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許せない理由

 迫りくるマッシュに、座ったままの状態で、魔法の杖を向け、突進を止めさせた。


「お前!! その杖は…カイランの…。殺して、奪ったのかっ!?」

「何を言うておる! 受け継いだ杖じゃ!」


 はっきりと、目の前に霊体になったカイランが、何かを訴えかけているようにの姿が見える。交霊スキルでカイランと会話した。


『マッシュに、”アニーに刺されたお尻の傷は治ったか?”と聞いてくれ』


 剣先を向けるマッシュに、カイランの言葉を、そのまま告げる。


「お前…何で、それを!?」

「妾は巫女。カイランの霊体は、ここにいて…マッシュに話しかけているのじゃ」


『仲間を殺されたのは、パーティーの問題だ。この子に罪はない』


「黙れ!! 殺されたくないから…口から出任せを!!」

「この杖がある限り、殺されはせんのじゃ。妾は…カイランの言葉をそのまま告げているだけじゃ」

「黙れ! 黙れ! 黙れ! アニーも、ジョゼフも…カイランも…皆、幼馴染だ! 辛いことも、悲しいことも、楽しいことも…。いつも…いつでも…一緒に…」


『生き残った…お前だけでも、幸せになれ。それがパーティー結成時の約束だろ』


「わかってる!! だが、こいつの所為で!! やっぱり、許せねぇ!! お前は…泣き叫びながら、俺の仲間に謝罪しながら…死ね!! 生きたまま…内臓を引きずり出してやる!!!!」


 マッシュが剣を振り上げと同時に、カイランの魔法の杖に力を込め…火炎を放つ。


 しかし、マッシュは火炎を剣で斬り裂くと、一歩踏み込んできた。剣を防ぐため、右手に持った魔法の杖を前に出す。


「馬鹿が!! 木製の杖で、剣が防げるか!!」


 マッシュは、杖を一刀両断する。


 剣を大振りして、がら空きになった…マッシュの体に向けて…。魔法の杖が、火炎を発生させるメカニズムを解析した…コピーできると信じるしか無い!!


(いや、必ず成功させるのじゃ!!)


 切断された杖を捨て、右手をマッシュに向ける。右手から放たれた火炎は、マッシュを包み込んだ。


「ま、魔法だと!? まさか…これをするために…わざと杖を…」


 しかし、放たれた火炎は、魔法の杖よりも数段威力が劣っていたため、マッシュに致命傷を与えられなかった。


(いや、これで良いのじゃ)


 焼かれるマッシュに「もう殺し合いは嫌なのじゃ…」と呟く。


「くそっ! 何処までも悪運が強いガキだ。19階層から21階層まで落ちても、俺と勝負しても…何故か、生きていやがる…」


 地面に大の字になり倒れたマッシュが、吐き捨てるように言った。


「ま、待て、ここは20階層じゃないのか?」

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