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生徒会室

「それで動揺して逃げてきた、と言う訳ですか」

「失礼ですわね。戦略的撤退と言ってくださる?」

「戦略的撤退、ねぇ」


ここは生徒会の執務室。

机上の書類と戦う少年リーグが軽口を叩いた。

その目の前では、リーグが淹れたハーブティーを飲むローズがくつろいでいる。


「それにしても、レオンハルト殿下がねぇ。あなたと殿下は結構良好なんじゃなかったんですか?」

「えぇ、私もそう思っていたわ。でも、これまで一度も話題にあがったことが無いのよ? 変だと思わない?」


以前から王子とアイリスが知り合いであるのなら、ローズに話をしていてもおかしくない。

なので学園で初めて知り合った可能性もある。

しかし、学園に通い始めてから知り合ったのに、あれほど仲が良いのは問題ではある。

また、王から口止めされている可能性もあるが、婚約者であるローズにも口を閉ざすものなのか。


どう転んでも、あまり良い答えが見つからない。


「確かに違和感はありますけどね」

「だからあなたには、二人の関係を探って欲しいのよ」


なんにせよ情報がない。

王子とアイリスがお互いにどういう感情を持っているのか。

何も無ければそれに越したことはない。

もし特別な感情があったとしても、知らないままで居るよりかはマシだ。


「えぇー。俺平民だから、王子についてとかあんま調べられないですよ? 子爵令嬢と伯爵令嬢に頼んだらどうですか?」

「二人はそういうことには向いてないのよ」


ローズの友人2人は、情報収集においてはポンコツなのだ。

こういうデリケートな問題に関して直接動かすと、余計な問題を生み出す可能性すらある。


「だからってもう、なんで俺なんかに頼むんですか」

「しょうがないじゃない。生徒会で面識があるの、あなたくらいしかいないもの」


生徒会役員はその役職上、ある程度広い交友があるので、情報収集に都合がいい。

リーグは2学年であるが、家の関係で1学年のローズと面識がある。

その関係でリーグに頼もう、ということである。


「それで、やってくれるの?」

「あー、じゃあこれ手伝ってください。交換条件ってことで」


仕方なく承諾、という感じにしているが、元から特に断るつもりはなかった。

しかし忙しいのも事実なので、代わりに手伝いをローズに要請した。

一方、当のローズは一瞬呆けて口を開いた。


「それ、生徒会の資料よね? 私が見て大丈夫なの?」

「大丈夫じゃないですか? 平民の俺が見れる資料ですよ?」


役員ではないローズが、学園の運営に関係することもある生徒会の資料を見てもいいものか。

当然の疑問である。

しかし、リーグは何でもないように言う。


「……うーん、それもそうね。じゃあ、よろしく頼むわね」


いまいち釈然としないながらも、とりあえず交渉成立ということで、ローズは書類の一部を手に取った。


そこでふと、リーグが思い出したように口を開く。


「ていうか、公爵令嬢でその人脈の無さはまずくないですか?」

「うるさいわね」

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