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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 Sapphire 〜

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17/18

③.青い絨毯

あの舞踏会の日から半年が経過したが、リアーナの生活は何も変わっていなかった。


あの日レオンハルトは別れ際に「必ず迎えに来る」という言葉を残して去ったまま、何の音沙汰もなかったのだ。


2人は確かに惹かれ合っていると感じたのにと、リアーナは思いながら溜め息をついた。


その翌日、王宮の王太后のもとに隣国ザフィア王国からの手紙が届いた。


それは『怪物王子』と噂される第一王子であるレオンハルトからリアーナに向けての求婚状だった。


そこにはリアーナを自分の妃として是非我が国に迎え入れたいと書かれていた。


王太后は隣国の不気味なオーラ漂う怪物王子と呼ばれる者からの手紙を読み、仮面王女と呼ばれるリアーナととてもお似合いだと思いすぐに承諾の返事を書いた。


その数週間後、ザフィア王国から来た迎えの馬車に仮面を被ったリアーナは1人で乗り込んだ。


その際、使用人数名の見送りと僅かな荷物、共も誰もいない王女であるリアーナに今回彼女の護衛を任された騎士の青年は驚いた様子だった。


しばらく馬車に揺られ国境を越えると割とすぐに「本日はこちらに一泊いたします」と言われ馬車はとある場所で停車した。


『まだ日も出てるのに?』と不思議に思いながらリアーナが馬車を降りると、なんと目の前にはレオンハルトが立っていた。


リアーナはレオンハルトの前まで行くと「やっぱりレオだったのね、まさか王子様だったなんて」と言い、「黙ってて悪かった、リナを迎えに来たぞ」とレオンハルトは答えた。


* ✦ * ✦ *


数週間前リアーナの部屋に突然やってきた王太后から隣国の王子から求婚状が届きすぐに承諾書を送ったことを聞かされたリアーナは、始め驚いた様子だったが相手の名前を聞くなり何かに気付いたのか少し微笑みながら了承した。


そんな落ち着いて返事を返したリアーナが王太后には不思議に思えた。


『ここを出られるからかしら?まぁいいわ、どうせ邪魔だったから追い出せて丁度いい』と思い王太后はリアーナの部屋をあとにした。


✦ * ✦ * ✦


レオンハルトは馬車を降り自身に近付いてきたリアーナの手を取ると何処かに向かって歩き出した。


「どこに行くの?」

「こっちだ」


レオンハルトに案内されて向かった先には、一面の青い花の絨毯が広がっていた。(花はネモフィラ)


「これをリナに見せようと思った」そうレオンハルトは話しながら真っ直ぐの一本道を、リアーナの手を引いて歩いた。


リアーナは着けていた仮面を外し、左右に広がる青い花を見ながら綺麗だと言って喜んだ。


少し小高い丘の上へと来ると事前に用意していたのか四角い布が敷いてあり、2人は布の上に並んで隣同士に座った。


するとレオンハルトはこれまで歩んできた自身の生い立ちをリアーナに話した。


舞踏会のあと国へと帰り呪いがかかったままだと思っている国王に、そのままかかったふりをしながらリアーナを妃に迎えたいと話し了解を得ると、諸々の手続きや準備をしていて遅くなったと言った。


