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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 Passion 〜

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12/22

⑤.リアーナの気持ち

しばらくしてからリアーナが目を開けると、そこは自分とレオンハルトが2人で使っていた部屋の天井だった。


あのあと城に連れてこられたんだと悟り、横に目を移すとレオンハルトの顔が心配そうにこちらを見ていた。


目が合うと「目、覚めたか?」と話しかけられ、リアーナは寝ていたベッドから身体を起こした。


レオンハルトは彼女を片手で支えて起こしたあとに「せめて足が治るまでは、ここにいてくれ」とお願いをした。


そんな悲痛な面持ちの顔のレオンハルトを見たリアーナは諦めたように言った。


「分かった。どうせ隙を見て帰っても、また連れて来られそうだし」とリアーナは答えた。


それを聞いたレオンハルトは安堵したように「よかった」と話した。


「足の腫れは捻挫だそうだ。安静にしてれば数週間で治るが、しばらくは痛いだろうって。服はメイドが着替えさせた、汚れてたからな」

「そう」

「お前を襲った男なら捕まえたから安心しろ、頭に怪我してたからすぐ見つけられた」


と話すレオンハルトのそばでリアーナは胸元を触り、何かを確認し始めた。


それを見たレオンハルトはポケットから指輪の付いたネックレスを取り出し「これか?」と聞いた。


レオンハルトは持っていたネックレスをリアーナの手の平に乗せながら「メイドがこれを着けてたつって俺によこした」と言い「この前は怒って悪かった、お前もずっと大事に着けてたんだな。それからこの間、母さんから全部話し聞いた」と続けて話した。


2人はそのまま久しぶりにたくさん話をした。


「カボチャで頭殴ったのかよ」

「だって他に硬いものなかったんだもの。にんじんは細いし」

「普通そこは石だろ。なければ砂かけるとか」

「それもそうね」


レオンハルトは怪我をしたとはいえリアーナが部屋にいることが嬉しくてたまらなかった。


『リナが城を出る前も、もっとこうやって話しておくべきだった』と思いながらリアーナの話に耳を傾けた。


そう2人はリアーナが城を出る前そばには寄り添っていたが、あまり話はしていなかったのだ。


翌日リアーナが目を覚ますと部屋の中にレオンハルトの姿はなかった。


『私いつの間に寝たんだろう?レオもいない。それにしてもこの部屋、前と全然変わってない』


リアーナは部屋の中を見渡しながら、以前自分がいた時と部屋の様子が何も変わっていないことに気付いた。


着替えや食事をそのまま部屋ですませソファーに腰掛けながら『歩けないのは不便だな』と思っているとレオンハルトが部屋の中へと戻り「暇だろうから話し相手になってやる」と言いリアーナの隣に座った。


レオンハルトは少しでもリアーナのそばにいたいと思い、その口実としてそう言ったのだ。


「見張りじゃなくて?」

「それもある」

「やっぱり、出て行かないわよ。また酷くなっても困るし」

「ならいいがな」

「この部屋、前と変わってなくてビックリした」


と隣に来たレオンハルトにリアーナは話しかけた。


「そのままだからな。俺はほとんど戦場にいたし」


それを聞いたリアーナは噂通り本当にレオンハルトが帝国を滅ぼしたのかと聞き、彼は本当だと答えた。


「そうすればリナが帰ってくると思ったからな。だがリナがここを出たのは、それだけが理由じゃねぇって最近やっと分かった」


そう言うとリアーナは寂しげに目を逸らした。


そんなリアーナの両手をレオンハルトは取り「怪我が治っても、このままここにいてくれないか」と告げた。


「それは…」と言い淀むリアーナに「俺にはリナしかいないんだ。今リナを悪く言う臣下もいない。だから頼む、また前のように俺のそばにいてくれ」と言った。


昨日からレオンハルトが自身に触れたそうにする姿や、ここに留まらせたいような態度をリアーナは敏感に感じ取っていた。


きっと今のレオンハルトならば以前のような親しい関係に戻れるような気もしていた。


だがレオンハルトは今や帝国を滅ぼすほどの実力を持ち、自分はそんな彼の妃に相応しいのかと思ってしまった。


レオンハルトにそばにいて欲しいと言われ考えるように黙ったリアーナに『俺は、またリナを悩ませてるのか?』と思い、レオンハルトは隣に座るリアーナの肩に顔を埋め目を閉じた。


