自室
自室まで帰ってきた。
呼び鈴を鳴らすと、鍵が回る音と共に、内側からローズの侍女であるレイナが扉を開けた。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「ただいま」
学園では、従者を付けることが許されている。
貴族の中には、身の回りの世話を全て従者に任せている家がある。
そういった家の子は、自分で着替えられないこともある。
全寮制に変わるに当たり、この点で一つ配慮を汲まれた。
また、従者の数があまりに多いと邪魔であるので、最大二人までと定められた。
「申し訳ございませんお嬢様。ご予定があるとは知らずに」
「気にしないで、急用よ」
レイナにカバンを渡し、椅子に座る。
それからローズは言伝を頼もう、ともう一人の次女を探すが、室内には見当たらない。
そこで、夕食の準備を始めたレイナに話しかける。
「ところでレイナ、アンナはどこかしら?」
「アンナにはお使いを頼んであります。もうしばらくすれば戻るでしょう。何かご用が?」
「えぇ、言伝をお願いしようと。ミーシャとアリシアに、明日の放課後は空いているか……どうせ空いてるでしょうけど、聞いてきてもらおうと思ったのよ」
リーグに言われた通り、そっち方面ではあまり期待できないが、友人に話をしようと思う。
流石に今日は、既に日が暮れてから半刻近く経つので難しい。
なので、日を改めて相談しようということである。
ローズの友人二人は個性的で、よくアリシアがミーシャに勉強を教えている。
なのでどうせ明日も勉強会を開いているであろうが、一応念の為、予定を聞いておく。
「アンナが帰ってきたら、聞いてくるように伝えておいて」
「承りました」
レイナは喋りながらも手際よく夕食の準備を終えた。




