夢の豪華丼!
ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。
また、初レビューを頂きました!
ありがとうございます!
「このコインが、カジノで必要なんだよね?」
俺は訓練場で入手したコインを手に持って、目の前の3人に聞いてみた。
コインと言いつつも、俺が持っているのは石が素材のコインで、大きさは500円玉と同じ大きさだ。
もっと似ているような物といえば、ゲームセンターにあるコインを落とすゲームのコインに、大きさも幅も似ているかもしれない。
闘技場では舞姫達と代わり番こに使い、四獣は一通り時計回りで一回ずつ戦ってみたのたが、やはり通常のモンスター相手に比べると、とても難儀した。
それぞれの特徴を述べるなら、玄武の亀の場合、動きが遅い代わりに全体の肉質が硬く、武器の切れ味が甲羅は80%、他の部位は50%を下回ると弾かれてしまっていた。
あとは巨体なので、踏み付け攻撃をする際には地面が揺れてしまう。なので耐震スキルを習得するか、似たような効果のある装飾品を買わなければ、スムーズに討伐がしにくくなると思った。
主な攻撃は、噛み付きに踏み付け、タックルに土属性の攻撃などだ。
それに、油断してはならないのが蛇の存在だ。こいつの主な攻撃は、噛み付きに締め付け、尻尾で弾いたりするが、一番厄介なのが毒噴射だ。
喰らうと確実に毒状態になるので、耐震の様に耐毒スキルを発動させるか、毒消しを大量に用意しなければならない。
次に戦った青龍は、基本空に浮かんでばっかりなので、俺の片手剣だと尻尾や爪先位しか当たらないが、こっちには空を飛べる従魔や属性攻撃が出来るこがねがいる。
なのでHPを削ってもらって地面に落とす事が出来たので、意外とアイテムが無くても戦う事が出来た。
主な攻撃は、噛み付きに爪撃、あとは水属性の攻撃だ。
お次の朱雀は、HPが7割と4割を下回ると怒り状態となり、全身に炎が吹き荒れて、近付くとダメージを食らってしまう特徴があり、近距離の俺や灰白さんなんかは苦戦してしまった。
ここでも属性攻撃が出来る面々が活躍しており、特に露草の活躍は凄まじく、水属性攻撃をある程度朱雀にぶつければ、吹き荒れていた炎が鎮火したのである。
朱雀の主な攻撃は、火属性攻撃に体当たりや爪撃と嘴撃だ。
最後の白虎も中々に面倒くさかった。白虎は他の四獣に比べると、攻撃力とスピードが高かったので、かなり翻弄されてしまった。
それに、風を刃の様に飛ばすカマイタチの様な攻撃をしてくるので、カマイタチを避けたと思ったら、白虎が目の前に来ているなんて事が何回かあった。
そんな白虎の主な攻撃は、噛み付きに爪撃。タックルに風属性の攻撃だ。
それと、四獣全ての咆哮には耳栓スキルが無いと、自動的に耳を塞いでしまう特徴があった。
これは、貞○やこがねの時も同じ様なのがあったので、今後、ボス系のモンスター対策の為にも耳栓スキルを用意しておかなければならない。
「あぁ、そうだよ。ただ残念な事に、このコインって現金に両替が出来ないんだ」
「転売は出来るんだけどな〜」
「あとは、アイテムと交換が出来るんだよ」
俺の質問に、一緒に訓練場でパーティを組んだ真司や紫喜。あとは、同じテーブルに着いている蜂蜜が答えてくれた。
分かりやすくカジノコインと明記するが、このカジノコインは、カジノ内のアイテムと交換が出来る物で、カジノでお金に変えたりは出来ないが、各カジノでアイテムと交換する事が出来る。
交換出来るアイテムは、なめこが使っていた閃光弾や、皆が使っていた爆弾なんかが交換アイテムのメニューに入っているし、その中にはカジノの交換所でしか貰えないアイテムもある。
なので、カジノでの現金化は出来ないのだが、他のプレイヤーやNPC相手にならば売る事が出来るのだ。一応各コインには市場価格が設定されているが、売る方が任意に決める事が出来るので、ある時には数倍の値段でふっかけられる事もあるそう。
あと、カジノの中にはゲームセンターにある様なのも置いているらしく、それで遊ぶ時にも、このカジノコインが必要となるのである。
「お待たせしましたー! こちら、イクラ丼のお客様ー」
