表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/76

ゲームパーク・カジノ

ブックマーク、感想、評価ありがとうございます。


 築地を満喫した俺達は、再び訓練場まで戻っていた。


「それじゃあ、ここでお別れだね!」


「はい! 色々勉強になりまっ、グフッ!」


「一緒に食べれなかったから、ここで。ヨシヨシ。にゃんにゃん」


 俺が言っている最中に、唯が両手を広げて思いっきり正面から抱きついて来たかと思えば、そのまま俺の頭を、手と頬でスリスリし出した。

 未だに付けていた、俺の猫耳もだ。


「……ウフフー! なら、私も、一緒に!」


「プハッ! えっ? ちょっ、舞姫も来なくていいよ! ってか、なめこと蜂蜜も、何で地味にジリジリこっち来るの!」


 ガッチリホールドからなんとか頭だけを脱出させて、舞姫の声が聞こえた方を見れば、そこには中腰の姿勢で両手を前に出し、気持ち悪いくらい滑らかに指を動かしている何かがいた。

 いや、舞姫なんだけどさ、その手の動かし方がちょっとアレなんだよ。

 そんな舞姫に感化されたのか、なめこと蜂蜜もジリジリと舞姫と同じポーズで、未だに唯のホールドから逃げられない俺の方へとやって来ている。


「ンフー! 天の声に呼ばれた気がして!」


「一緒にお寿司食べた仲じゃない! さぁ、お姉ちゃん達に可愛がられなさい!」


「嫌ニャーー!」


 無情にも俺の叫びは届かなかった。



「大変満足じゃー!」


「モフモフ」


「んふんふー」


「アレが10代の肌か……クッ!」


 俺の事をしばらくの間、揉みくちゃしていたらそれで満足したのか、強固であった唯のホールドから解放されたのだが、スタミナである体力ゲージがかなり減っている。


「うぅ……灰白しゃん」


「クゥーン」


 ご満悦の女性陣とは違い、俺は何とか灰白さん元へヨロヨロとしながらだが向かい、さっきので失われた体力と何かを補う為に、灰白さんのモフモフを楽しむ。

 灰白さんも「大丈夫でしたか?」と、俺の顔を舐めながら心配してくれて、他の皆も俺の周りに集まって来て、押し競饅頭の様にぎゅうぎゅうと擦り寄って来る。


「私達は、このまま北上して天界か冥界に行く予定だけど、そっちはどうするんだい?」


「ヨシタカはこっちのゲームパーク・カジノに行った事が無いから、俺と一緒にちょっくら遊んでくるわ。……生きてるか? ヨシタカ」


「うん。何とかね。体力がゴリゴリに削れたけどね」


「乙。そして羨まけしからん!」


「うちのおバカ達がごめんね」


「いえいえ、白薔薇は悪くないから」


 俺と真司は昼飯を食べている時に相談して、訓練場に併設されているカジノ。正確にはゲームパーク・カジノと言うらしいのだが、そこで遊ぶ事にしていたのだ。

 白薔薇達とはここで別れて、次のLv帯の訓練場に向かうらしい。

 実は訓練場に出現するモンスターは、その県のモンスターになるみたいなのだ。

 じゃなきゃ、高Lv帯のモンスターを討伐したのに、報酬が最低ランクの石のカジノコインだとダメだろう? って事らしい。


「お詫びと言う訳ではないが、私のコインあげるよ」


「それだったら、ついでに俺の分もあげるよ。いやぁー、ヨシタカってモテモテなんだな」


「おぉ、なら私もあげるよー!」


 そう言って白薔薇が俺に石のカジノコインをプレゼントしてくれたら、紫喜からも石コインを貰ってしまい、それを見ていた他の女性陣からも、今日の討伐で入手したカジノコインをプレゼントしてくれた。

