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敵意の理由

 19階層に入ると、4級パーティーでも進みが遅くなった。


「俺が先行する。フレアは俺のフォローに回ってくれ。元・王国近衛騎士団のエースだろうが、対魔物では、安定感がないからな」


 今まで戦いに積極的に参戦しなかった『銀の呼び水』の二つ名を持つノウマンは、レイピアを抜くとパーティーの先頭に立つ。


 マカお嬢様が座る背負子を泣く泣く手放し、マッシュに託した。


「泣くな、フレア。全くお主は…。それよりも、気になることがあるのじゃ。付かず離れず、このパーティを追う集団と、先行する集団がいるのじゃ。まるで挟み撃ちを狙っているようなのじゃ」


 マカお嬢様のスキルは、俺の『敵意感知』と違って、相手に気付かせるようなポンコツスキルではないようだ。実際に俺でも、マカお嬢様がいつスキルを使ったのか、さっぱりわからない。


「どういうことなの? それはマカちゃんのスキル?」

「うむ。Lv6の霊感スキルじゃ。これは隠れた霊と人間の魂の位置を把握できるのじゃ」

「Lv6!? 本当ですか!? 本当に幼女ですか!? Lv6なんて上級者ですよ?」

「煩いぞ、マッシュ。大声を出さんでくれ。それに幼女じゃない少女じゃ…」

「うん? 待てよ…。マッシュ、このまま進むと、階層のボスと遭遇する可能性は?」


 挟み撃ちを狙うなら、いつでも出来る。それを実行しないのは、俺達が弱るのを待つか、ボス戦以外無いと俺は判断したのだ。


「えっと…。どうでしょうか。計画通りに行けば、23階層ですが…。ペースが遅くなっていますから、別パーティーが討伐してしまう可能性が高いですね」


 地上にあるリポップボードをメモった用紙を覗いていたアニーは、慌てて会話に入ってくる。


「待って! その前に21階層のボスがリポップするんじゃないの!?」


 問題はそこじゃな。その集団は、どのようにして、こちらとの位置を把握しているかだ。マカお嬢様と同様のスキルがあるのならば、こちらがどのような手段を用いても、看破されてしまうのだから。


 こちらのウィークポイントは、マカお嬢様と迷宮探索を維持するための食料などだ。敵からすれば、俺やノウマンを撃破出来なくても、この二つのどちらかを破壊できれば、勝利であり、こちらからすれば、挟み撃ちにあった場合、この二つを守りながら戦うのは難しい。


 だが看破されても問題なく、包囲網を突破できる作戦が一つだけある。


 19階層ならば、4級パーティーであるマッシュたちでも無茶をしなければ、十分に対応できる。マカお嬢様をマッシュに預け、俺が追ってくる集団を、ノウマンが先行する集団を、撃破すれば良いのだ。


 しかし…正直言って、ノウマンが信じられない。万一に備えてエインシェ伯爵は、俺に対抗できるように、ノウマンをこのパーティーに入れたのは間違いない。敵だとして、地上でノウマンに負ける気はしないが、ここは迷宮であり、地の利はノウマンにある。


 『要人警護』の『敵意感知』を使えば、ノウマンに敵意があるのか、確認することは可能だろう。しかし、ここでノウマンが敵であることを俺が知ったことに気付かれたら…。


「マカお嬢様のスキルは、どのぐらいの距離に集団がいるかわかるのですか?」

「うむ。そうじゃの…。このパーティが魔物を倒しながら進んでいることを考慮すると、追ってくる集団は、約1時間の距離、先行している集団は、1時間40分ぐらいの距離になるかの」


 つまりは、ノウマン敵の場合、1時間以内に倒せば…。


 パーティーに説明もせずに、『敵意感知』を使った。


 すると、それをいち早く察知した敵が、マカお嬢様を狙ったのだ。

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