これからについてを話し合う
大変お待たせしました。
9話です。
執筆が遅くて申し訳ない。
ぐぬぬ、時間が足りぬ!
ズズズッと日本茶を飲みながら、食後の休憩をしつつ、対面の真司からのレクチャーを受けていた。
何のレクチャーかと言われれば、これから先の事についてである。
ちなみに、ヒマだろうからと灰白さん達にはオモチャやオヤツを与えてある。
今はテーブルの下でオモチャであぐあぐしたり、オヤツを食べたり、毛繕いしたりしている。
さて、このゲームには定番のシナリオと言うものが無いみたいなのである。
何故かと言えば、余りにも膨大にあるイベントや俗に言うダンジョン、(ここではエリアフィールドと言う)のような物があり過ぎて、とてもでは無いがシナリオを進める時間と、作る時間が取れないからだそうだ。
前者はプレイヤーの都合で、後者は運営の都合だ。
では、このゲームでは何を進めればいいのかとなると、大体3種類に分けられる。
1つ目は、日本各地にいるエリアボスを討伐する事で、このエリアボスは主に日本の伝承などに出てくる妖怪や、神社やお寺などで祀られている動物などがボスとして登場する。
俗に言う、攻略組だ。
2つ目は、生産活動をする事で、これは主に冒険者では無く生産プレイヤーとしての活動をメインにする事の様だ。
攻略組から素材を買って、それを武器や防具などにしたり、または自分で素材を手に入れて作ったり、畑を作って自家栽培したり、または町で料理屋さんなどを開いたりと、生産プレイヤーの活動は結構幅広い。
3つ目は、そんなに人は多くないらしいが、イベントオンリーの人だそうだ。
このゲームではかなりのイベントがあり、定期イベントと行事イベントと新規イベントがある。
定期イベントは、毎年決まった日時に始まるイベントの事で、最近始まるイベントだと、闘技大会がそれに当たる。
行事・祭りイベントは、日本各地の行事や祭りをイベントとして行う事で、これはランダムで2〜3箇所で同時に行うらしい。
新規イベントはそれ以外のイベントとなっている。
「とまぁ、此処までは大丈夫か?」
「うん。まぁ、何とか大丈夫かな」
ちょっと自分に関係なさそうな所は、左から右にスルーしちゃっているけどね。
例えば、イベントに参加するには、必要Lvに達してないと出来ないみたいだが、まだ始めたばっかりの俺には東京以外のイベント参加は無理だしな!
ちなみに、イベント事と言えばお知らせが来るものだと思うが、このゲームだと定期イベント以外は、これと言って運営からお知らせが届くわけでは無く、ウィンドウのイベント欄に、イベント名と場所とイベント期間が表示されるだけだ。
理由としては、日本の行事や祭りってかなりの数になる為、毎日運営からお知らせが届く様になってしまうからだ。
なのでイベントオンリーな人や、気になる人は毎日イベント欄をチェックしているんだそうだ。
「んじゃ、ユッキーには東京を巡りつつLv50まで上げるからな!」
「了解。Lv50に上げると何かあるのか?」
「あるある!」
と、ウィンドウの地図を広げて俺に見やすい様に反転して、指で示しながら解説する。
「まず、東京から他の都市に行くには4獣のどれかを倒さなきゃいけないんだけど、倒すためにはLv50にならないと4獣が出て来ないから、先に進めないんだ。」
更に隣の県に行くには、50ずつ必要なLvが上がるらしいのだが、各県にあるエリアフィールドを全て踏破していれば、そんなに大変では無いらしい。
ちなみにだが、この必要なLvは本土と四国のみとなっており、北海道と九州と沖縄は例外となっている。
で、無ければ北の端に行くのと南の端に行くのに必要なLvが南のほうに偏ってしまうからだそうだ。
さて、さっき話題にしてた4獣とは、東京と京都に配置されているらしい。
その4獣の名前は、
・神の使い–北を護し者 玄武–
・神の使い–東を護し者 青龍–
・神の使い–南を護し者 朱雀–
・神の使い–西を護し者 白虎–
となっている。
