8話 襲撃
紫香楽宮 柴は散歩している。周りは明るい。
(はぁ…どうしてこうなっちゃったのかな…あの時だって、彼女を救えずに突っ立ったまま、そして私も…)
私が救えていれば、また違ったのかな…私がもっと強ければ…いけない、悪いことばかり考えては…早く元気にならなくちゃ…
「なにか考え事かい?お嬢さん」
「はい…?誰、貴方?」
「いやなに、ここら辺の学校は少し早めに始まるのに、この時間で制服で歩いているから気になってね」
話しかけてきたのは中年の小太りのおじさんだった。少し調ったスーツ姿だが、髪が乱れている。なにか良くない人というのはわかる。
「…貴方には関係の無い話。さよなら」
「おいおい待ってくれよ」
小走りを始めるが、おじさんは人間とは思えないスピードで目の前に立つ。
「めんどくさいのに捕まったな…」
「まぁまぁ、少しおじさんと遊んでくれや。最近は孫も遊んでくれなくてな?学校から帰ってきたらすぐどっか飛んでっちまうんだ」
おじさんは黒く光る刀を取り出し、構え、次の瞬間には私の腕を斬り取る。
「…っ!つぅ…」
痛いが、我慢できる。ゾンビになったからか、少し感覚は鈍っているようだ。でも、ゾンビの体も痛みを感じるんだな…と考えたあと、手で汗を軽く拭おうとして、腕が片方無いことに気付いた。
「あ、え、あ、あ…」
断面は血管や人間の肉などが丸見えだ。血はあまり出ていない。このときに恐怖が最高潮になった。私の記憶はここまでだ。起きたのはしばらく経ってからだ。
「さてと…連れてくか」
「何してやがんだ?」
「…ここはあまり治安が良くないから、来ないほうが良いぞ?青年」
「知ってる。アンタこそ、それを知っててここにいるんだから、何かしら用事があるんだろう?」
「…ッチ、少し大人しくしててくれ」
相手は動くこともせず、こちらの刀を受ける。ビクともしない。平然としてこちらに質問を飛ばす。
「アンタは鎌鼬だろ?いや…刀使ってるから刀鼬か?」
「何を得物とするかなんておじさんの勝手だろ、たとえ'鎌'鼬であっても。君は銃を撃つ吸血鬼にも疑問を抱くのかい?」
「いーや、…ま、アンタとオレじゃ相性が悪い。諦めてくれ」
「…」
しかたない、引くか。もう少しすんなり行くと思ったんだがな…
誰だうちの娘を襲ってるやつは!?いや…僕がそうなるようにかいてるんですけど…さて、この先どうなるんでしょう。襲ってきたやつも、助けてくれた(?)人(?)も何者なのか…覚えていればまた出てくるでしょう。また出てこいよ…