⑥.誕生石
レオンハルトはリアーナの指に結婚指輪をはめたあと、持っていたネックレスの先を見ながら「これは何だ?」とリアーナに聞いた。
そこには四角い小ぶりの水色の石があった。
「その石はターコイズ。そのネックレスは父様の物なの。母様からプレゼントしてもらった大切な物だからって言われて、戦に行く前に渡されたの」
「そうだったのか」
「父様はきっと死を覚悟してたんだと思う」
「だろうな、だからリナに託したんだろうな」
するとリアーナは左手を出し薬指に着けた指輪に触れた。
「結婚指輪の石、お互いの誕生石を相手のに入れたでしょ?これは、そのネックレスからヒントを得たの」
リアーナの母は12月生まれで自身の誕生石であるターコイズをネックレスにしリアーナの父の誕生日プレゼントとして渡した。
そのことを知ったリアーナは、12月のもう1つの誕生石であるタンザナイトをレオンハルトの指輪に入れたのだと話した。
「なら、この石はリナの誕生石でもあるんだな?」
「そうだよ」
するとレオンハルトは何かを思いついたような顔をしながらリアーナに言った。
「リナ、お前に頼みがある。このネックレス俺にくれないか?かわりの物を用意するから」
「どうして?ターコイズなら、いくらでも手に入るよ?」
「いや、これがいい。リナの両親とお前の思いが詰まってるからな。見た目もカッコいいし」
「そんな物を欲しがるなんて、レオは変わってるね。いいよ、あげる」
「ありがとう」
とレオンハルトはお礼を言い、早速持っていたネックレスを首にかけた。
「凄く似合う!最初からレオの物だったみたいに似合ってる」
リアーナの父のターコイズのネックレスを着けたレオンハルトは、まるで彼のために作られたのかと思うほどとてもよく似合っていた。
するとレオンハルトは目の前のリアーナを抱き締めた。
『これから先なにがあっても、俺がリナを必ず守る。このネックレスはその誓いを違えないための戒めだ』そう心の中で改めてレオンハルトは誓い、抱き締めていた手を緩めると彼女の目を見つめた。
「お前に触れたい、ダメか?」
「いいけど、まだお昼だよ?」
するとその言葉を聞いた途端レオンハルトはリアーナを抱きかかえてソファーから立ち上がり、大きなベッドへと向かうと真ん中にゆっくりと下ろし「関係ねぇよ」と言って自分もベッドの上に座りリアーナの服を脱がせ、そして自身の着ていた服も脱いだ。
すると以前は綺麗だったはずのレオンハルトの身体には見たこともない無数の傷跡があちこちにあった。
リアーナは胸元にある傷跡に指で触れながら「大変だったんだね」と悲しげに言い「私のために、ありがとう。だけどもう無理はしないで、お願い」とレオンハルトの目を見て言った。
「お前がそう言うならもうしない、だからそばにいてくれ」
「うん、もう離れない」
するとリアーナはレオンハルトの胸元の傷跡に自身の唇を置き、そばに手を添えながら目を閉じた。
『レオが負ったこの傷が少しでも癒えるように、私がこれから支えるから』と心の中で思った。
「リナ、何してんだ」とレオンハルトが声を掛けると、リアーナは胸元から顔を離し目の前の彼と目を合わせ「前より筋肉が増えて格好よくなったなと思って」と言った。
そう言われたレオンハルトは照れたのを隠すようにリアーナに深く口付けながら後ろのベッドに押し倒した。
「久しぶりだし、足も痛いだろうから手加減するからな」と言ってレオンハルトはリアーナの身体に優しく触れ舌を這わせた。
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レオンハルトは幼い頃からこの国の王太子として教育されて育ってきた。
どうせ愛してもいない女と国のために結婚させられる既に自分の人生は決まったも同然、未来から過去へと流れていく時の中を1人なんの光も希望もないまま、ただ前へと歩んで行くだけだと思っていた。
だがその考えはリアーナと出会ったことで大きく覆される。
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レオンハルトは自身の上に跨ってよがるリアーナを見上げ『可愛いな。俺を信じてなかった時はないと言ったあの言葉に、きっと嘘はないだろう。何故ならリナは誰よりも純粋で素直だから。俺もそんなお前なら信じられる。リナは俺にとって神だな。今まで神なんて信じてなかったが、もしリナが神だというのなら喜んで俺の全てを差し出せる』と思い、身体を起こして目の前のリアーナを抱き締めた。
「愛してる、リナだけを愛してる」とレオンハルトが言うと「うん、私もレオだけを愛してる」そうリアーナも返し、彼は抱き締めていた手を緩め2人見つめ合ったあとに深く口付けた。
その後、疲れて自身に寄りかかったリアーナをレオンハルトはベッドに寝せ、曲げていた足を伸ばし布団を身体にかけ自分も隣に横になって寄り添った。
「足は大丈夫か?」
「大丈夫、平気」
そう答えたリアーナの頭をレオンハルトは優しく撫でオデコにキスをした。
レオンハルトはリアーナの足の怪我が回復するまでの間、積極的に看病をした。
2人に仕えている者達はそんな優しいレオンハルトに驚いていた。
そして以前のような仲睦まじい2人の姿を見せられ、とても微笑ましく思った。
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リアーナの足がすっかり治ったそんなある日、王妃がリアーナ達の部屋を訪れ王妃とリアーナは向かい合って談笑していた。
「あの子ったらいきなり俺の誕生石を教えてくれなんて言ってきてね、その宝石をネックレスにしてリナにあげるって騒いで、リナは花柄が似合うだとかって注文がうるさくて、もう大変だったのよ」
そう話す王妃の目の前に座るリアーナの胸元には、大きな花柄のカーネリアンのネックレスが輝いていた。
それはレオンハルトのもう一つの誕生石だった。
それを母である王妃にレオンハルトは用意するように頼んだのだ。
「リアちゃん、今更だけど本当にあの子でいいの?毎日なんやかんや言ってきて、うるさくはない?我が子ながら本当に面倒な男だと思うわ」
「誰が面倒だよ」
するとレオンハルトが部屋に戻りそう言いながらリアーナの隣りに座り彼女の手を取った。
仲よさげに手を取り合い見つめ合う2人を目の前にし王妃は杞憂だったなと思った。
リアーナとレオンハルトのあの幸福だった日々が蘇った。
愛と光で溢れた2人のオーラは以前よりも一層に輝き、2人を温かく包んでいた。
(ちなみにリアーナの住んでいた山の家は、時々2人でお忍びで行くために壊さず残されていた)




