表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/76

強制戦闘

お待たせしましたー!


 awoには、強制戦闘と言うゲームシステムが存在する。

 この強制戦闘は通常の戦闘とは異なり、ある一定の条件を揃えなければ発生する事は無いのだが、一度発生してしまえば、モンスターに勝つか死に戻りしなければ戦闘が終了しないと言うちょっと厄介な戦闘である。


 さて、そんな強制戦闘であるが、大抵普通のプレイヤーであれば、最初に遭遇するのは東京の周りを守護している四獣であるはずだ。

 四獣は東京から他の県に移動する際の初回のみ、Lv50以上で東京から出た事のないプレイヤーがいれば、ソロでもパーティ以上でも強制的に戦闘フィールドに飛ばされて、四獣と戦う羽目になってしまうのである。

 それ以降は任意で戦闘が可能になるのだが、Lvがちゃんと50以上のプレイヤーが限定であり、50に満たないプレイヤーがいた場合は、戦闘フィールドには飛ばされずに元の場所にループして戻されてしまうのである。


 一応、運営サイドのホームページでは、詳しい内容は載っていないのだが、簡易な攻略方法などが載っていたりする。

 その内の1つに、東京から他の県に進む時の必要Lvは50以上で、さらに先に進む場合にも50毎にLvupが必要だと、ゲーム内の地図に比べると簡易版ではあるが色分けされているマップが載っているのだが、初期組(発売日から半年位までにプレイしているプレイヤー)で、攻略情報などを見ないでどんどん先に進めたい系のプレイヤーが、このループに引っかかると言う事が発生したのである。


 その後、検証組が出て数パターン試し、誰が弾かれるのかとか何とかやったりした際に、「あれ? これって異能力系のアニメや漫画で見るループじゃね? リアルじゃないけど、リアルで出来るじゃね?」と言った一言から、一時期ではあるが爆発的に流行ったりなんかした。


 ただ、これはLv50以下でしか出来ない事なので、うっかり50以上なのに入ってしまったプレイヤーは、何の準備も無しに四獣との戦闘となるので、うっかり死に戻りするプレイヤーも出てしまったのである。

 そのプレイヤーは不名誉な事に周囲にいたプレイヤー達から【うっかりさん】と言う、あまり嬉しくない2つ名を付けられてしまっていた。


 ついでに、東京以外の県では四獣のようなモンスターは出てこないのだが、天国や地獄、北海道や沖縄に行く場合には強制戦闘か発生する。


 ついでのついでで、それぞれ必要Lvが500以上が必要で、各地を守護モンスターは以下の通りである。


天国「天界への案内人・ペガサス」

地獄「地獄の門番・ケルベロス」

北海道「冥界の魔物・キラーホエール」

沖縄「災いを打ち払いし者達・シーサー」


である。


 ちょっと横道にずれてはしまったのだが、俺が言いたかった事は「当分先までは強制戦闘なんて、やらないだろうなぁー」である!

 なのに、何の因果か真司が当たりを引いてしまったのであった。

 全く嬉しく無い当たりだ!




「おい、ユッキー。呑気にしてないで準備しないと、井戸にお住いの麗しの令嬢が襲いかかってくるぞー!」


「ちょっ! おいこら、真司! どうすればいんだよ!」


 真司の元に駆け寄り、要らぬ戦闘を引き当てた腹いせに真司の足元を軽く蹴りつつ、始めての強制戦闘に体が強張っていくのを感じる。


「んー。前に説明した通りなんだけど、取り敢えず、ここ東京だしソロでも倒せるぐらいだから大丈夫だろ? 」


「いやいやいや! ソロって言っても、それ唯さんの動画のやつだったじゃん! 俺にはあんな動き無理だから!」


 羽田ポータルで、このゲームとコラボしている有名どころを教えて貰いつつ、これまた有名人の唯さんの攻略動画、ただし、攻略動画と言っても唯さんは基本ソロなので、俺にとっては「はぁー。唯さんすげぇーー」しか感想が出なかった動画を見たりしたので、一応どんな戦い方かは分かるのだが……あんな物は参考にならないと、手と首をふるふると横に振った。


