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9話 迷子のゾンビさん

「痛っ」

起きると、誰もいなかった。日はまだ頂点に届いていない。あの男はどうしたのだろうか。とにかく帰ろう。…帰る?私はどこから来たんだ?駄目だ。ここら辺は住宅地で似たような光景が広がってる。何か目印のようなものは…無かったな。どうしよう。

ここでフラフラしても余計危険なところに着いてしまう気がする。とりあえずまた襲われたら危険だ。また無事だという保証はない。…今ここで生きているのも奇跡だと思う。ゾンビだけど。少し人気のあるところに移動しよう。…腕はどうしようか。辺りを見回すと少し大きめの布が落ちていた。少し汚れているが、構っている場合じゃない。布で隠すように腕を包んで、移動し始める。


ここなら良いか。子供やそれを見守る保護者がいる公園のベンチに座る。少し安堵あんどして、腕を見る。

「うっ…はーっっはーっっはーっっ」

見てはいけなかった。さっきよりは慣れたかもしれないが、見たら危険な状態になるのは変わりない。なるべく見ないようにしないと。


…どうしようか。帰り道などさっぱりわからない。携帯も家に置きっぱなしだ。お金も当然ないので連絡の取りようがない。相談所に行っても、困った顔をされるだけだろう。そうだ…私は元は一人だった。戻っただけじゃないか。まだ1日経たないくらいの関係だ。そう、そのはずだ。…でも、今まで一人で過ごしてきた日々より、それはぶ厚くて、楽しくて、嬉しくて、幸せな時間だった。戻りたい…私はあの家に帰りたい…


公園に着いたときは一番高いところに太陽はいたが、もう日は傾き始めていた。周りの人に気づかれないように漏らした涙も枯れている。

「大丈夫か!」

声が聴こえる。聴き慣れてもいない。だが、絶対に聴き間違えるはずがない。あの人だ。

「ずっと帰ってこないからなにかあったのかと…その調子だと、なにかあったっぽいが。…なにがあった?」

少し息を調ととのえてから、私に聞いてくる。

「迷った…」

「………そうだな、あそこらへんは似ているからわからなくなってしまうだろう。で、そこは転んだのか?」

「………、」

「…とりあえず手当…いや、一先ひとまず家に帰ろう。あいつもそろそろ返ってくる頃だったはずだ。あいつにも心配させるわけにはいかない」

そうか、心配してくれたんだ。こんなにも疲れて…それでも私に気遣って…

「ごめんなさい。心配かけて…たくさん走ったよね…」


「けしてそういうわけではない、ここまでは一直線だった。1kmあるかないかだしな。だが如何せん体力がなくてな…」

「…それなら幽霊に戻って飛べばよかったんじゃ…」

「…確かに…」

言われてから気づいたようだ。


「まぁ発見できたからな。問題ない」

「そういえばどうやって私を?」

「…かがくのちからってすげーってことだ」

「なるほど…だいぶ簡潔に言ってくれましたね」

「わかりやすいだろう。こういうことに理屈なんていらないんだ。…科学者の端くれがこんなことを言うのもなんだがな」

「そんなことないよ。あんなすごい装置を発明して…人生…違った、ゾン生で初めてです」

「…くっくっくっ…誤ってはないだろう。お前はゾンビであるが人間でもあるからな」

どういうこと?と聞く前に先に律さんが言う。


「そろそろ帰ろう。疲れたし、腹が減った」

「…そうね。帰りましょう。私もお腹が減ったわ」


死んでいるはずの二人のお腹が、鳴った。

投稿ペースが挙げれたらなぁ…と考えてます。早く続きが読みたいので。早くして(理不尽)

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