 そのおかげで、俺の手元には50枚ほどの石のカジノコインが集まる。



「わぁ! ありがとうございます!」


 ホクホク顔で皆に感謝するが、白薔薇曰く、石のカジノのコインは数百枚単位で全員が持っているみたいだったので、今回はタダで貰ってしまった。

 むしろ、お詫びの品として渡されたのかもしれない。

 真司は白薔薇達よりも枚数は少ないが、石コインならば、数十枚は持っているらしいのだ。


「ふむ。それくらいあれば、かなりの悪運が無ければ一日中は遊べるね」


「東京はレートが一番低いからねー!」


「この前、天界のカジノやってみたら、最低レートがプラチナコイン10枚だった」


 プラチナコインはカジノコインの最上位のコインのことであり、石コイン、鉄コイン、銅コイン、銀コイン、金コイン、プラチナコインとなるらしい。


 それぞれを入手するには、石コインが東京のみ入手が出来て、鉄コインが東京の周りの県で入手が出来る。

 銅コインが中部と関西なのだが、場所的に福島県もここに入る。

 銀コインが東北と中国地方と四国と九州。

 金コインが北海道と沖縄で、最高位のプラチナコインが天界と冥界で入手出来るようだ。


「ちなみに、プラチナコインの入手ってどんな感じ?」


「うーんとねー。両方の最弱モンスター1体を対象として、100回討伐してやっと一個入るかどうか? かな?」


「マジかぁー。掲示板通りって事かー!」


 ワクワク顔で舞姫に聞いてみた真司だが、あまりの出なさ加減にゲンナリとした顔になってしまっていた。


「プラチナを楽に取りたいなら、七つの大罪とか七つの福音とか、有名で複数人で一括り系が効率が良いよ」


「ウゲッ。あのデタラメ集団か」


 最後に白薔薇がトドメを刺した。


 七つの大罪と七つの福音は、すでにネットにて攻略方法が載っているのだが、攻略と言っているにもかかわらず、一撃死や討伐失敗を数回して、やっと成功動画が撮れると言われるほど、かなりのプレイヤースキルが必要とされる相手の様で、一人ずつ相手をするのならば、そんなに大変と言うわけではないのだが、闘技場と言う逃げ場の少ない場所での戦闘だという事が、難易度の高さの理由になっているような気がする。


「けど、確実にプラチナコイン20枚はゲット出来るからねぇー」


「単体でも1枚は確実に入手出来るよね?」


「いや、単体でも強いじゃん?」


 蜂蜜となめこの補足話を聞いても真司の顔は晴れなかったが、プラチナコインを入手するためにはLv500以上にならないといけない為、今この話をしても不毛という事になり、舞姫達とは別れて、俺達はゲームパーク・カジノの入り口である、左側の扉の中へと入って行った。


「あっ。こっちは転移とかしないんだね」


「まぁな。一応、ここは賭博系の町って事になっているからな」


「ふーん。あれ何だろう?」


 入った先で一際目立つのは、玄関扉の正面にある案内板である。

 その案内板によると、ここの敷地には大きな店舗が6つあり、一つは宿屋で飲食スペースも兼用している。

 そして、残りは換金所とゲームパークが二つと、カジノが二つであった。


 案内板によれば、リアル世界の地図で言う所の池の上に、浮かぶように宿屋があって敷地面積的には宿屋が一番大きい。その隣がゲームパークとカジノを四分割していて、その隣の土地に換金所があるみたいだ。

 換金所となっているが、実際はアイテム交換所として活用されている。

 ついでにその換金所では、プレイヤー同士のトレード場所にもなっている。


「うぅーん。結構ここの宿屋混んでるな。特に地下は満室だわ」


 案内板をタッチして宿屋の情報を見てみると、宿屋は水面上と水面下両方に泊まれるようだが、今は水面下の方の部屋表示には、宿泊の欄に×印が付いていた。

 どうやら水中ホテルの様に、湖の中を一望出来るとあって人気の様だ。


「空いてないならしょうがないな。空いている部屋取るか」


「そうだね」


 今日は時間の許す限り遊び倒すつもりでいるので、すぐにログアウトが出来るようにと、ここに泊まる予定だ。


 早速案内板を頼りに宿屋へと向かい、運良く俺達全員が泊まれる大部屋を見つけてチェックインをしておく。


「さぁ、これで心置きなく遊べるんだよな! 何するんだ? どこ行くんだ?」


 宿屋の外見は海辺を一望出来る様な外観をしており、そこの受付で手続きを終えた俺は、四つあるゲームパークとカジノの場所に向かいつつ、早速先輩プレイヤーの真司に聞いてみた。


