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19才
19才の頃
裸のまま鏡のまえで
立っていた
あの人やあの子
あの街やあの国
地球や宇宙の創世と終末を
想いながら
舌足らずで祈っていた
加害者の傷や被害者の傷が
癒えるように
もう二度と世界大戦が
起きないように
硝子玉の心情に翼を生やし
一人として欠けることなく
遠い祖先から子孫まで
しあわせであれ!
下手に歌っていた
たったひとつの自分自身になるために
たったひとつのあらゆる世界を
たったひとつの唇で
嘆いていた
みんな裸の心で産まれてきたのに
どうして裸の心を踏みにじるのか
どうして裸の心に化粧をしてしまうのか
きっとあの世では裸の心になるというのに…
踊っていた
色彩の変身が自由に萌えるように
命が素直になるように
極小と極大、その間にある
無数の存在に祝福がありますように
生きていた
ひとつなる憧れの涙を
遥かな肌にこぼして
ひとつなる瘡蓋に手をあてて
ひとつなる魂の臓器に
まるごと若き聖なる息を吹きかけて




