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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 Passion 〜

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③.交錯する思い

3日後レオンハルトは馬に乗りリアーナの家に向かうが、入口のドアが閉まり留守のようだった。


『いないのか?』と思いしばらく周囲を見渡していると、建物の右奥の方から「カタッ」と微かに物音が聞こえような気がして角から覗いてみると、そこにはリアーナがザルに入った沢山の野菜を抱えながら扉を開けようと手を伸ばしている所だった。


それを見たレオンハルトはすぐにそばに行きザルを持つと「ありがとう」と言いながらリアーナは扉を開けた。


それは台所へと繋がる裏口だった。


「ここにも扉あったのか」

「そうよ、って来るとは思ってたけど早くない?」

「別にいいだろ」

「もしかして待ってた?」

「少しだけな」


どうやらリアーナは街で買ってきた野菜を近くを流れる小川で、洗って来たようだった。


裏口から台所へと入り、作業台にザルを置くなりレオンハルトは怒った様子で言った。


「ここの扉の鍵かけてなかったんじゃないか?不用心だろ」

「この家には誰も来ないし、来てもここに入口あるって気付かないから、閉めなくてもいいかなって」

「だからって危ねーだろ、もしここから知らねぇ誰かが入ってきたらどうすんだよ」

「実はこの家には隠れられる秘密の場所があるの。だから万が一にはそこに隠れるから心配ないの」

「たくっ、俺にはそれ言っていいのかよ」

「だってレオは誰にも言わないでしょ?」


まるで当たり前のように自身のことを信用しているかのような口振りのリアーナに、思わずレオンハルトは胸がつまった。


「俺がこの間ここでお前を見つけたから、もういなくなったかと思った」とつい本音を漏らした。


それを聞いたリアーナは「そう簡単に引っ越せないわよ」と言い苦笑いをした。


そんなリアーナにレオンハルトは持ってきていたチーズケーキの入った箱を差し出した。


「ほら、チーズケーキ好きだったろ?やる」

「ありがとう!」


とリアーナは喜びながら差し出された箱を受け取った。


リアーナはお茶を用意し、さっそく皿に切り分けたチーズケーキを頬張った。


レオンハルトはそんな愛しい目の前のリアーナを黙って見ていた。


彼女といられる時間が限られている、この時が切なかった。


この家で1人逞しく過ごすリアーナに今も昔と変わらない自分の想いを告げてもいいのか、城へ帰ろうと言ったらリアーナはなんて答えるのか、そもそも自分に付いてきてくれるのかが分からなかった。


帰り際「また来る」と伝えると、何か言いたげな表情をしたリアーナを無視しレオンハルトは馬に跨がった。


来ないでと言われたら、立ち直れなくなると思ったからだ。


そうリアーナはレオンハルトの考えていた通り『もう来ないで』と言うつもりだった。


しかしその言葉が言えずにいるとレオンハルトはすぐに馬に乗り背を向けた。


去っていく後ろ姿を見ながら『今度こそ言わなきゃ』とリアーナは思っていた。


✦ * ✦ * ✦


数日後、レオンハルトは馬に乗りリアーナの家へ向かう山道へ入ると、向こうから馬に乗った男が下りてきていた。


すれ違いざまに会釈され『誰だ?』とレオンハルトは疑問に思った。


この先はリアーナの住んでいる家しかないことを考えると彼女の家から来ことは明らか、確かにリアーナの家には馬を繋いで置くための小屋があったが中に馬はいなかった。


などとレオンハルトは色々と思考を巡らせながらリアーナの家へと向かった。


リアーナの家に着き中に入って流し台を見ると、ティーカップが2つ置いてあった。


それを見ながらレオンハルトは「誰か来たのか」とリアーナに尋ねた。


すると彼女は「街で買い物をすると馬もいないし持ってくるのが大変なの、だから時々ここまで運んでもらってるの。そのお礼にお茶を出したのよ」と答えた。


まるで流れるように初めからそう聞かれたらこう答えようと決めていたかのようにレオンハルトは説明され、自分の知らないリアーナを見せられた気がした。


それを聞いたレオンハルトは「ふ~ん」と言いながら椅子に座り、リアーナは彼が不機嫌になってしまったことに気付いた。


「どうして怒ってるの?」とリアーナはレオンハルトの前のテーブルにお茶を淹れたティーカップを置き、自分の分のティーカップもテーブルに置くと向かいの椅子に座った。


「こうやって2人きりで別の男と話してたのか?」とレオンハルトは目の前のリアーナに思わず怒りをぶつけてしまった。


「別の男って…」そう少し呆れた様子で話したリアーナの言葉に、レオンハルトは怒りが収まらなくなった。


「俺がどれだけお前を探したと思ってる?いきなり居なくなって手紙も何もなくて理由も分からない。帝国が手に入れば帰ってくるのかと思ったが、それでも戻ってこない。その後やっと見つけたらお前は指輪もしてない」


リアーナは左手の薬指に以前は着けていた結婚指輪を今は着けていなかった。


ですがレオンハルトの方はずっと外さずに今も身に着けていた。


「そんなもんだったのか?リナにとって俺は簡単に切れるような、そんな相手だったのかよ!」と言ってレオンハルトは目の前のテーブルに拳を叩きつけた。


その瞬間テーブルの端に置いていたレオンハルト側のティーカップが床に落ち割れてしまった。


するとリアーナが悲しげに「…ごめんなさい」と言って椅子から下りしゃがむと割れたカップを拾った。


そんなリアーナを見たレオンハルトは『違う!傷付けたかった訳じゃない!』と思い、立ち上がり流し台へ行ったリアーナを追いかけた。


流しに割れたカップを置いたリアーナをレオンハルトは後ろから抱き締め「悪い、言い過ぎた」と謝った。


するとリアーナは自身を抱き締めるレオンハルトの手に触れながら「もう、ここには来ないで」と言った。


今のことで嫌われたのかとレオンハルトが思っていると「婚約するんでしょ?この国の貴族の人と」とリアーナが言った。


それを聞いたレオンハルトは少し強めの口調で「誰がそんなこと言った」と聞き「えっ?」と驚くリアーナに「さっきのあの男か?やっぱりあいつ城に関係する奴だな?仕草が騎士ぽかったんだよな」と言ってレオンハルトはリアーナを離し振り向かせると、両肩に手を置き目を見つめた。


「俺は誰とも婚約なんてしないし、もうその話はとっくに断ってる。俺は、リナを今も愛してる」


そう告げるとレオンハルトは家を出ていった。


リアーナはレオンハルトが家を出て馬に乗り去る音が聞こえるとその場で床に座り込んだ。


首から下げていたネックレスを服の中から取り出し、先端に付けていた指輪を両手の手の平に乗せて思った。


『手紙は何度も書こうとしたんだよ?だけどどうしてもアナタに別れの言葉が書けなかった。私だって今でもレオを愛してる』


リアーナは指輪の中央に光るルビーを見つめながら涙を流した。

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