それを聞いたリアーナは「自分でかけた呪いが解けたことを国王は知らないってこと?」と聞いた。


「そうだが?」とレオンハルトが答えると、リアーナは顎に手を添え考える素振りをしながら話した。


「だとすると、レオに呪いをかけたのは別の人なんじゃないかしら」


以前、書庫で毒や呪いについての文献を読んだ際、術者は呪いをかけた相手が今どんな状態なのか把握出来ると書いてあったと語った。


「つまり俺の呪いが解呪されたことをアイツが知らないとおかしいってことか」

「そう、もしかしたら解けたのを分かってるけど知らないフリをしてるとか?」

「いや、そんな器用な奴には思えない」


レオンハルトはリアーナに教えてくれた礼を言い、それから母方の親戚に連絡を取り自身の味方につけリアーナを迎えに行かせた護衛もレオンハルトの従兄いとこだと話した。


「俺に似てなかったろ?」

「そういえばそうだったかも」

「俺は父親似なんだ」


そしてレオンハルトはこれから国王から、王位を奪うつもりだとリアーナに話した。


「反逆するの?」

「そのつもりだ。だからリナに迷惑かけるかも知れない。何より俺との結婚が嫌なら言って欲しい。王宮を出れたんだ、お前はこれから自由に生きていい」


リアーナはその言葉を聞き、『普通ならここで、怖い巻き込まれたくないって言って離れるんだろうな』と思った。


そうリアーナの心はここへ来た時点で既に決まっていたのだ。


「私はレオのそばにいる。どんな事があっても離れない」


そう真っ直ぐな眼差しで言ってきたリアーナにレオンハルトは思わず頬を赤らめて照れた。


その照れた顔を隠そうと下を向き近くにあったリアーナの手を取ると、顔を上に向けまた目を合わせた。


「リナのことは俺が必ず守る。先に言われたが、ずっとそばにいて欲しい。だから一緒になろう」とレオンハルトはプロポーズした。


それを聞いたリアーナは「はい、よろしくお願いします」と恥じらいながら微笑み返事を返した。


その恥じらう顔がレオンハルトにはとても可愛く思えた。


するとすぐに座っていた布の端をめくり、レオンハルトが箱を取り出した。


「断られたら困るから隠してた」と言い取り出した箱の蓋を開けてリアーナの前に差し出した。


箱の中には大きな『ロイヤルブルーサファイア』のネックレスが入っていた。


このサファイアは他のサファイアに比べ青味が濃くそして輝きも強かった。


「リナにやる、これは父さんが母さんに渡した婚約指輪を加工して作ってもらった」


リアーナは箱を受け取りながらお礼を言い、そしてあることに気付いた。


「これ、レオの目と同じ色?」

「あぁ、偶然だけどな」


渡されたサファイアのネックレスの色とレオンハルトの瞳の色は同じ濃い青だった。


「レオの瞳と同じ色なんて嬉しい!」と言い、リアーナはとても喜んだ。


「そんなんで嬉しいのかよ」

「凄く嬉しい。何だか泣きそう」


青い空の下で、青い花(ネモフィラ)の咲く中で、青い瞳をした人に見つめられ、青い石のネックレスを贈られたリアーナは感動で胸が詰まった。


『とても素敵な場所で好きな人からプロポーズされて、こんな綺麗な宝石のネックレスをもらえるなんて、一生忘れられない思い出だよ』とリアーナは心の中で思い、大切な記憶として何時までも覚えておこうと思った。


「リナ、どうした?」何かを考えるように黙ったリアーナの頬にレオンハルトは手を伸ばし「何でもないよ」と答えた唇に彼はキスをした。


少し経ってから2人は来た道を歩いて戻っていると、レオンハルトが「しばらくの間は仮面つけててくれ、すぐに外してもいい環境作るから」と申し訳なさそうに話した。


「気にしないで、慣れてるから」と言いリアーナは持っていた仮面を被った。


その日はそのまま近くの領地の屋敷に泊まることになった。


リアーナは与えられた部屋に入り大きな部屋だなと思いながら辺りを見渡していると、なぜか入口とは別の奥の扉が開きレオンハルトが部屋の中へと入ってきたのだ。


リアーナが驚いて立ち尽くしているとレオンハルトが近付き「いつまでそんなのつけてる」と言ってリアーナの被っていた仮面を外し近くのテーブルの上に置いた。


「もしかして部屋繋がってるの?」

「そうだ、だからここにした」


どうやらこの部屋は隣のレオンハルトの部屋と扉1つで繋がっているようだ。


「それなら部屋分けなくていいんじゃない?」

「何だ?一緒がいいのか?」

「そうじゃなくて」


するとレオンハルトは目の前のリアーナを抱き締めた。


「分かってる、俺がこうしたいからした。リナと少しでも一緒にいたかった」


それを聞いたリアーナはレオンハルトを抱きしめ返した。


「私もレオに会いたかった、迎えに来てくれるのを待ってた」

「持たせて悪かった、これからはずっと一緒だ」


そう話したレオンハルトは抱き締めていた手を緩め、リアーナに深く口付けた。


すると唇を離してすぐにリアーナが「何だか懐かしい感じがした。レオといると昔から知り合いだったみたいに思える」と話し、「俺も不思議と違和感ない。リナといるのが当たり前な気がする」そう言い合った2人は微笑みながらオデコをくっつけた。


その後、共に夕食を取りリアーナがバスルームで湯船に浸かっていると、自分も一緒に入ると言って湯船の中でリアーナは後ろからレオンハルトに抱きすくめられた。


「私達まだ会って3回目だよ?」

「いいだろ結婚するんだから。俺達は昔からの知り合いみたいだって言ったろ?」

「言ったけど、恥ずかしいよ」


2人は初めから気兼ねなく会話ができ自然と距離を縮めることが出来た。


バスルームから出るとレオンハルトはリアーナをベッドへ誘導し「愛してる」と言って唇を重ねながら2人は交わった。


レオンハルトはリアーナが愛おしくてたまらなかった。


何度も「可愛い」と言って身体のあちこちにキスをした。


しばらく経ってからリアーナはベッドの中でレオンハルトに腕枕されていた。


「身体はどうだ?こればっかりは慣れるまで時間かかるからな」

「うん、まだ慣れない」

「そうか、毎日やりゃそのうち慣れる」

「これから毎日するの?」

「する、だがリナが嫌ならしない」


そう流れるように当たり前に話すレオンハルトにリアーナは少しだけ不安になった。


「もしかして、こういうことに慣れてるの?」


するとレオンハルトは嬉しそうに微笑んで不安げに聞いてきたリアーナに言った。


「俺に妬いてくれるのか?安心しろ、慣れてもねぇし、リナが全部初めてだ」

「それが本当なら嬉しいけど」

「本当だ、俺が今までどんな生活してきたか話したろ?」

「分かった、レオの言葉を信じる」

「俺にはリナだけだ、他には何もないし何もいらない」

「私にもレオだけだよ」


その夜2人は抱き合いながら眠りについた。

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