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少年は散歩をするようです。(前編)

予想以上に説明が長くなったので、前編後編と分けました。


よろしくお願いします。

…ユリード村。


ユークリッド王国という多くの種族の入り混じる比較的平和な国の辺境に位置し、基本的に悪人で無ければ、どんな種族でも歓迎する。

もし新しい村人が増えたならば、村単位で祝いの宴をあげる……小さくも心優しい暖かい村だ。


人とエルフのハーフであるハーフエルフや、魔物の血を体内に持っていると言われているダークエルフ。


種族入り混じる平和な国であるユークリッド王国の民でさえも忌み嫌う、そんな種族の人達も、ユリード村の人達は暖かく迎え入れる。


もしも、この村が国の中心の近くにあればきっと種族によっては「楽園」と称すであろう。


しかし、現在この村に住まう人の数は100人とそれ程多くはない。


…何故ここまで人が少ないのか。


それには、2つの理由が存在する。


一つは、この村が国の中心から最も離れた辺境に位置し、一般人はこの村のことを噂程度でしか聴くことがないということだ。


主要な都市が、国の上端に集中してる中で、ユリード村はその反対…下端に位置している。

その為、この国の情報が都市部に伝わることが殆どないのである。


二つ目としては、この村の近くに魔物の多く存在する森である、アクマの森があるということが挙げられる。

アクマの森はユリード村の更に下に存在する、人間の存在する大陸の中で2番目に大きいと言われている森であり、危険な魔物も多く存在する。

その為、基本的には手練れ以外は近づかないので、そもそもこの村に近づく人が居ないのである。


…と、大きくはそんな2つの理由から、歓迎ムードでもこの村にはあまり人が居ないのである。


…そんなユリード村。


実はこの村を作ったのは、僕、ユウ・クラハドールの父親である、アルバ・クラハドールとその妻であり僕の母親であるルシア・クラハドールである。


基本的に貴族しか名乗ることができない名字。

それを小さな村に住んで居るのに名乗ることができているのには理由があり、これが村誕生にも関わってくる。


実は、僕の父親アルバとルシアは元々国の中心に住む貴族の1人だった。

それも、国の中でも特に発言力を持っていた程のだ。


そんな僕の両親は、日々差別撤廃を訴えていた。


基本的に種族差別の少ないユークリッド王国であるが、それでも差別は0ではない。

ユークリッド王国でさえも差別の対象となっている種族何かは、当然他の国にも受け入れて貰える筈もなく、居場所なんて存在しないような状態だった。


だからこそ、ユークリッド王国だけは差別を0にし、そんな種族も受け入れてあげようと毎日訴えていたのだ。


…しかし、両親の必死の訴えは、王には届かず、ついには都市部から追い出されてしまった。

約12年前のことだ。


けれど、両親は諦めきれなかった。


だから、作ったのだ。


差別などない、誰でも歓迎する小さな村……ユリード村を。


村を作った後は、両親が目をつけられない程度で国中を回ったり、この村の情報を噂として流したりした。

その為、差別的扱いを受けていたものなどが噂などを聴き、藁にも縋る思いでこの村にやってくるのである。


そして、村は現在の100人程の人口となった。

因みに、この数字は年に2組ほどの家族が来たりするので、年々増加傾向にある。


…と、そんな僕の住む村について説明をしてきたが、一つ疑問に思っている人も居るのではないだろうか。


そう。何故、アクマの森の近くという危険な場所に住むことができているのかだ。


これには理由がある。


先程、僕の両親は国での発言力を持っていると言ったが、この発言力というのはどこから来るのかと言うと、その貴族の単純な戦力からだ。

つまり、貴族の中では強いもの程発言力が強くなるというわけだ。


では、国の中で発言力のあった両親はどうか。


当然、物凄く強い。


父は単純な武力、母は情報力と防御力を持っている。


そんな2人がこの村にいるのだ。


仮に魔物が近づいてきたら母親が素早く見つけ、父親がそれを排除する。


この繰り返しで、現在に至るまで村に被害が及んだことはない。


…と、いうわけでこの村にいる限りは危険に冒されることは殆どないのだ。

とはいえ、流石に安易に村の外に出ることは基本的に禁止されている。


まだ闘う術の殆どない子供ではもし魔物と遭遇した時に冷静に対処できるとは限らないからだ。


…と。村についてはこんなの所だろうか。


「にぃ、どうしたの?」


不意に横からそう声が聞こえる。


あの後、リアが少し準備をすると言って自室に移動した為、それを待っている間に村の情報を改めて整理しておこうと色々と考えていたら、どうやら結構時間が過ぎたようだ。


リアが準備を終えたようで、僕の目の前に来ていた。

リアは、また心配そうな顔で僕のことを見ている。


考えごとをすると、あまり周りが見えなくなる癖。

その為に、またリアに心配をかけてしまった。


「大丈夫。何でもないよ」


だから僕はリアにそう言った。


リアは安心したようで笑みを浮かべる。


…そんなリアの雰囲気。

どうやら、リアの言っていた準備には服装や髪型などの選択も含まれていたようで、いつも以上に可愛いらしい様子であった。


まだ7歳だと思っていたが、リアも立派な女の子だと実感することになった。


だからか、僕は自然に、


「…それよりも。リア、凄く似合っているよ」


と、目の前の少女を褒めていた。


リアは普段との違いに気づいてくれたことが嬉しかったのか、顔を真っ赤にしてニコりとはにかんだ。


そして、「にぃ、いこ?」というと、僕の手を掴んで外へと連れていった。


書いていて思ったのですが、妹なのに7歳なのに凄くヒロイン力が高い…。


元々妹をヒロインとする気はなかったのですが、まだ彼女の生い立ちなどは話の中に書いてないのでもしかしたらヒロインになることも……あるかもしれません。

もしなったとしてもだいぶ先のお話になると思います。


次話についてですが、明日投稿できるかはまだわかりません。

ですがなるべく早く投稿するつもりなので、よろしくお願いします。


因みにその次は地球に残された幼馴染の2人のお話が1話か2話入ります。


長々とお話してしまい、申し訳ありません。

どうか、これからも今作品をよろしくお願いします。

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