地底人の神頼み
地底人をやっている。
かなり前から。
宇宙人みたいな類いのヤツではない。
カッパみたいなヤツでもない。
姿カタチは人間。
心もカラダも人間だ。
全てが普通の人間なのだ。
地底にいる以外は。
ごく普通だ。
誰かに行かされた訳ではない。
自ら地底に行ったのだ。
ただただ、行きたくて。
今は楽しい。
本当に本当に本当に楽しい。
ただ、土に囲まれる生活に飽きた。
目に映るものに、飽きたのだ。
神に祈った。
手を合わせて、上を見た。
そして、こう願った。
【地上に行きたい】と。
届いてほしい。
そう思ったのだが。
あることを、すっかり忘れていた。
それは僕が。
神から一番遠い人間であるということだ。