「うーん。取り敢えず、ここでの選択肢は二つだ。コインを増やすか、アイテムを取るか」


「うん?」


 ピースサインをした指を、左右だったり前後だったり折り曲げたりと、色々動かしながら真司は言った。


「ゲームパーク・カジノの特徴は、どの場所も大体同じ様な内容なんだけどよ。コインを増やすのがカジノで、コインを消費するのがゲームパークなんだ。

 まぁ、最初のコインを取るのは訓練場で統一されているけどな。裏技的なのだと、換金所のプレイヤーかNPCから買い取るかだな!」


 さらに細かく分類すれば、コインを増やすカジノはカードゲームとボードゲームで分かれており、その両方にスロットが入っている。


 カードゲームは所詮トランプを使ったゲームの事であり、有名なポーカーやブラックジャックがここに入る。

 ただ、プレイヤーの中にはその両方のやり方を、知らない人もいるかもしれないという配慮から、トランプゲームの定番であるババ抜きや七並べ、さらに大富豪などもこのカードゲームの中に入っている。


 もう一つのボードゲームの方は、カジノと言ったらコレッ! って、定番のルーレットやダイスを使ったゲームなどがここに入るし、日本古来からの賭博である半丁も、同じダイス系という事でここに入っていたりする。


 あとは、キノと言った宝くじと同じ様に、数字を当てるゲームも存在して入る。

 このキノだけ他のゲームを進行していても参加出来るとあって、非常に人気のゲームとなっている。


 スロットはどちらにも併設されているが、残念ながら日本での賭博の定番である、パチンコは無い。


 アイテムを入手出来るゲームパークの方はもっと単純で、ゲームセンターでお馴染みの、UFOキャッチャーと音ゲーとに分かれている。


 UFOキャッチャーの方はそのままで、本体のの中のアイテムをゲットするゲームなのだが、景品の種類が場所によって変わる様だ。

 最も著しいのは各都道府県の特産品や、限定商品などである。

 そして、UFOキャッチャーの暗黙ルールとして、自分の後ろに人が並んでいた場合、5回プレイしたら交代と言う暗黙のルールが存在している。


 もう1つが音ゲーで、アイテムを入手する事は出来ないのだが、その代わりに同じ楽器で高得点を数曲分取れれば、戦闘スキルである吟遊詩人が入手出来るみたいなのである。

 ただし、その前後でもいいので、付与術師も取っておかないといけないらしい。


 なので、音ゲーと言っても家庭用ゲーム機である太鼓の様な物ではなくて、楽器をモチーフにした道具を使った音ゲーとなっている。

 ただし、ピアノとドラムはリアル世界に比べると特殊で、鍵盤またはドラムの部分が、プレイヤーのちょうど良い位置に浮いているそうなのだ。


 それ以外にも、それぞれのゲームパークには、パンチングマシンやモグラ叩き系のゲームにエアホッケーなどもある。


 その代わりに、コンピュータゲームやプリクラなどが無い。


 以上の事を踏まえて、俺が向かう先は一つしかなかった。




「あぁー! あとちょっとだったのに」


「惜しい! 惜しい! あとちょっとじゃん」


「くそう! もう一回!」


 本体にコインを入れて、設置されている矢印が付いたボタンを押す。すると、天井から吊り下がっているアームが動き、目当てのアイテムの真上まで移動させる。

 手を離したら自動でアームか下がり、アイテムを掴もうと挟み込む。


「よしっ! そのまま、そのままだぞー。落ちるなよー。よし、行け! 行けっ! あっ、やったー! 取れた取れた!」


「おおー、おめでとー。っても、これ取るのに8枚コイン使ってるけどな」


「うっさいわい! UFOキャッチャーなんて子供の頃にやったきりなんだから、しょうがないだろう?」


 四つある施設の内、俺が来たのはここ、UFOキャッチャーをメインで置いてあるゲームパークであった。


 理由は簡単で、石コインは増やすつもりは無かったから、石コインが増えたり減ったりするカジノはパス。

 それに、楽器と言えば小学校の時のリコーダーや、中学の時の木琴とかアコーギオン位しかやった事のない俺にとって、音ゲーをやろうにも楽譜が読めないと言う難点があった。

 なので、消去法と言っても過言ではない、この場所に来たのであった。


 UFOキャッチャーがメインのゲームパークは、スーパーの様な配置がされており、入り口から外周を左回りに野菜や果物、肉に魚と来て最後に乳製品を扱ったUFOキャッチャーが配置されていて、その真ん中には東京名産のお菓子や、食べ物に飲み物まで置いてあり、装飾品なんかも置いてあった。

