ランチタイム会議
午前の授業が終わりランチタイムになると、生徒の多くは食堂へ行く。
食堂の場所は、貴族専用食堂とそれ以外の一般食堂で分けられている。
貴族の中にはマナーを気にする者も居るので、それに配慮した形となっている。
ローズとミーシャとアリシアは、それ以外が使う食堂へ来ていた。
「作戦会議を始める!」
「そんな宣言しなくても……」
「こういうのは形から入るのが良いんですよ」
楽しいことを始めるかのように揚々と宣言するミーシャ、一方でローズとアリシアは面倒くさそうだ。
授業が終わった生徒の多くが既に食堂へ来ており、かなり賑わっている。
なので、ミーシャがどれほど騒ごうと、ほとんど注目を浴びることはない。
「会議なら、部屋を借りて行えば良いと思うのですが」
「友達づくりのために、わざわざサロンを借りなくてもいいじゃないですか」
「友達づくりって……」
借りるには一度申請を出す必要があり、その手間を面倒と申すミーシャ。
この雑音の中でなら話し声も紛れるので、相談するならこっち、と一般食堂に引っ張ってきたのである。
何故か『アイリスを探る』から『アイリスと友達になる』に変わっているが、ミーシャの感覚では元々そうなのだろう。
アイリスのことを敵対的に見てはおらず、仲良くなって聞いてみよう、という思考なのだ。
「それならそもそも、会議も必要無くてよ?」
「もし何も無しに会いに行ったら、ローズちゃんは直前になって挙動不審になって、挙げ句逃亡するじゃないですか」
「流石にそこまで酷くはないわよ?」
「有り得はしますね」
なかなかの言われようであるが、ミーシャとしては普通にあり得ることだと思っている。
あれこれ理由を付けて逃げる、それがローズの基本形。
それはアリシアも同じ認識のようだ。
「だから今のうちに、会ってすることを話し合っておくんですよ」
「まるで私は幼子ね」
「そうですね、ローズ様。対人関係に関しては私と引けを取らないので、ミーシャさんの話は聞いた方がいいと思います」
「流石にそこまで酷くはないわよ?」
ローズの言い草もなかなかのものである。