回想
時々回想を挟みます
私にはお友達がいない。
理由は簡単で、私が皆とは違うから。
私の髪の色が変だから。
過去に一度、お母様が私にお友達を作らせようとお茶会に連れて行ってくれたことがある。
お母様の友人とその子供たちが集まったそれは、言ってみれば茶会初心者向け交流会。
私でもなんとかなると、そう言って私を連れて行ってくれた。
でも、私にお友達はできなかった。
避けられたり、無視されたりはしなかった。
それでも、話していてどこか壁を感じた。
ただの気の所為なのかもしれない。
それでも確実に、お友達にはなれなかった。
それからしばらくして、今度は比較的規模の大きなお茶会に招待された。
今度こそはちゃんと、お友達を作りたい、そう思っていた。
『何あの髪、気持ち悪い』
私が直接言われた訳ではない。
でも、みんな私の頭を見て言うのだ。
あの子が怖い、あの髪が怖い、と。
確かに私の髪色は珍しい。
それに、お父様やお母様、お兄様とも色が違う。
しかし私は今までそれを気にしたことはなかった。
だから、初めて言われたその言葉に衝撃を受けた。
私の何が悪いのか、今初めて分かったのだ。
生まれ持った髪という、どうしようもない原因。
私は、お友達を作ることを諦めた。
それ以来、お茶会には滅多に行かなくなった。
それから数年経ったある日、王子殿下のお披露目を目的としたお茶会に招待された。
家格が下なら何かと理由を付けて欠席できるのだが、これは王家主催。
お母様に諭され、私は諦めてお茶会に向かった。
お茶会に招待されたのは上位貴族に分類される家の人たち。
私より少し年下の子から、お兄様より年上の子まで、広い年齢層の子たちが来ていた。
その中で、私以外の子はみんな、それぞれのお友達と話したりしている。
私はそれを尻目に一人、お茶と茶菓子を楽しんだ。
そうして時間は過ぎて、何もないままお茶会を終える、はずだった。
「ねぇ。どうして君は一人なの?」
私と同い年くらいの子が、私に声をかけた。