーナの姿を想像し国王と王太子ハンスは、笑いながら好き勝手なことを言っていた。


そんな時、後方から歓喜と悲鳴の混ざる声が聞こえた。


「ついにお出ましか。どれほど醜い女か見ものだな。いや今日も仮面を着けてるかもしれんな。レオンも相当やつれていることだろう」


そう言ってニヤつきながら国王は人々が両端に動いて道を譲っていくさまに注目した。


そして空いた真ん中の道を堂々と歩いてきたレオンハルトとリアーナの姿を見るなり、国王は固まって動けなくなった。


腕を組み時折見つめ合う2人の仲睦まじい姿は会場にいた誰もが予想していなかった光景だった。


異様な雰囲気漂う怪物王子と呼ばれるレオンハルトは全くそんな気配がなく、キリッとした目元が特徴の鼻筋の通った青年だった。


一方で醜い顔を隠していると噂の仮面王女は素顔をさらけ出し彼女も整った顔立ちで、胸には大きなサファイアのネックレスを着けていた。


ゆっくり歩いて近付いてきたレオンハルトとリアーナを見ながら国王と王太子ハンスは呆気にとられた。


『美しい…!ん?』その時、国王はリアーナの胸元で鮮やかに光る青い石が目に入った。


リアーナが着けていた青い宝石であるサファイアは遠い南東の国でしか産出しなく、中でも『ロイヤルブルーサファイア』は他のサファイアよりも特に貴重で高価な物だった。


レオンハルトの父は運よくその貴重なサファイアの原石を商人から買い、それを指輪に加工し妻へ贈ったのだ。


その希少で価値の高い指輪を国王は探していたが見つからなかった。


レオンハルトはそんな両親の想いの詰まった指輪を密かに隠し持っていたのだ。


顔色がとても良いレオンハルトに仮面を外した素顔が綺麗なリアーナ、そして胸には自身の探していたロイヤルブルーサファイアの宝石、思っていた状況とまるで違うことが国王はよほど気に食わなかったのか不満げな顔をして苛立った。


「父さん、レオンがいなくなったら僕が彼女をもらっていいんですよね?」

「知らん、好きにしろ」


王太子ハンスは一目でリアーナを気に入り自分のものにしたいと国王に話しかけたが、国王はふてくされた顔をしぶっきらぼうに返事をした。


レオンハルトはそんな対照的な2人に気付くと『ざまぁみろ』と心の中で思った。


2人が会場の中央にいた国王のそばへ行くと、国王は何処か不服そうな顔をしながらお祝いの言葉を述べた。


するとレオンハルトが国王に紹介したい人物がいると言って会場の入り口の方を見つめた。


皆が注目する中、入り口から現れたのはヨレヨレのローブを羽織ったやせ細った男だった。


彼は両手を縛られ騎士に先導されながら、片足を引きずって会場の中へとゆっくり入ってきた。


国王はそれを見るなり顔をしかめ「この喜ばしい日に、あんな汚らしいのを連れてくるな」と言った。


「見覚えないんですか?」とレオンハルトは国王に聞き、近くへとやってきたローブの男の顔を国王は少し屈みながら覗き込んだ。


すると国王は男の顔を見るなり後退りし、焦った様子でレオンハルトと目を合わせたが、すぐに逸らした。


「どうやら見覚えがあるようだな」とレオンハルトが言うと、国王はさらに焦った様子で「知らん!そんな奴は知らん!」と叫んだ。


✦ * ✦ * ✦


ザフィア王国ではかつて呪いの魔術を使う一族がいた。


しかし呪いの術を使うほど使用者にも大きな負担がかかり最悪死亡してしまうため、あまりにも危険だとされ今は禁術となっていた。


国王はそのことを知ると呪いの術を使える者を探し出し、一族の血を引いていた彼を城の一角に閉じ込めた。


彼の家族に危害を加えない代わりに、自分の思い通りに呪いの術を使わせていたのだ。


そのことをレオンハルトは会場にいる招待客(貴族)に説明し、両親と自分も国王によって呪いをかけられていたと語った。


ローブの男は今のレオンハルトの話しに嘘はないと言い、国王は数名の騎士によってその場で捕らえられた。


そしてレオンハルトはこの混乱を収めるため、自分が次の王になる覚悟があると宣言した。


すると貴族等は顔を見合わせ、王太子であるハンスではなく、前王の息子第一王子のレオンハルトが王になるのが妥当だろうという風に貴族らは言いあい、ここはレオンハルトの即位でいいだろうと会場の意見が一つにまとまろうとしていた時だった。


