翌日
翌日のランチタイム。
ローズとミーシャとアリシアは、再び一般食堂へやってきた。
「それにしても、アイリスちゃんとレオンハルト殿下の間に何もなくて良かったですね〜」
「えぇ、本当に」
ミーシャの発言にローズが賛同する。
ちなみにミーシャがアイリスをちゃん付けで呼んでいるのは、あの後暫く話して仲を深め、ミーシャが仲間意識を持ったからである。
「私は絶対、話切り出せないで終わると思ってましたよ」
「うぅん、そうね……」
「んぇ、どうしたんですか?」
歯切れの悪い回答をするローズをミーシャが疑問に思う。
「アイリスさん、きっとまたレオン様と会うのよね。その時に昨日のこと、言ってしまうかもしれないわ……」
レオンに直接問うことを諦めたのは、アイリスのことを変に意識している、と思われるのを避けようとしたから。
だが、ミーシャの後押しのせいでアイリスに押し強く聞いてしまい、そのことがレオンに伝わってしまうかもしれない。
そうなると、レオンに直接問わなかったことが無駄になってしまう。
「んもぅ、シャイなんだからぁ」
ミーシャには、ローズのそんなウブな感情が可愛らしく思えた。
「それなら、口止めすれば良かったのではないですか」
「それはそれで、アイリスさんから見たら面倒くさい女として映るじゃない? あんな良い子に鬱陶しがられるのは嫌よ」
「そうですか」
ローズから見てもアイリスは性格が良く、人としてよくできている。
ローズはアイリスと仲良くしたいとまでは思わなくとも、嫌われることにはなりたくないと思った。
「難儀な性格ですね」
アリシアは、面倒くさい女だなと思った。