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覚悟の理由

 俺とマカお嬢様、警備隊隊長キーブ、冒険者ギルドのギルドマスターのレイク、受付嬢のエルザは、大衆居酒屋にて、迷宮都市ダステムの郷土料理を囲っていた。


 俺は暴れる気はなく、キーブさんも「ロンド様が全力で抗えば、私達は皆殺しです。話し合いで何とかなるなら…」と、気さくに話し合いに応じてくれたのだ。


「…という訳で、可能ならば、ファーレランド領へ帰りたいのです」


「すまんな。迷惑をかけたのじゃ」


 マカお嬢様もペコリと可愛く頭を下げた。


「いえいえ、アルジャーナ様に頭を下げられては、私の首が幾つあってもたりません!!」


 キーブさんは、慌てて両手を前に出し、体全体を使ったオーバーリアクションで訴えた。


「しかし、中央の情報統制により詳しい情報は表に出ないが、現在、冒険者ギルドが把握している情報は…」


 レイクの話を理解するためには、事前に多少の知識が必要になる。


 フレイデン王国はカーディナル大陸の南東に位置する。また大陸の北東にはシンホルス帝国があり、東側はこの2国で占められている。フレイデン王国は、積み木のように四層で構成されている。北側から順に説明すると。北方地方はシンホルス帝国からの防衛と貿易の拠点として。中央地方を王都として政治と経済の中心に。南方地方を西側諸国との貿易と産業の拠点に。南方地方の更に南に位置するほぼ未開拓の半島を半島地方と呼ぶ。またシンホルス帝国から中央地方にかけて、西側には大陸有数の大山脈地帯が広がっており、西側諸国と陸路での移動は不可能である。


 当然、中央地方を差し置いて、北と南が発展していくのだが、これは現国王アルデ・フレイデン三世の思い描いた戦略であった。同時に、王族の発言力が低下するのも事実であり、王弟のイルガ・フレイデンは、この現状を打破するべく裏工作を繰り返す。しかし、失敗の連続であり、余計に王族の力を削っていく。


「そして、中央が弱体化しきった…今、南方地方の3つの領地が連合を組み、西側諸国の協力を得て、パルス王太子を担ぎ上げ…軍事クーデターにより国家転覆を謀ったということ。また未確認情報だが、そのタイミングで、不可侵条約を破棄したシンホルス帝国が、北方地方に進軍を開始したらしい」


 レイクは、言い終わると、残った酒を飲み干し、ため息をついた。


「馬鹿な…。それでは、北方地方にある…ファーレランド領地は、戦場になっているのか!?」

「未確認情報だ。しかし、シンホルス帝国と開戦していたとして、中央地方も南方地方と内戦中だ。国のバックアップ無しで…どこまでシンホルス帝国と渡り合えるか…」

「冒険者ギルドの力で、俺を…ファーレランド領地まで、転移させることは?」

「無理だな。転移装置は、国の管轄下だ」


 マカお嬢様は、「父上は大丈夫じゃ」と気丈に振る舞うが、その手は誰にも気付かれないように震えていた。そして、「そろそろ就寝時間じゃ。本題に入るか…。して、キーブよ。妾たちの扱いをどうするのじゃ?」と、誰もが言い出すことが出来なかった話題をぶち込んできたのです。


「小都市ライゼンの転移魔法陣に、ファーレランド公爵の小隊が姿を現し、直ぐに帰還したことは、周知の事実です。全員が帰還したとの情報もありました。つまり、お二人が、この場所にいなくても、何ら不思議ではないのですが…。私だけではなく、部下も知ってしまった…もしかしたら、冒険者にも情報が流れているかも知れません。隠すことは難しいかと…」

「フレアさんの実力からすれば、警備隊では抑えることは出来ません。実力行使で逃げたと言い切ることもできます」

「しかし、この都市を離れても、他の領地へ行っても、同じことの繰り返しだ。逃げるならば、西側諸国に行くしかないだろうな」

「一番の問題は、マカお嬢様の体力です。体質的に長旅に耐えられないのです。それなので、迷宮でLv上げを行っていたのです」

「よい。これ以上、この者達に迷惑はかけられぬ。出ることこに出るのじゃ」


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