東京の場合はそれぞれ、〜の幻影と付くみたいで、何故かと言えば京都の方が遠いため、必要Lvが高くなるからだそうだ。
なので、東京の4獣は京都の下位互換として幻影の名前が付いている。
強さでは、本体、分身、化身、幻影となり右から順に強くなっていく。
本体の場合は特に記載は無い。
「マジか!けど、昨日の行きの時は結構簡単にLv上がったけど、帰りは殆んど上がらなかったぞ?Lv50まで上げるのにどうするんだ?」
「それは、Lvアップに必要な経験値が上がって来たからだろうな。15位から結構な数を戦うか、自分と同等か、自分より強いモンスターと戦わないとなかなか上がらないんだ。なので、ここに行きます!」
トントンと地図上を指で差された場所を見ると、そこには「天に昇りし大樹」と書かれた場所があった。
場所はここからなら、そんなに遠く離れている訳ではないので、お昼から出て順調に行けば夕方頃には着けるような位置にある。
「ここは?」
「初心者向けのエリアフィールドだ!エリアフィールドには、エリアモンスターとエリアボスがいて、ボスを倒すとレア度と品質が高めの素材が手に入る。もちろんエリアモンスターでも素材は手に入るけど、ボスに比べると品質とかは下がるな。」
エリアフィールドとは、日本の寺や神社は勿論、お城や観光地なんかも名称を変えてエリアフィールドとして存在している。
だから、天に昇りし大樹も英語にすれば、あの有名な観光地になる。
それ以外の、いわゆる道路やなんかは通常フィールドとなっている。
エリアフィールドの最奥にいるモンスターがエリアボスとなっており、通常モンスターと異なり一癖ある強さであるらしい。
「ここに行くまでの地図を埋めつつ、モンスター図鑑を埋めようぜ!」
「ほーい。ところで疑問に思ったんだけど、朱雀って倒す意味ある?南って行く場所ないじゃん?」
そう、地図を見ていて思っていた事だったのだが、北と東と西はそれぞれ都市があるけれども、南だけ海なのだ。
強いて言えば神奈川が南に当たるかな?位のもので…
「それがあるのです!実は、東京の4獣を倒さないと、京都の4獣を倒すためのイベントが発生しないんだよ!これを知った時の絶望とかね!もう笑うしかないよね!」
やり始めの頃の真司も、特に行く予定では無かった西以外の4獣をスルーしたらしいのだが、いざ京都に着いた時に、玄武、青龍、朱雀の討伐をしようとした際「イベントに必要な条件が揃っておりません」と表示されてしまったのだそうだ。
ただ、白虎だけが討伐可能だったため、「これは東京の4獣を討伐しないといけないのでは?」となり、白虎だけ討伐してから東京に戻り、残りの4獣を倒すという事をしたのだそうだ。
そんな手間をしてしまったので、そうならないために4獣の討伐は必須なのだそうだ。
「それは…ドンマイ!ちょっと先走りかなって思うんだけど、4獣もエリアボスみたいにエリアフィールドとかにいるの?」
「おう、慰めサンキューな。んで、その質問なんだが答えはNOだ!4獣の場所は東京と他の県の境目を渡ろうとするとイベントが発生するから、特定の場所って訳じゃないぞ!」
「そっか、んっ?て事はさ、Lv50になったら東京の端から端まで行かないといけない感じだったりする?」
「だったりする!京都の場合は町の四隅に石碑があるから、それを触ればイベントになったはず!」
マジか…東京の端から端までって結構な距離があるよな…たしか西の方は山だった気がするんだけど、山登りとか小学校とかの遠足位しか登った事ないけど、大丈夫なんだろう
か?東京を巡るだけで何ヶ月かかっちゃうんだろうか?
「おーい!ユッキー戻って来ーい!」
「はっ!ごめん、ちょっと意識が遠くに行ってた」
目の前をヒラヒラと、手を振りながら心配そうな顔をして覗き込む真司に、俺は両頬をパチパチと叩きながら答えた。
「まぁ、ユッキーの気持ちも分かるぜ!距離がヤバイって思ったんだろ?」
ズバリその通りです。
だってさ、電車で端まで端まで行くには3時間位掛かりそうだから、徒歩だとその3〜5倍掛かりそうじゃん!