そんな会話をしていた俺達のテーブルに、店員がお盆を持って元気良くやった来た。
店員の制服は、回転寿司で見かけるような紺の半被のような服に、白の紙で出来た帽子をかぶっている。
「はーい! それ俺でーす!」
俺の隣に座っている真司が手を上げて、通路側の俺が店員から丼を受け取り、それを真司に手渡す。
真司が頼んだイクラ丼は、お米が全く見えないほどに乗っかっていて、その真ん中の部分に刻み海苔が乗っており、端の方にはちょこんと山葵が付いている。
「こちらはウニ丼です」
「それ俺です」
紫喜はウニ丼で、蜂蜜は季節の握りを頼んでいる。それで、肝心の俺は「季節の魚介。ふんだん盛合せ海鮮丼 1.800G」を頼んでいた。灰白さん達も俺と同じのを5人前買ってある。
その内の1つは真司が、残りの半分ずつを舞姫と唯に奢られてしまった。
真司の場合は、後でモフモフを要求するつもりで奢ってくれたのである。
「あとは、漬物とあら汁が付いてまーす。では、ごゆっくりどうぞ!」
漬物は定番の胡瓜と大根と人参の三点セットで、あら汁は魚の頭の部分が「こんにちは」をしている状態だ。
幸いな事に、目玉がどっかに行ってしまっているので、目と目が合うなんて事にはならなかった。
「それじゃあ、こっち先に来たから食べちゃってるよ!」
「はーい! どうぞー!」
隣の通路を挟んだ先には、舞姫、唯、白薔薇、なめこが座っており、そっちはまだ注文したのもが来ていないようだった。
ここに場所を移動したのは30分前の事。
訓練場の利用時間が過ぎて、受付へと戻った俺達は、ちょうど良い時間だからとお昼ご飯を取る事となった。その時に、俺が「お寿司系が食べたい」と言ったので、ここ築地へとやって来たのであった。
実は昨日、姉ちゃんが友達と一緒に、回らない寿司屋に行った事を自慢されて、どうしても食べたい気持ちが抑えられなかったのだ。
「物凄く良い雰囲気で、お値段もリーズナブルだった! あと、寿司がヤバイね! 回転寿司との差がヤバかった!」と、帰って来た姉ちゃんが延々と自慢してくれたおかげである。
ヤバイと凄いが連発していて語彙力がヤバかったが、それだけ衝撃的だったと言う事だろう。
その事を皆に言ってみたら「プンスコしてる。めっちゃ可愛い!」や「お姉ちゃんが奢ってあげるよ」なんて、頭を撫でながら言われた。
そんな訳で、このメンバーで一気に移動出来るようにと、白薔薇がとても大きなロック鳥って種族の鳥を呼んで、唯がこの前会ったドラゴンを呼び寄せた。
俺は初見のロック鳥に乗せてもらい、それぞれも半分ずつ別れて乗るのだが、灰白さん達をどうするのかで、ちょっと相談事となった。
いくら両方とも大きいとは言え、乗せるのには限度がある。なので、取り敢えず濡羽としじまは自力で目的地まで飛んでもらい、雀達は俺の肩に、真白は俺が抱っこして乗る事となった。
問題は灰白さん、こがね、夜空であるが、これは意外な方法で決着した。
その方法とは、攫われるが如くロック鳥とドラゴンの足に掴まれて飛んだのだ。
俺だったら「そんな運び方は絶対に無理!」な方法であり、実際に目的地に着いた時の灰白さんと夜空はグッタリしていた。
こがねだけはアトラクションに乗った感覚なのかテンションが高く、運んでもらったドラゴンの周りを、ピョンピョンと飛び回っていた。
その後に連れていかれた場所が、築地の中にあるこのお店だったのである。
このお店を選んだ理由は、蜂蜜のMutterに「本日一割引!」と書かれていたからだ。
Mutterを侮っていた。こんなお得情報が載っているのならば、俺も積極的に使用しようと思い、早速ここのお店を登録しておく。
ショップを経営しているNPCだと、お店の利益になるからって事で、簡単に登録することが出来た。
ここの大将さんは、50代くらいで厳つい顔つきのおじさんで、黙々と仕事をしている。他の働いているNPCとは違い、白い調理服を着ている。
今も一般よりはスラリと長い包丁を使って、短冊にされているお魚をお刺身用に切っている。
あれはサーモンだろうか? 脂が乗っているからか、正面がテカテカと光っていて美味しそうである。
だがしかし! 俺のこの海鮮丼にもサーモンは入っているのだ!
