二週に一度の逢瀬2
探検じゃないよ散策だよ
突然告げられたそれに、一瞬思考が止まるローズ。
一体どうしたというのだろうか。
「理由を伺っても?」
「もちろん」
と言っても、面白い理由ではないかな。
そう言ってレオンは口を開く。
「僕らは貴族だ。民を導き、国を導く。責任ある立場になっていく。けど……僕はまだ子供だったよ」
「……?」
レオンの言葉にピンとこないローズ。
だがレオンは続ける。
「学外を散策した時に思ったんだ。今、この時間がとても楽しいなって」
友人と居る時間が、遊ぶ時間が。
王子という立場を忘れていられる時間が。
でも。
「僕らはいずれ、責任ある立場になる。今のうちしか、はしゃぐことは出来ないんだ」
だから……と、俯くレオン。
その姿を見て、ローズはようやく理解した。
「いいえ、良いことではないですか。ご友人方と仲睦まじいのは、貴族として良いことでしょう」
「そうかなぁ」
そんな理由で、婚約者を蔑ろにしていいのだろうか、と。
ローズの慰みもあまり響かない様子のレオン。
「えぇ。今という時間は、今しかありませんもの。私との時間は、婚姻を結べばいくらでも作れるではありませんか」
「うぅん」
「レオン様のお気持ちを尊重いたしますわ」
ありがとう、とレオン。
「分別をわきまえてくだされば、構いませんわ」
私にお友達は居ますもの、とローズ。
「はは、そうだね。じゃあ今度ローズも、お友達を連れて外へ出掛けてみるといいよ」
「機会がございましたら、ですわね」
ちなみに、学外散策で起きたこと
↓
①アレンが財布落とす
②野ネズミが驚異的な速度で財布を奪取
③追いかけっこしてアレンが疲労困憊