「うん。意識してなかったけど、東京って結構な距離あるよね」
「そんなユッキーに朗報なんだが、東京に馬に関係のある寺がある!そこのエリアフィールドのボスを倒すと、馬が使役出来るから、結構早く進めるぞ!だから、とりあえず今は無駄かもしれないけど、とりあえずスキルポイント使って乗馬と乗馬術使えるようにしとけ」
サモナーとテイマー限定だが、お寺や神社で祀られている動物は、そこのエリアボスとして登場し、討伐するとその系統のモンスターが手に入るのだという。
ただ、品種と言えば良いのか、種類と言えば良いのかは謎だが、出現するのはランダムだが、今の所ダブった事は無いそうなのだ。
勿論、お寺や神社以外のエリアフィールドのボスモンスターも使役する事は出来るが、
出来ないのもあるらしい。
「わ、分かった。うぅ、馬なんて乗った事無いよー」
いったい、今の時代の日本人の何割が乗馬経験があると言うのだ。
「だから、そのための乗馬スキルだろ?」
「そうなんだけど」
と、とりあえずスキルポイントはまだ残っていたし、各必要ポイントは5だったので習得しておいた。
各スキルの説明は以下の通りだった。
・乗馬
馬に乗る際の補助スキル。
熟練度が上がるに連れて乗る際の負担を軽減させる。
・乗馬攻撃術
馬に乗った際の攻撃に補正が入るスキル。
熟練度が上がるに連れて威力が上がる。
「取った後に言うのもアレかなって思ったんだけど、これって今取らないといけなかったのかな?」
まだ、馬も入手していないのに、いささか早計なのでは?と思ってしまったのだ。
「いや、これは取れるなら直ぐに取った方が良いスキルなんだよ。」
実は、各町に馬を借りるか買える場所があるらしく、サモナーやテイマーでは無いプレイヤーは、そこで移動手段として馬を購入するのだが、やっぱり初心者が乗ると身体のあちこちが痛み、攻撃も普段とかなり違っているため中々当たら無い。
さらに使役モンスターでは無い普通の馬なので、モンスターに倒されると借りている場合は罰金が発生してしまうのだそうだ。
なので、このゲームの常識としては、移動に便利な馬を使い易くするための乗馬スキル
は、最初に取って置いて、比較的初心者向けの東京エリアでスキルの向上を目指す!と、なっているのだそうだ。
「まぁ、借りるのに結構お金掛かるし、ユッキーが馬を使役するまでは徒歩での移動メインだけどな!」
「まぁ、そうだろうね。結構お金が貯まったって言っても、食料とか、俺や灰白さん達の防具とかを買ったら足りなくなりそうだん」
昨日買い物をしつつ、武器屋や防具店をみたら、安いので3.000G、高いのだと15.000G位していたはず。
「安心しろ!灰白達の分は俺が出すぞ!」
あっ、これはその後のもふもふを期待しての発言だな…一応キリッとした顔をしているけど、ちょっとニヤけていますよね?
まったく、こいつという奴は!
「はいはい。もふもふ出来るかは灰白さん達次第だからな!」
ニヤけている顔に向かって、軽く睨みつつ牽制をかける。
「分かってるって!それじゃあ、この後は商店街の方に向かうか」
「そうだね。とりあえず、必要な情報は分かったしね。それに、テーブルの下の子達がさっきから俺の足にちょっかいかけて来てるから、そろそろ飽きて来たんだと思う」
そう、最初におもちゃやなんかを与えていたんだけど、今は、俺の足を突いたり、テシテシと叩いたりしていた。
「うおっ!ちょっと羨ましいぞ!」
テーブルの下を覗き込んだ真司にそんな事を言われるが、やられているこっちの身としては、くすぐったいので止めてもらいたいで
す。
所でなんだが、真司はテーブルの下でなにをゴソゴソしているんだ?
「よし、スクショに撮ったぞ!さて、旅支度に向かいますか!」
「そんな事してたのかよ!まったく…皆出てきてー買い物に行くよー!」
「 やっと、終わりましたか!」と、のっそりとテーブルの下から出て来た灰白さん達に告げると、やはり皆はかなり退屈だったみたいで一斉に俺に群がって来た。
しょうがないので撫でつつ宥めている俺
を、羨ましそうな顔をして見ていた真司をせっついて、商店街の方へと向かった。
さて、北に行くか、南に行くか…