【参話】ドラムのパーツ~入江高太のドラム講座Ⅱ
自分で書くと挫折するけど、協力者がいると書くスピードもはかどりますね。では、第二回ドラム講座、そこ面白くないって言わないの!
「よし、そろそろ戻るか。うつつを抜かし取ったわ。」高太は30分作曲に集中していた。
スタジオに戻ると明菜は、ずっと練習をしていた。真面目だな明菜は、つくづく思うよ。
「あっ、高太。仕事は終わったの?」スタジオに入ると、驚いたようにこっちを見る。
「大丈夫だよ。それより、今の今まで練習していたのかい?」
「うん。思わず夢中になっちゃった。やっぱり私、音楽が好きみたい。」半分嘘のような言葉だが、彼女のほほえみを見ていると全て本当のことに思えてしまう。でも、何か引っかかる気がして尋ねた。
「何かあったのか?吹奏楽部で。」
「リズムを機械のごとく合わせろと顧問の先生がうるさくてさ。音楽が楽しめなくて。学問のように感じてしまって。」彼女は、疲れ切ったように話していた。
「それは大変だったな。頑張って俺もその人間メトロノーム先公に合わせてやるから。明菜も頑張ってくれ。」
「うん。まだリズムというか。奏法に触れてないよね?何かあるの?」
「初歩中の初歩のリズムに、エイトビートがあるよ。その前にドラムのパーツを教えるね。まず、ペダルを踏んで叩くのがバスドラム。これは、大きな音が出るからドラムの要だね。そして、スティックで叩く太鼓が四つあるでしょ?奥の二つが、タムとかトムとか呼ばれて、嘗ては通信手段に使われていたらしいよ。ここまで大丈夫?」
「ええと、この一番大きな太鼓がバスドラムで、奥の二つがタムですね?」
「うん。大丈夫。合ってるよ。じゃあ残りのパーツね。」
「分かったよ。教えて。」
「手前の右側が、フロアタムで左側が、スネアね。左側にある小さなシンバルはハイハットと呼ばれてペダルがあるけど、踏んだだけでは音は鳴らないよ。言うなればうどん作りの時、生地を踏んだだけでは味の状態が分からないでしょ?茹でてみなきゃね。スティックで叩くという茹でる作業をして始めて音が分かるんだよ。ペダルの踏む圧力の違いで音が変化するよ。」
「右側の太鼓がフロアタムで左側がスネア。左側の小さなシンバルがハイハット。」
彼女は一生懸命メモを取っていた。吹奏楽部は真面目だなあ。ついて行けるかなあ。
「タムの上にあるシンバル二つが、クラッシュシンバルと呼ばれていて、ハイハットに相対して右側にあるのが、ライドシンバル。まあ、この他にも色々あるけど、今回は使わないからね。」
「うん分かった。ドラムって複雑だね…」
「でも、上手く叩けたら楽しいよ。さあ、次は、エイトビートに挑戦してみよう。その前に、頑張りすぎだから少し休憩な。」
まだまだ、練習は続くのであった。