表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/69

お化け屋敷の理由

どうでも良い話が三話も続いたのに、重要な話を端折ってしまう愚かさをお許しください。

西側諸国への移動と新しい街での生活を駆け足で…。

 シェル・ドールの旅に計画性はない。基本、行き当りばったりだ。食料は現地調達。余計な道具は…というか、調理道具や天幕や寝具などの必要最低限な道具すら持たない。だからと言って、背負子に座る妾が持てるはずもない。そして、背の低いドワーフから見える景色は、フレア・ロンドとは、随分と違った。


 熱にうなされ洞窟で一ヶ月過ごしたり、滝からダイブして滝壺の奥にある迷宮を発見したり、魔物の村で生活したり、砂漠を商人たちと横断したり、海辺の街で海賊を討伐したりと、何処かの街でのんびりと暮らすより、今の方が楽しいのではないかと思ってしまった。


 そして、一年以上かけてたどり着いた一つの国。そこは、温暖な気候で、獣人や亜人への偏見が少なく、身分制度が緩やかで、近隣諸国と戦争のないメルディエン王国だ。その国の地方都市であるバースランドに住居を構えることになった。


 街についた翌日、早速シェルと不動産屋に向かい、おすすめの物件を紹介してもらっていた。


「こ、こちらは…確かに破格の家賃ですが…。事故物件と申しますか…。夜な夜な…出ると有名なのです」

「でも、おすすめなんだろ?」


 屋台で売られていたソフトクリームを食べていたシェルは、どうやらこの屋敷が気に入ったみたいだ。シェルが幽霊など気にするはずがないのだ。


 不動産屋としても、どうにかしたい物件のはずだからこそ、紹介したのだろう。シェルは、内見したいと言って、怖がる不動産屋のおじさんと屋敷に入る。


 霊感Lv8のスキルで屋敷内の霊をチェックする。確かに反応はあった。屋敷内に入ったことで、霊たちに敵意が現れた。


「屋敷に部屋は幾つあるのじゃ?」

「えっと、元々名のある商家の屋敷でして…部屋数はざっくりと言えば、二階に8部屋、一階に12部屋、地下に4部屋です」

「それで…街中にある小さめの家と同じ家賃か。どうだマカ。ここで良いと思うのだが?」

「ここで良いのじゃ。霊が鬱陶しければ、除霊するのじゃ」



 不動屋でお化け屋敷の契約し、奴隷市場に向った。


「何で奴隷なのじゃ? あまり気分が良いものではないぞ。身分制度が緩やかな国を選んだ意味がないのじゃ」

「屋敷での働き手が必用だろ? 普通のメイドでも良いが、マカの事があるし、安全な方が良いだろ?」

「安全?」

「あぁ、奴隷なら契約次第で、マカに危害を加えられないし、いざとなれば命をかけてマカを守るようにも出来る」

「左様か…」

「お、おう…。まぁ、言いたいことは理解るが、気にするな」


 奴隷市場は、何とも言い難い臭いだった。しかし、シェルは気にせずガンガンと進み、「野生の勘」と言って、とある商店の前で止まった。


「なぁ。屋敷で働かせたいのだが、料理、洗濯、掃除が出来る奴はいるか?」

「おや、子供かと思ったら、ドワーフのお嬢様でしたか。ご要望の奴隷ならば…」


 紹介されたのは、鱗なしリザードマン(雌・12歳)、人間(女・16歳)、猫亜人(雌・18歳)の三名だった。病気・怪我なし。文字の読み書き可能。家事全般可能。従順な性格。


「ほう? 教育までも…。しっかりと管理されているな」

「はい。奴隷市場も競争が激しいのですよ。信頼と商品価値が大事です」

「じゃ、三人全員買おう。それと…護衛など出来る奴隷はいるか?」

「勿論。今連れてまいります」

 

 紹介された鱗なしリザードマン(雄・19歳)、狼獣人(雄・24歳)の二名も買った。



 最後にベストラー商会という大きな店舗により、屋敷で必用な生活用品一式を揃える。ついでに奴隷たちに必用な物も買い揃えた。奴隷たちは、服や寝具など…一般人と同じレベルの物を買い与えられ驚いていた。



 その後、何年も放置されたお化け屋敷の清掃中に、ベストラー商会からの荷物の搬入が始まり、てんやわんやの騒ぎになったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