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ドキドキ!? 相性診断

今日はハロウィンですね!

とは言え、特にやる事も無いんですけどね。

 田舎に止まった時のような、2人の魔女からの熱烈な歓迎を受けた翌日。今日も今日とて熱烈な歓迎を受けていた。


「2人共おはよう。昨日は良く眠れたかしら?」


「突っ立てないでさっさと席に着きな」


 クリスティーナは朗らかな笑みでこちらを見ながら、エリザベートは俺達に目線を合わせずに紅茶を飲みながら言う。

 そんな2人が着いているテーブルには、既にホカホカの湯気が漂っている朝食が並べられていた。そして、その準備をしているのは、昨日は見なかった人型のモンスであった。


「おはようございます。ところで、これってーー」


「ウッドパペットだな。ほら、よく見ると剥き出しの部分に木目が見えるだろ?」


 真司に言われてその人型の所へと向かうと、確かに言われた通り薄っすらと木目が出ている。それが髪や服を着ていたので、近くで見ても分からなかったが、関節部分を触って見ると球状になっていた。

 ただ、顔が無いので、見た感想としては木目調のマネキンと言ったところだろうか?


「ティーナが1人で準備をしようとしていたからね。手伝いで私が呼んだんだよ」


 どうやら、このウッドパペットはエリザベートが召喚した従魔のようだった。確かにここからエリザベートの家までは遠いが、どこからでも召喚出来るサモナーのエリザベートには関係がない。

 どうしてエリザベートが手伝わないかと言えば、彼女には料理センスが無いからだとクリスティーナが昨日暴露して、一悶着あったのだ。

 それにしても、真司はあの一瞬でウッドパペットだとよく分かったな。


「エリーったら、従えているのは私とは違ってこのパペットの様な従魔が多いのよ」


「ふん。パペット系は世話も愛情も要らないからね。ティーナの様に1匹1匹に愛情をあげなくても、誰も文句も何も言わないから楽なのさ」


 どうやらウッドパペット系の従魔は感情と言う物が無いらしく、主人の命令に淡々と従う従魔だと言う事を聞いて、俺はなるほどと思った。どおりでずっと俺を無視して作業をしているわけである。

 今までの経験上、初見の従魔からは何かしらのアプローチを受けて来たのに、このウッドパペットは何もしてこなかったから、俺はどうしてかな? とも思ったのだ。

 だって普通にメイドさんの服装だったからね。メイドはメイドでも、秋葉原にいる様なミニスカートのフリフリなメイドさんではなくで、黒の長袖にロングスカート、それに白の手袋まで付けて、さらに頭の部分にはカチューシャでは無くてかなり細かい刺繍や装飾が施された布を付けているのである。


 真司曰く、ウッドパペットの本来の姿は、美術部とかに置いてある様なデッサン用人形の様な形をしているらしいのだが、その後は個人の自由と言う名の趣味で、服装や装飾にアレンジを加える事が出来るのだそうだ。

 なので、この正統派メイドさんの格好をしているウッドパペットは、エリザベートが選んで着せたと言う事になる。


 そんな話をしていると、ちょうどウッドパペットの給仕が終わったらしく、一礼して召喚主であるエリザベートの後ろへと回り込み、静かに佇んだ。ここだけ見たら本当にメイドさんのようである。


「さぁ、それじゃあ頂きましょうか?」


 席に着いた俺の目の前のお皿には、ケチャップソースが掛けられたオムレツに茹でたブロッコリーとポテトフライが同じお皿に乗っている。それにコーンと挽肉と玉ねぎが入っているスープにサラダである。

 それと昨日と同じく、カゴにいっぱい入った焼きたてのパンがある。


「あんた達は見た目によらずに食べないからね。私がティーナに言って量を減らさせたのさ」


「そうなのよ。ねぇえ。これだと少ないと思うのだけど、他にも何か作ろうかしら?」


「「いえ、これで十分です!」」


 ありがとうエリザベート! あなたのおかげで俺の胃のHPは守られた! きっと真司も俺と同じ気持ちだろう。寸分違わずに同じタイミングで同じ言葉が出たんだからな。

 やっぱり、エリザベートはツンケンしながらも俺達の事を気遣ってくれる優しい人である。

 もちろんクリスティーナも良い人ではある。若干ご飯の量の加減が難しいだけだ。


「んむ! これ美味しい!」


 一口最初に食べたのは、挽肉やコーンが入っているスープで、コンソメに塩と胡椒で絶妙に味を調整している。それに具材のサイズを均等にしているから、スプーンですくった時にバランス良く全部を食べられるのもいい。

 それに俺でも簡単に作れそうなので、これは後でレシピを聞いて置かなくては!