 あとは、入り口から見て左側、スーパーだとレジがある辺りには、ズラーっとスロットが並んでる。

 最初はどこに何があるのか分からずに、UFOキャッチャーの所をウロウロしてしまうかと思ったが、番号と分類が書かれた板が天井から吊り下がっているし、四隅には案内板も設置されていたので、迷わずに目当てのエリアに辿り着けたのである。


「えへへ、お肉お肉ー! 何にして食べようかなー。無難に塩胡椒? それともスパイスで攻めてみるとか? うーん、揚げても煮ても美味そう」


 俺が入手したのは東京の畜産品だと言う豚で、ここではブロック肉をUFOキャッチャーでゲットすると、ランダムで豚の部位が500gゲット出来るのである。

 俺が入手したのは使い勝手のいい、豚のバラ肉500gのブロック肉だった。


「あっ、薄く切ってキャベツの千切りと一緒に生姜焼きでもいいなぁー!

 あぁ、ご飯が恋しい!」


「でもギリギリだったな。石コインあと何枚だ?」


 めくるめく豚肉料理を考えていると、真司からコインの残数を聞かれたので、ウィンドウのアイテムポーチの欄で調べてみたら、このUFOキャッチャーがメインのゲームパークで、結構使い込んでいた様だった。


「んっとね……。あと3枚」


「ふはっ。マジでギリギリだったな!」


「本当だよー。俺一人で入手しなきゃいけないから、プレッシャーが半端ないからね!」


 ここのUFOキャッチャーは、ゲーム世界なのでアイテムを補充するという行為が無いのだが、その代わりとして、アイテムをゲットするか、プレイヤーが入れ替わるかすると、アイテムの配置が元に戻ってしまうのだ。


 なので、せっかくアイテムを良い位置にもって来たとしても、プレイヤーが交換したら元通りとなってしまうのである。

 なので、店員さんによる良い位置にアイテムを置いてもらう、という行為が出来ないのである。


「あと3回は遊べると言っても、どうする? 一応換金所にも行っておくか?」


「そうだね。残り3枚だけど、交換出来るならしちゃおうかな?」


 他のUFOキャッチャーで遊ぶには、俺が持っている石コインの残数が心許ないし、かと言って真司の石コインで遊ぶのは、ちょっと気が引ける。

 それに、最初に店内を一周して見た感じでは、他に欲しい物はなかった気がした。

 一応最後の駄目押しで、グルっともう一周してから換金所へ向かった。




「ウゲッ。閃光弾とか爆弾って結構石コイン使うんだな」


 換金所は百貨店の宝石売り場の様な雰囲気で、分類ごとに担当のNPCが存在している。

 ただ、換金所の入り口はソファーやテーブルなどもあり、ホテルの受付の様な印象だ。

 人の流れを見ると、それぞれの担当受付に行ってアイテムと交換するようなんだが、まずは入り口で貰った目録を確認するべく、入り口近くにあるソファに座って目録を開いた。

 目録に記載されている、ここで交換出来る全アイテムの内、石コイン1枚で交換出来る物から、石コイン100枚を必要とするアイテムが掲載されていた。

 しかもご丁寧に、自分で作る際の素材アイテムが書いてある物もある。


 ちなみに、石コイン1枚で交換出来るアイテムは、50円〜100円引きの割引券や素材アイテムだ。

 割引券の方は、お店によって割引の値段に差があって、素材アイテムの方は比較的安価で俺でも手に入れやすい物が、5個で1つ分として交換出来るみたいだ。


 そして、訓練場でなめこが使っていた閃光弾や、皆が持っていた爆弾は、それよりも多くの石コインが必要であるようだった。


「えっと、閃光弾と爆弾は石コイン10枚と交換で、爆弾小だと5枚の石コインが必要となるのか」


「ここでしか手に入らない武器や防具、装飾品もあるから、じっくり見て見れば?」


 確かに真司の言う通り、ディーラーやバニーの防具が載ってあるし、賭博という事で運関係の装飾品もあった。


「まぁ、今日は交換出来ないけど、見る分にはタダだもんな」


 今日は他に予定も無いし、真司と目録を見ながら「あーでも無いこーでも無いと」過ごした。




昨日はバレンタインでしたが、皆さまチョコを貰いましたか?あげましたか?


私は買い溜めしたチョコを、自分用にボリボリ食べてましたね笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