「それじゃあ、お隣から許可は得たんで早速食べようか? いただきます」
「「「いただきます!」」」
紫喜さん号令のもと、早速海鮮丼に箸を突き刺した。
「ん〜。美味ひい」
サーモンと一緒に、ご飯も盛大に口の中に入れて噛み締めれば、サーモン特有の脂と旨味が口の中に広がり、それを柔らかく包み込むように、ご飯の甘みが噛みしめる毎にやって来る。
それに、このお米の炊き加減も俺好みで、米一粒一粒の食感が分かる硬さを保っている。
たまに母さんが作ってくれる酢飯だと、すし酢を吸い込んだご飯が、ベチャってしている時があるのだ。
あれはダメだ! パスタもうどんも、ちょっと硬めが俺の好みなので、今度作る機会があったら俺がお米担当になろう。
「次は山葵を乗っけて、あーん。んふー!」
海鮮丼に乗っているお刺身達は、それぞれ二切れずつ乗っており、1つはそのままで食べて、もう1つは山葵を乗っけて味変を楽しむ。
海鮮丼は、定番のマグロにサーモン。イカに
タコにアワビ。イクラとウニも付いていて、尾頭付きの海老がドーン! と横たわっている。あとは、数種類の白身のお魚の刺身が乗っている。
これをリアル世界で食べるならば、数千円はするだろう豊富さに、俺は大満足で食べ続ける。
時たま箸休めな感覚で、付け合わせの漬物にも手を伸ばしてパリパリ、ポリポリ、カリカリとした食感を楽しみ、魚のあらが入った事による、魚の旨味たっぷりのあら汁を飲み込む。
「ヨシタカ、ご飯粒付いてる」
「ん?」
「ブフォ」
「……えっ。やだ、オカン。ウケる」
夢中で海鮮丼の攻略に励んでいると、目の前に座っていた紫喜の腕が伸びてきて、俺の右顎に付いていた米粒を、ヒョイっと掬い取るとそのままパクッと食べてしまった。
突然の事だったから、最初はポカンとしていたが、米粒を取ってくれた事を理解したら、だんだん顔が熱くなってくる。
それを隣で見ていた真司はあら汁を吹きこぼしそうになるし、蜂蜜に至っては肩を震わせて笑っていた。
(うぅ、この歳で米粒を付けていただなんて恥ずかしい!)
「ありがとうございます」
今だに暑い顔を、両手で仰ぎながら「ありがとう」と言う。
「いいよ。いいよ。美味しそうに食べているのを見るの、好きだから」
「紫喜、大食いとか好きでしょ?」
「めっちゃ大好き! リアタイで見れない時は録画するほど好き!」
「誰推しっすか?」
「えー? 誰だろう? 日本vs海外だったら当然日本だけど、個人かぁー。んー。やっぱ王者かな?」
「あぁ、あの人凄いっすよね! 俺もこの前見たんすけど、7キロ近く食べてましたよね?」
「ひぇー。7キロとか怖っ! 1〜2キロ増えただけでダイエットする女子からして見たら、7キロとか恐怖だよ!」
俺的に、意外な所に食いついた紫喜と、大食いの話で盛り上がる面々。
俺は再び米粒が付かない様に、もうちょっと上品に食べる様に心掛けた。
「はぁ〜ん。食べた食べたぁー!」
「ヨシタカは築地は初めてだろう? グルっと見て回ろうかね?」
「甘いの」
「はいはい。唯ちゃん。それはグルっと周りながら探そうねぇー」
食事が終わりお店を出ると、白薔薇からの提案で築地にあるお店を見て回る事にした。
リアル世界の築地は言わずもがな観光で有名な場所で、海外の人にも人気な観光スポットである。
なので、こちらのゲーム世界でも現地のお店が出店していたりする。
ここ築地の食べ物やアイテムには、面白い効果があって、それは、ほとんどの商品が対魚介類に特化している所である。
ある装飾品を扱っているお店を見て見れば、魚類に対して10%攻撃力UPや、水中行動に補正が付くアイテムが売っていたり、防具だと、水属性に耐性があるのが殆どだった。
武器に関しては錨や、魚を取るための網なんかが売られていたし、海と言えばポセイドンが有名だからか、三叉槍が大量に売られている。
