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妖精さん
ほら、そんなに
荒々しく近づいたら
妖精さんが逃げてしまいます
可憐で清らな妖精さんに合わせないと!
それから
胸のなかにある光の粒のような
あの白妙という言葉の綾では
言い現し難い
心情の小さな硝子玉を
ころりころりと回してしまって
心を裸にして
やはり
可愛らしさがないと
妖精さんが自由に息をすることさえできません
ほら、そんなに
乱暴をするものじゃありません
腕を組んでいるようでは
妖精さんが近寄れませんよ
先ずは
息のつぶらな曲線というものを
十分に調えて
それからはじめても
遅すぎることなどこの娑婆世界にさえ
ありはしませんので
そう
木星にある回転木馬を
一筆書きで描いてしまうように
息を十分に調えて
ほら、そんなに
無闇矢鱈に
生きるものではありません
時間が無い空間に
立ち止まって
座り
それから
一度
ゆったりと眼を瞑って