王太子のハンスが何かブツブツと呟きがらレオンハルトめがけて走り出したのだ。


リアーナはそれに気付くと急いでハンスの前に出た。


ハンスは突然目の前にリアーナが現れたことで驚いたが、とっさに手に持っていたものを反らした。


それは護身用の小さい剣だった。


どうやら自身の立場を脅かす存在となったレオンハルトに襲いかかろうとしたようだ。


だがリアーナが目の前に来たことで避けようとしたが間に合わず、彼女の腕に傷を負わせてしまった。


リアーナの腕から流れる赤い血を見たハンスは我に返ったのかその場に立ち尽くし、すぐに騎士によって取り押さえられた。


レオンハルトはすぐにリアーナの腕の傷を胸ポケットに挿していたハンカチで止血し、侍医を呼べと言いリアーナを抱き上げ退場する。


そんなレオンハルトの必死な姿を見た貴族達は、あれこそ王に相応しいのではないかと口々に言い合った。


「いや、あれでは貫禄がない。自分から駆け寄り止血するような王ではダメだ」

「それが普通ではないのか?お主は妻が怪我をしたら何もせずただ突っ立て見ているのか?違うだろ?あれこそ人間らしくて良いではないか」


そしてとっさにレオンハルトを庇う勇気のあるリアーナも凄いと、その場に残された者達は口にしていた。


だがまだまだ未熟なところがある2人を我々が支え合おうではないかと言い、今までにはない新しい風がこの国に吹こうとしていた。


レオンハルトは怪我の手当が終わったリアーナに「もうこんなことはしないでくれ」と頼んだ。


自身を庇ってリアーナが怪我を負うくらいなら、自分が怪我をした方がマシだと話した。


それを聞いたリアーナは「前にレオが私を守ってくれるって言ってたでしょ?」と答えながら胸に着けていたネックレスに触れた。


「だから私はレオを守る。ダメって言っても無駄だから」と真っ直ぐな瞳でリアーナは語った。


そんなリアーナにレオンハルトは照れ「そんなことを言うのはお前だけだ」と苦笑いしながらリアーナの手を取った。


「ところで、リナの魔法で怪我は治せないのか?」

「私の魔法は浄化魔法だから怪我には効かないの」

「そうなのか。便利なのか不便なのか分かんねぇな」

「本当にね」


リアーナの浄化魔法はその名の通り濁りや淀みを清め綺麗にする魔法で呪いや毒には抜群の効果を発揮するが、怪我には全く効かなかったのだ。



________________



後日、レオンハルトの即位が正式に決まったその夜、リアーナは彼にあることを言われていた。


「次はリナの番だ」

「私の番?」

「王太后に復讐したくはないか?俺を利用すればいい、お前のためなら何でもしてやる」


そのため次のルビニ王国の王に相応しいのは誰かを選んでおけと言われ、リアーナはどうするべきかと悩んだ。


* ✦ * ✦ *


ルビニ王国の王アランは、愚王と呼ばれていた。(リアーナの義理の兄)


自身の欲のためなら他人の気持ちなど全く関係なく、何でも常に自分優先だった。


とある臣下の妻が自分好みだったため別れさせ、城に住まわせて愛人にした。(愛人はアランより少し年上)


母である王太后は何度か息子のアランに自分が選んだ都合のいい娘をあてがおうとしたが、全て断られていた。


にも関わらず勝手に臣下の妻を城に住まわせ愛人にしたのだ。


どうせすぐに飽きて捨てるかと思えば気に入っているのかなかなか彼女を手放さない。


王太后はそれが食わなかった。


そのため彼女を城から追い出そうと嫌がらせをする。


アランは手に入れた彼女の身体を求めはするが他の時間は共有しない。


そんな愛人止まりの彼女に周囲は冷ややかな態度だった。


味方が1人もいない状態で頼りのアランに相談しても「耐えろ」と言われるだけ、彼女は愛人ゆえ自由に城を出ることも許されず徐々に精神を病んでいった。


そして城に来てから半年後に自決してしまうが、アランは何故こうなったのか理解が出来なかった。


望んだものを全て手に入れて育ってきたアランは、愛し方を知らなかったのだ。


彼女が生活する上で必要な物を用意してやれば、それでいいだろうと簡単に考えていた。


だが彼女は自ら命を絶ちもう二度と戻ってはこない。


その怒りをアランは周りに当たり散らすようになった。


王太后は止めに入ったが自身の言う事を全く聞くきのないアランに「お前が好き放題やるなら私もそうする」と告げ見放し、2人は絶縁状態となった。


そんな状況にどうするべきかと、ルビニ王国の貴族達は頭を悩ませていた。


✦ * ✦ * ✦


という内容の報告の書類を読み、国民のためにも交代することが正しいと思いリアーナはレオンハルトの提案を受け入れる。


その後リアーナのティーカップに毒を盛ったメイドの証言をもとに、ルビニ王国では裁判が行われた。


それらを知りながら何もしなかった王アランの責任として追及すると、あっけなく王太后とアラン側は負けてしまい2人は失脚、後日リアーナといとこの男性が即位した。


それら全てが落ち着いたあと、リアーナとレオンハルトの結婚式が行われた。


2人は互いに家族に恵まれなかったが、これからは民が理想とするような幸せな家庭を築いていこうと神に誓い合った。

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