回想2
回想ごとに視点は違います
私は子爵家に三兄妹の末っ子として生まれた。
二人の兄は幼い頃からそこそこやんちゃだったらしいが、私はその上を行くお転婆だった。
一人で移動できるようになった頃から、家中の何処にでも出没し、両親や使用人を困らせ続けた。
兄たちも私に影響され、さらに自由気ままに遊ぶようになった。
そして走り回れるようになった頃からは兄たちと遊ぶようになった。
家中を駆け回り、庭の木を登り、とても貴族の令嬢とは思えないような日々を過ごした。
しかし成長するにつれ、兄たちは遊んでくれなくなった。
貴族としての勉強をするようになったのだ。
私に構う暇なんて無くなってしまったのだった。
遊び仲間が遊んでくれなくなった。
その状況に寂しさを覚えた私は、塀の外を見た。
そしてある日、私は家を抜け出した。
何の事はない、ただの興味本位だ。
この狭い世界にはもう、遊ぶ人がいない。
では、世界の外にならどうだろう。
そう思って飛び出した私は、それが正解だったと確信した。
建ち並ぶ家々、活気に満ちる市場、子供たちが遊ぶ広場。
今まで見たこと感じたことがない景色に私は魅了された。
家の外、敷地の外には、まだまだ世界が広がっていたのだ。
この、本当の世界との出会いに私は歓喜した。
私はやって来た広場で、同年代の子供たちに声をかけた。
彼らは『石けり』という遊びをしているという。
鬼が石を蹴り、当たった人と鬼を交代するという遊び。
私も入れて、とお願いすると、彼らは私を仲間に入れてくれた。
初めてする遊びだがとても楽しく、泥だらけになるまで遊び続けた。
その日は、家に帰ると母様に酷く叱られた。
勝手に家を抜け出し、遅くなるまで帰らなかったことを心配していたらしい。
私は反省した。
それはそれとして、その後も私は頻繁に外へ遊びに行った。
怒られてからはちゃんと使用人に報告するようにしたので叱られることはなかった。
広場の子たちも私のことを友達として受け入れてくれた。
石けり以外の遊びもたくさんした。
鬼ごっこや隠れんぼ、球蹴りなど、楽しい遊びをたくさんした。
その日々は、私にとって宝物みたいなものだった。
だがある日、一人があまり遊びに来なくなった。
話では、家の手伝いを始めたらしい。
それからも一人、また一人、と遊ぶ仲間が減っていく。
代わりに新しく仲間ができるけど、それは来なくなった子とは違う。
私はなんだか、虚しい気持ちになった。