 次に食べたのはオムレツで、このオムレツ。中はふわっと蕩けるような柔らかさで、口に含む前からバターの匂いがブワッと広がってくる。

 それに負けない、ちょっと酸味の強いケチャップソースが甘めのオムレツの味を引き締めてくれている。

 同じお皿に添えられているブロッコリーの方は、軽く塩をされているだけで十分に美味しいし、ポテトフライにはハーブか何かをまぶしているので、同じ塩味でも違った味が楽しめる。


 サラダはレタスにキュウリにトマト、それにゆで卵と粉チーズが掛けられている。ドレッシングはシーザーサラダみたいだ。


 どれも昨日よりは量が抑えられていると言っても、ついさっき、リアルで朝食を食べた身としては、もう一回朝食を取るのは中々にキツイものがあったが、それでもペロリと完食してしまうくらいにはどれもとても美味しかった。


「うふふ。それじゃあ、始めましょうか?」


「「ドキドキ!? 相性診断ーー!」」


 食後の休憩に俺は紅茶を貰い、真司はコーヒーを貰って一口飲んだのを確認したクリスティーナとエリザベートは、最初はクリスティーナだけで、次はクリスティーナとエリザベート両方が揃えて言った。

 その時に、効果音でドンドンパフパフとウッドパペットがどこから取り出したのか、太鼓とパフパフなるラッパを使っていた。

 太鼓は大阪にあるあれな人形の太鼓っぽくて、ラッパは緑の仮面を被ると性格が変わっちゃう、某映画に出て来たラッパのようである。一体、どこから取り出したのだろうか?


「……昨日言っていたアレですね? それじゃあ、灰白さんからお願いします」


「そんでヨシタカが終わったら、俺のホースもお願いしまーす!」


 ウッドパペットの多芸ぶりに唖然としてしまったが昨日言われていた事なので、順番通りに灰白さんから見てもらう事にした。


 実は昨日、クリスティーナから「相性診断」なるものをやって見ないかと言われていたのである。

 これはテイマーの特権のような物であるらしく、ある一定以上のLvに達したら使う事が出来るのだそうだ。

 この相性診断は、プレイヤーと契約しているモンス全般なので、テイマーである俺はもちろん、テイマーでは無いがホースと契約している真司も、該当のモンスを呼べは診断は出来るのである。

 ただ、昨日この話を聞いた時には、すでにログアウトの時間が迫っていた為に1回断ったのだが、「なら、明日の朝食の後にやりましょう?」と、クリスティーナに言われたのだった。


「それじゃあ、ヨシタカがやっている間に俺はお馬ちゃんでも呼んどくわ!」


「分かったー! ……皆は灰白さんを先頭に、一列でクリスティーナの前に整列!」



 そう言って飛び出して行った真司に返事をしたら見てもらう順にクリスティーナの前に一列に並び、早速灰白さんから相性診断が始まった。


「それじゃあサクサク始めちゃうわよ。さぁ、来なさい灰白」


「ワン!」


 呼ばれた灰白さんはクリスティーナの足元にお座りをすれば、クリスティーナは両手で灰白さんの顔を持ち上げて、ジッと瞳を見つめた。


「うん! うふふ。この子はあなたの事が大好きみたいね。あなたに頭を撫でて貰うのがとくに好きみたい。そして、ずっとあなたのそばに居たいと思っているわ。それに、あなたの為に一生懸命頑張ろうともしている。まぁ、あらあら。うふふふふ」


「どうしたんですか?」


 一瞬吃驚した顔をした後に、可笑しそうにしばらく笑い出したクリスティーナに、何がそんなにツボに入ったのか聞いてみたけど、俺としてはちょっと聞かなければ良かったと少し後悔した。


「この子ったらね。あなたの初めての従魔になれた事がとても誇らしいのだって。ただ、あなたの周りには沢山の従魔が集まってしまって、仲間が増えるのは嬉しいのだけど自分に向ける時間が減るからって、あなたの注意を引く為にワザと……うふふ。ごめんなさいね。あなたの足の間にワザと顔を埋めるのですってね。『これからもやっちゃうかもしれないけど、ごめんね?』っだそうよ」


「えっ!? はーいーしーろー!」


「キュウン」


 なんと言う事でしょう! 確かに灰白さんってば、たまに俺の股間に顔を埋める事があって、その度に恥ずかしいから叱るんだけど、治らずに何回も繰り返して居たのにはそう言う事だったのか! だとしてもだ!