「何を悩んでる?俺を嫌いになったのか?」と不安そうにレオンハルトは聞き「俺はリナに嫌われるのが怖い、戦場にいるより何倍も怖いんだ」と続け本音を漏らした。


そんな不安げに話すレオンハルトにリアーナは思った『そうか、こんなに強い人でも不安に思うことがあるんだ』と気付いたのだ。


「戦場より私に嫌われるのが怖いの?」

「そうだ、リナに嫌われたら俺は生きていけない」


そのレオンハルトの言葉を聞いたリアーナは『真っ直ぐな性格のレオの言葉に今まで嘘はなかった。あぁ私、この人を支えてあげたい』そう思った。


リアーナはレオンハルトの頭を撫でながら「生きててもらわなきゃ大勢の人が困るよ」と言い、「リナがいないなら、そんなのどうでもいい」と答えたレオンハルトに「なら私がレオのそばに、いなきゃいけないじゃない」と少し明かるい声でリアーナは話した。


今のリアーナの言葉にレオンハルトは驚き、目を開け顔を上げると彼女と目を合わせ「俺のそばにいてくれるのか?」と聞いた。


すると下げていた頭を上げ目を合わせてきたレオンハルトにリアーナは語りだした。


「私の母様は幼い頃に亡くなっちゃったからよくは覚えてないんだけれど、父様と母様の仲が良かったことだけは覚えてるの。こんな2人ように自分もいつか誰かとなりたいって思った。その後レオに出会っていつかの両親みたいに、ううんそれ以上になれたと思った。だけど国が滅んで私が周りから王太子妃に相応しくないって言われるようになったらレオが私に気を遣うようになっちゃって、離れた方がいいんじゃないかって思うようになったの。だから王妃様に頼んで山に家を建ててもらった。そこに行ってレオから離れれば少しずつお互いの気持ちも薄れるかなって。手紙も書こうとしたけれど別れの言葉が書けなくて、気付いたら3年も経ってた。たとえ恨まれてもレオなら私がいなくなっても他の人と再婚して幸せになるだろうって考えてたのに、帝国に戦争を仕掛けたって私のためだって、何故ならまだ離縁してないからだって王妃様の騎士さんから聞いて、私はますます皆んなに迷惑をかけてるなって思った」


それはレオンハルトの知らないリアーナの本当の気持ちだった。


レオンハルトはそれをリアーナの両手を握りながら黙って聞いていた。


「だから私は何があっても城には戻らないって決めてたの。なのにレオに再会して、どうしてここにいるのかとか、私を探してくれてたのかとか、他にもたくさん聞きたい事があったけれど全部こらえて普通に装った」


辛そうな顔でそう話したリアーナの手を少し強く握り「どうしてそれを俺に話してくれたんだ?」とレオンハルトは尋ねた。


「さっきレオが本音を話してくれたから、私も話そうかなって」


それを聞いたレオンハルトはリアーナの頬に片手で触れ親指で撫でながら「リナの気を引くために、俺が嘘をついたとは思わなかったのか?」と言うと、リアーナは微笑んだ。


「レオは嘘をつけないでしょ」

「そこで笑うのかよ、失礼だな」


するとレオンハルトがそのままリアーナの頬を撫でながら「リナ、このまま俺のそばにいてくれるってことでいいのか?」と聞いた。


「私でいいの?」

「お前がいい、リナ以外は嫌だ」

「私もレオがいい。レオのそばにいたい」


その言葉を聞いたレオンハルトは、リアーナの唇に優しくキスをした。


「やっと言ったな、たくっ」レオンハルトはそう言いながらリアーナの頬に添えていた手を肩に置いた。


「何があっても俺はリナの味方でいる。だから俺の事だけは信じてくれないか?」

「レオを信じてなかった時なんてないよ」

「お前はいちいち可愛いな」


レオンハルトはそう言って今度はリアーナの腰を抱き寄せた。


「愛してる、子供の時に初めてお前を見てから俺はずっとリナだけが好きだ」

「子供の時?私達は政略結婚だから顔合わせの時ってこと?」

「リナはそう思ったかもしれないが、実は違うんだ」

「違う?どういうこと?」


リアーナがどういうことかと理由を尋ねると、レオンハルトは少し照れたように話した。


「初めてお前の国に行った時の夜会で俺がリナに一目惚れして、国に帰ってからリナと結婚したいって父さんに言ったんだ」

「そうだったの?知らなかった」


すると恥ずかしさを隠すようにリアーナの着けているネックレスを外すようにとレオンハルトが言った。


リアーナは言われた通りに服の中に着けていたネックレスを外しレオンハルトに渡した。


レオンハルトは受け取ったネックレスの先についていた結婚指輪をチェーンから外すと、リアーナの左手の薬指にはめた。


「これで俺達は元通りだ」

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