4話 美味しいご飯は幸せの証
こんばんは。紫香楽宮 柴です。今は酔灯 高音さんとお風呂から出ました。
「ふぅ~さっぱりしたね!」
「そうですね。人間だった頃はこんなに日を何回も跨いでお風呂に入ることはなかったので」
「あ、着替えは私のお古で良いかな」
「大丈夫です。ありがとうございます」
「うーん、これからご飯を食べると思うと変な感じだな、いつも食べてから入ってたから」
「そうなんですね…すみません」
「いやいや謝らなくて大丈夫だよ!一緒に入ろうとしたのは私だし!」
玄関近くまで戻り、客室の反対をみると、そこがリビングになっていました。
「じゃあ今からご飯を作るから、ソファに座って待ってて!」
「わかりました」
ソファがフカフカで、眠気が襲ってきますが、そろそろご飯だから起きていないと…お待ちかねだったご飯が食べられると思うと、涎が止まらない…もう何日満足に食べられていないかわかりません。
「あはは、涎出てるよー」
笑いながら、高音さんは口から流れていた涎をタオルで拭いてくれました。
「ありがとうございます」
再びキッチンに戻り、作業を再開したみたいです。どんどん良い匂いがリビングに広がってきます。これは紛うことなきカレーの匂いです。もうじっとしていられません。何か手伝えることは…
「何か手伝えることはありませんか?このままだと辛抱できません」
「そうだね…じゃあ味見でもしてもらおっか?」
「します!」
「あはは!すごい勢いだね!ちょっと待って、小皿に乗せるから」
棚から小皿を取り、そこにルーを載せていきます。あぁ…具材がゴロゴロと入っていて、とても美味しそうです…
「では…!」
パクっ
「どうかな?まぁそんなカレーはどれも変わらないと思うけど」
「いえ…!美味しいです!これは…バー○○ドカレーですね!お肉も最初はバターで炒めましたね!少しバターの塩気も感じられて良い塩梅です!あぁ…なつかしい…本当に久しぶりです…」
また涙が出てしまいました。普通にご飯が食べられることのなんと幸せな事でしょうか。今までの苦労がありありと蘇ります…
「満足頂ける出来あがりなようで何よりだよ。じゃあ装いましょうか」
「はい」
少し大きめの楕円の皿に炊かれたお米と、今味見をしたばかりのカレーをこれでもかとのせます。あぁ…見るだけで食欲が湧いてきます…
「そんなにたくさん食べて大丈夫なの?これまであまり食べられなかったんでしょ?少しずつのほうが良いんじゃ…」
「ゾンビなんで大丈夫です(?)!」
全く根拠はない!
「そっか(?)!」
「うん!」
そしてリビングのテーブルまでカレーライスを持ってきて、椅子に座ります。そして、私と高音さんの二人は、目の前で手を合わせます。
「「いただきます!!」」
匙も思わず食べてしまいそうなほど勢いよくカレーライスを口にブチ込みます!そして広がる香辛料!野菜!お肉!のハーモニー!おいしい!
「誰かと食べると美味しいね!」
「そうですね…食べるのが久しぶりだと、誰かと食べるのもまた、ご無沙汰ですね。やっぱり誰かと食べるご飯は格別!」
「そうだね!」
「かれえー!」
「カレー!……ん?」
はて、何かおかしなことを言ったでしょうか…とにかく、二人はそのまま狂喜しながら、カレーライスを残さず食べ終わりました。
「「ごちそうさまでした!!」」
食器を片付けながらこの後のことを話しましょうか。
「さて、これからどうしようかな…」
「どうする…というと?」
「野宿でもするかと」
「どうして?」
「お金もあまりないので…」
「?うちにいれば良いじゃない」
「え?」
「そっちのほうが私も嬉しいし…」
「ありがとうございます。本当に、高音さんにはたくさんたくさん感謝です」
「こちらこそありがとう」
時の流れは早く進み、時計はもう23時を示していました。
「もうこんな時間か…寝ないと」
「え?もうちょっと起きてようよ!」
「いえいえ…不健康でしょう。はやく寝てはやく起きる。規則正しい生活が健康で豊かな人生を送れる…可能性が微増すると思うので。死んでますけど」
「説得力はないね…でも、わかったよ。明日も学校はあるしね」
「今日は木曜日…そうでした!高音さんは学生さんじゃないですか!寝ないと眠気にたくさん襲われて大変ですよ!寝ましょう!」
「そんな慌てないの!わかったから!」
高音さんから二階の布団のある場所を教えてもらってそこで寝ることになりました。久しぶりのおふとん…柔らかくて気持ちいい…これはよく干されてますね…なんで干されてるんだ?高音さんは自分の部屋のベッドを使っている筈なのに…
…まぁいっか。私は深い眠りに落ちたのでした。
4話でごはんを食べることができてよかったね…これからも美味しいものたくさん食べるのよ…そろそろ新キャラが出ると思います。お楽しみに。