「たとえ注意を引きたくても、あそこに顔を埋めるのはやめなさい! 違う方法でやりなさい!」


「ワフワフ」


「ちょっ!」


「うふふふふ」


「クックックッ」


 まるで、「それは無理です」って感じに速攻で首を振って拒否する灰白さん。

 その反応を見てクリスティーナは上品にエリザベートは魔女っぽく笑っていたら、空気を読んだか読んで無いのか真司が帰って来た。


「えっ? 何この状況?」


「何でもないよ。さっ! 次は真白かな?」


 真司が連れて来たホースは、俺も前に乗った事のあるホースで名前を韋駄天。その韋駄天を夜空の隣に並べるとポカンとした表情で聞いて来たけど、わざわざ言う事でも無いのでスルーして次に進めた。


「えー! 気になるー!」


「うふふ。それじゃあテーブルに乗せるわね?」


 灰白さんに比べて背が低い魔白をテーブルの上に乗せてから、ジッと魔白の瞳を覗き込む。


 魔白から夜空まで結構長いので、箇条書きにするとこうなった。


 魔白

「あなたの事が大好きみたいね。とくに、あなたの胡座の上に乗りながら撫でてもらうのが好きみたい。そして、ずっとあなたのそばに居たいと思っているわ。それに、あなたの為に一生懸命頑張ろうともしているわ」


 紅緒

「あなたの事が大好きみたいね。とくに、あなたの頬にスリスリするなのが好きみたい。そして、ずっとあなたのそばに居たいと思っているわ。それに、あなたの為に一生懸命頑張ろうともしているわ」


 露草

「あなたの事が大好きみたいね。とくに、あなたに両頬を一緒に撫でて貰うのが好きみたい。そして、ずっとあなたのそばに居たいと思っているわ。それに、あなたの為に一生懸命頑張ろうともしているわ」


 さえずり

「あなたの事が大好きみたいね。とくに、あなたが困っている時に助ける事が出来る事を誇りに思っているわ。そして、ずっとあなたのそばに居たいと思っているわ。それに、あなたのために一生懸命頑張ろうともしているわ」


 こがね

「あなたの事が大好きみたいね。とくに、あなたと一緒に遊ぶ事が好きみたい。そして、ずっとあなたのそばに居たいと思っているわ。それに、あなたの為に一生懸命頑張ろうともしているわ」


 濡羽

「あなたの事がかなり気になるみたい。それに、あなたのそばは居心地が良いと思っているわ。もっと一緒にいれば、この子の好感度も上がると思うの。それと、あなたの命令ならばなるべく言う事を聞こうとしているわ」


 しじま

「あなたの事がかなり気になるみたい。それに、あなたのそばは居心地が良いと思っているわ。もっと一緒にいれば、この子の好感度も上がると思うの。それと、あなたの命令ならばなるべく言う事を聞こうとしているわ」


 夜空

「あなたの事が大好きみたいね。とくに、あなたにブラッシングして貰うのが好きみたい。そして、ずっとあなたのそばに居たいと思っているの。それに、あなたの為に一生懸命頑張ろうともしているわ」


 と、こんな感じの診断結果だった。

 濡羽としじまは仲間に入ったのがこの中で1番遅いから、まだ気になるくらいなのだと思うのだが、同じくらいに入った夜空が他の皆と同じくらいなのは、おそらくテイムする前の乗馬クラブにて、あれこれしていた影響かもしれないな。


 この診断結果の好感度順は、あなたの事があまり好きではないみたい→何とも思っていない→ちょっと気になる→かなり気になっている→好き→大好きになるのだそうだ。

 また、大好きの他にも尊敬をしているだとか

 心服や心酔。それに崇拝しているなんてのもなるみたいだ。


 そして、俺の従魔が終わったので真司の番になったのだが、そこで真司は「どうせならヨシタカの従魔との診断もお願いします!」何て言った。


「ええ。同じパーティに入っていれば大丈夫よ」


 自分とは契約していないけれど、同じパーティ以上に入っていれば相性診断は見る事は可能のようで、早速、真司は診断結果にウキウキしている。


 そして、その診断はーー



 全員

「あなたの事はどちらかと言えば好きではないけれど、だからと言って嫌いと言う訳でもないみたい。ただ、あまりにもあなたに構い倒されるものだがら、かなり鬱陶しいとは思っているようね」


 だった。

 さすが真司である。

 通常1月単位で大体1つ好感度が上がれば良い方なのに、わずが5日である程度まで上がっている事に驚くヨシタカ。

 愛情を込めて接していたのに、それをウザいと思われていた事にショックな真司。


報告活動での投票は今日までとなっています!

また見てみたいキャラクターがいたら是非投票して下さい。じゃないと、当分出てこない可能性が濃厚です!


そして、今日投稿したので次回は来週の木曜日にします。


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