表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

あの店のラムネ

作者: 水無月 宇宙

しっかりとした物語構成にはなっておりません、ご了承ください

しゅわしゅわしゅわ

しゅわしゅわしゅわ

からん


「おばあちゃんラムネもう一本ちょーだい」

「はい、90円ね」

「ん、ありがと!」

「膝の絆創膏、何かあったのかい」

「それがさぁ、小学校で友達と喧嘩して転んじゃって…」

「それは痛かったろうねぇ」

「でもここのラムネとおばあちゃんに話聞いてもらったからなんか元気出てきたかも!ありがとね!」



しゅわしゅわしゅわ

しゅわしゅわしゅわ

からん


「おばあちゃん、妹の見舞い行くからラムネ二本くれる?」

「はいよ。お大事にね」

「妹ここのラムネ大好きだからすぐ元気になるよ!ありがと!」



しゅわしゅわしゅわ

しゅわしゅわしゅわ

からん


しゅわしゅわしゅわ

しゅわしゅわしゅわしゅわしゅわ

しゅわしゅわしゅわしゅわしゅわしゅわしゅわ

からん



「ラムネのビー玉最初に取れた奴が勝ちな!」

「いいぜ!よーいどん!」


しゅわしゅわしゅわしゅわしゅわしゅわしゅわしゅわしゅわ

からんっからから…


「ラムネふたつ。」



「冷たくて気持ちい…」

ごくっ

しゅわしゅわしゅわ……っ

「10年前と、変わらないな」

変わったのは、人だけ。

昔はこの店にいた子供は僕だけだった。

店番をしていたのは優しいおばあちゃんだった。


ここのラムネは、悩みを優しく聞いてくれた。

甘くてしゅわしゅわしててすーって溶ける。

ビー玉の転がる音は心を落ち着かせてくれた。


小学校であったこと。

病弱な妹の体調。

普段の何気ないことも全部。

ここのラムネが聞いてくれた。


夏休みの自由研究はおばあちゃんと一緒に完成させたし、読書感想文だっておばあちゃんのおすすめの本にした。

友達と遊ぶ約束がない日はおばあちゃんが話し相手だった。

いつでも優しく笑ってるおばあちゃんとしゅわしゅわ弾けるラムネが大好きだった。

妹も、ここのラムネが大好きで、お見舞いに持っていくと喜んだ。


だから僕は



あの日と変わらないラムネを


あの日と違う店番のお姉さんから


あの日と同じように二本買って


あの日と違う道を通って


あの日と同じ人へ逢いに行く



からんと同じ音をたてて


炭酸をしゅわしゅわ言わせて


あの人の前へ置いた


あの人はもう笑って受け取ってくれないけど


あの人と僕が大好きなおばあちゃんの話はもうできないけど


あの人はきっと喜んでくれるから


おばあちゃんが大好きだったポピーを添えて



今は亡き妹よ

『あの店のラムネだよ』

大切な人(10年前に亡くなった妹)へ大切な人(10年前店番だったおばあちゃん)からの贈り物



10年前と変わらない、ラムネの味に思いを馳せて____

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] エッセイには少し不似合いくらいの素晴らしさです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