あぁ。あとは釣竿とかルアーなんかも、ここで売られている。
対モンスター用だからか、全体的に大きく頑丈な物が多かった。
そんな観光をしていると、唯が忙しなくキョロキョロし始めた。
「めくるめく、甘味の園が近くに」
「この辺りだと……あぁ、あった。あそこの甘味屋さんじゃないか?」
紫喜が指差す先の看板には、甘味処と書かれた文字があった。
それを見つけた女性陣は「きゃあ、きゃあ」言いながら、その看板に吸い込まれる様に入って行く。
「俺達も行くか?」
「いや、付いてかないと、後で文句言われそう」
「何で先に帰るのよー! 的な?」
「「それそれ」」
俺も、姉さんと一緒に出かける時に、買い物が長い時は一人でぶらっと出歩く時があるが、毎回「ちょっと! 私を置いて、黙ってどっかに行かないでよ!」と、怒られていたのを思い出す。
親から俺用のスマホを買い与えられた時から、一応そっちに連絡を入れてからぶらつく様にしているので、最近はそんな事を言われる事は無くなった。
流石に、女性服売り場で1時間も待っているのはツライです。
「ちょっとー! 早くお店に入ろうよー」
先に行っていた舞姫に促されて、俺達も甘味屋さんへ足を踏み入れた。
「はい。フルーツあんみつが3つとぜんざい。あとはみたらし団子とかき氷ねぇー。マンゴーにいちご練乳に宇治金時だよ。あとは、どら焼きが5個ね」
フルーツあんみつが唯、舞姫、なめこ。
ぜんざいが紫喜。
みたらし団子が白薔薇
かき氷はそれぞれ蜂蜜、俺、真司の順番だ。
最後のどら焼きは灰白さん達の分である。
フルーツあんみつは、蜜柑、黄桃、パイナップルの果物と、定番の豆とこしあんと白玉に、さくらんぼが入っている。
それとは別の器には、たっぷりの黒蜜ときな粉が盛られている。
紫喜が頼んだぜんざいは、この中では1人だけ暖かいのを頼んでおり、ぜんざいの中には一口サイズの切り餅が3つ入っている。
蜂蜜が頼んだマンゴーかき氷は、マンゴーソースにマンゴーの果肉が、たっぷりと入った一品だ。
真司が頼んだ宇治金時は緑づくしであり、かき氷、白玉、アイスクリームが抹茶色に染まっている。あとは、ポコンとあんこが添えられている。
俺のイチゴ練乳かき氷は、ふんわりとお皿の上に乗っている薄く切られた氷と、ごろっとした果肉たっぷりの、ジャムと見間違えるほどのシロップが掛けられており、その上には白い練乳が掛けられている。
「冷たーい。けど、うまーい!」
さっそくスプーンでサクッと掬い取れた分を口に含むと、まずは練乳の独特の濃厚なミルクの甘みがガツンと来て、その後にサッパリとしたイチゴの酸味と甘みがやって来る。
そして、歯を立てればシャクっと氷を砕く音と、氷により薄まった練乳とイチゴが合わさって、甘さや酸味がちょうど良い塩梅になる。
「やっぱり、夏にはかき氷食べなきゃねー!」
「70円シリーズとか、レモンの薄切りが乗ったやつも、ガリガリ食感で勿論美味しいけど、このフワッフワな食感はちゃんとした店じゃ無いと食えねぇからなぁ」
「こっちのあんみつも美味しいよー!」
蜂蜜と真司が、それぞれお互いのかき氷を絶賛し、それに便乗して舞姫が乱入する。
「ん。さくらんほれきた」
「唯。ここお店だから、そんな舌テク披露しなくていいよ」
「へー。それ出来る人ってキス上手いって言いますけど、本当なんですかね?」
こっちはこっちで、唯が一発芸みたいなのを始めちゃって、それを白薔薇が嗜めるけど、なめこがそれの噂に付いて話し盛り上がっている。
紫喜は我関せずで既にぜんざいを食べ終わっており、今はモフモフを堪能中で、こがねの耳や尻尾をモフモフしている。
そんな中、俺はと言うと……。
「ぐうぅー!」
かき氷を食べた事による、強烈な頭痛に悶絶していた。
今回は飯回でした。
来週はバレンタインですねぇ。




