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地位を捨てる理由

「何でじゃ!!!!!! マネ! アシ!! 霊門フルオープン、霊妙全開にするのじゃ!!」


 『霊光Lv10:神聖なる光は破邪・治療・ステータス増幅の絶大なる効果を持つ』を持ってしても、死者を死者を蘇らせることは叶わない。


「何が女神じゃ!! 何が聖女じゃ!! 友を親友を…家族を助けることもできんのか!!」


 落下してボロボロになったアンの体は、『霊光Lv10』の効果で綺麗に治癒されたが、魂が戻らない。


 しかし、『霊視Lv9:高度に隠蔽された霊・魂・魔石の目視と能力鑑定が可能』でアンが見え、『霊感Lv10:最上位の霊・魂・魔石の位置と感情を把握できる』でアンの気持ちが理解できて、『交霊Lv9:上位霊への命令を遂行させる』で、会話することで、アンの思いが伝わった。


「馬鹿なのじゃ…。馬鹿なのじゃ…アン。そんな事で…何も死ぬことは無いのじゃ…」


『マカお嬢様は…何にも縛られず、自由気ままに生きてください…。それが私の願いです…』


「うむ…。わかったのじゃ…。見ておれ、もう決して涙は見せぬぞ!! アンが、馬鹿なアンが、死ぬんじゃなかったと、後悔するぐらいに、笑顔で、楽しくて、笑い声の絶えない…そんな毎日を送ってやるのじゃ!!」


『そうですよ! マカお嬢様…最後に、最後に、マカお嬢様の祈りで、私を…』


「任せておけ。とーっても…気持ち良く、成仏させてやるのじゃ」


(アシ、マネよ。理解っておるな? 最高の霊力で、アンを送るのじゃ!!)


『はいなのです!! 霊道Lv8、 霊門Lv6、霊妙Lv6、霊光Lv10なのです!!』

『こんなオーバースペック全開で送られた奴なんて見たことねーぞ!!』


 目をゆっくりと閉じる。周囲に顕現した光の粒子がマカを優しく包み込む。


 光の粒子は渦となり掲げる指に集まり、両手を胸の前で合わせると、辺り一面を神々しい光で満たし、アンの遺体を浮かばせた。


「さらばじゃ、アン。最後の最後まで世話をかけた。本当に…ありがとう…」


 アンの遺体は一本の光の柱となって天を貫く。光が徐々に消えていく。マカはいつまでも空を見上げていた。


 そっと肩に手を乗せてきたのは、ファーレランド領主エイムス・アルジャーナ。


「父上。妾はもう…女神東方教会の現世に蘇った女神でも、シンホルス帝国の使者でもありません。しかし、神聖西方教会の手に落ちたフレイデン王国にも協力する気はありません。ファーレランド領主エイムス・アルジャーナとして、目指すところは何処でしょうか?」

「もう決心は付いていたのだ。昨日、私が…あんな事を言わなければ…」

「ならば、帝国に?」

「いや…昨日の時点では、私は…領民よりも…領土の未来よりも、娘だけの事だけを考えてしまった…。よって、私は領主の座を辞する。つまり、領主選出大会を開催し、優勝者に…このファーレランド領の未来を託す…と言えば、格好が良いが…私は…決定という重責から逃げたに過ぎん…」


 マカはフレアと共に、領主選出大会が閉幕するまで、両親の護衛を買って出た。


 一ヶ月後、特に問題もないまま領主選出大会は、王国回帰派のアルディス・ランバールが優勝した。つまり、フレイデン王国に反旗を翻し、ファーレランド王国を復活させるのだろう。そのためには、シンホルス帝国の属国となりことも辞さないようだ。


 領主の役割を終えた両親は、習俗に従い大陸の東に浮かぶ小島で、余生を過ごすらしい。

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