「いや、そこまで期待してねぇよ。ってか、ほら井戸から出てきたぞ?」


「うヒァァ! ままままマジで出てきた! えっ? マジであれとやるの? えっ本気?」


 真司が指差す方へと指差すと、ウィンドウに映し出されている井戸から腕が出てきたところで、逃げられないのは分かっているがパニックになってしまう。


 先に言っておくが、別に俺はホラー系は怖くは無い。

 大事な事なのでもう一度言うが、ホラーは怖く無いのだ。

 苦手なのはグロとかスプラッタとかで、人の体がぶちぶちグチャグチャとオモチャの様に弄ぶ感じのが苦手なのである。特に海外の映画に多いと思う。


 そんな中、唯一俺が苦手としているのが、いま敵モンスターとして出てこようとしているあれなのである。

 あれは確か、俺が小学生の1〜2年の頃だったかな? シリーズものの最新作が公開されるって事で、地上波で映画公開に合わせて毎週、初期から前作までやっていたのである。

 さらに海外版までやっていた気がするので、かなり力を入れていたと思うが、もちろん、その時の俺は怖いから見る気はしなかったのだが、姉が強引に見せたのだった。


 おかげで、その日からおねしょが再発したり、夜にはトイレやお風呂に1人で行けなくなったり、真っ暗なTVが怖い時期があったのだ。

 まぁ、そんな状態に陥ってしまったわけだから、両親が姉を叱ってくれたおかげで、それ以降は見なくて済んだのは、不幸中の幸いだったかな? と思う。

 つまりだ。これから戦闘が始まる初期のやつが、俺にとってのトラウマになっている訳だ。


「ままま、落ち着けって。ユッキー1人じゃ無いんだし、何かあったら俺が守るから大丈夫だって」


「……うぅー、真司ー」


 ちょっぴりパニックになっている俺を落ち着かせる為に、ポンポンと俺の頭を叩いた後、足元をちょんちょんと指差すと、そこにはキリッとした顔をしている灰白さんがいた。


「ほら、灰白達もいるんだから大丈夫だって!」


「ワン!」


「任せて下さい!」と言っている様に吠えた後、体全体を使って俺の足元にスルリとこすり付けると、俺達の後方へと向かった。


「さぁ、そろそろ出てくるぞ!」


 ウインドウの方へと視線を向ければ、既に画面ギリギリに迫って来ており、スゥーと右手を上げて画面を触る様にすれば、ズルゥと画面から腕が飛び出して来た。右手を出したら左手も出して、両腕で画面の淵をガシッと握り締めると、頭から全身が出て来てしまった。


 ついに、強制戦闘が始まってしまった!

 逃げる事は叶わない。ゴクリと喉が鳴るがギュと武器を握り締めて気合を入れ、キッと相手を睨み付けた。


「ゔああぁぁ」


「よっと」


「ハッ!」


 両手を突き出してこっちにやって来たのを左右に分かれて避けつつ、真司は無慈悲にも頭を狙い、俺は真司の槍と攻撃判定があるらしい腕に当たらない様にしゃがみつつ、空いている脇の辺りを斬り付けて一回転し、こっちに向けている背中を十字に斬り付けて後退すれば、俺が距離を開ける間に入れ替わった真司が、槍を大きく横に薙ぎ払ってそのまま一緒に距離を取って安全圏まで行けば、紅緒、露草、こがねの属性攻撃のオンパレードが降り注いだ。


「ヒヒィーン!」


「ワン!」


 属性攻撃の衝撃でもうもうと立ち込める土煙のせいで、完全に姿が見え無くなったのだが、夜空と灰白は気合を入れるとさっきまでいた辺りを狙って土煙の中を突進し、すぐにボフンと土煙から出て来た2匹は、ササっとUターンしてジッと相手の出方を見る。

 上空では、いつでも飛び掛かれる様に、鳥達が待機していると、風に乗ってゆっくりと土煙が晴れて行き、ちょうど真ん中ら辺にポツンと立っていたのだが、ただ立っているだけでは無く、両腕で身体を抱き締めていて、口をガバァッと開けて天を向いている。

そのまま「ヒューー」と音がなるほど空気を吸い込んでいた。


「ヤバイ! あれは!」


「キャァァァァァァァ!」


「ぐぅあっ!」


 叫び声と共に衝撃波が俺達を襲い、あまりの絶叫に俺は思わず耳を塞いでしまう。

 叫び声は10秒にも満たないような時間だったにも関わらず、HPバーがガンガンに減っていくのが見えて、何かがドタッ、バタッと落ちた音が聞こえるのだが、何故か俺はストンとその場にしゃがみ込んでしまっていた。


 立ち上がろうにも、腰が抜けたのか立ち上がれず、何だかおかしい。

 周りが小刻みに震えているけど何でだろう?

 このカチカチ鳴っている音は何だろう?

 何でこんなに怖いんだろう?

 何でこんなに寒いんだろう?


 何で? 何で? 何で? 何で? 

 怖い……怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い……誰か助けて!


「おぉい。さえずりー! ヨシタカが恐慌状態になっているから回復頼む!」


「チュン!」


 目の前が真っ暗になって動く事も出来なかった俺だったが、何か温かいものが降りかかると、さっきまでの恐怖心がどんどんと薄れていく様であった。


 顔を上げると、さえずりによって辺り一面に光が降り注いでいるのが目に入った。


「ユッキー! 目ぇ覚めたなら、早く戻ってこーい!」


 ハッとして声のした方を見ると、そこにはさっきの攻撃で無事だったメンバーが、俺達に攻撃が向かわない様に盾になりつつ守るような陣形を取っていた。

 そんな中で真司は、まだ完全には使い慣れていない槍で戦いながらも巧みにタゲ取りをしている様で、他のメンバーが背後から攻撃をし易いようにしていたのであった。


「ごめん! すぐ行く!」


 真司に返事をしつつ、近くに落ちている武器を持って立ち上がると、アイテムポーチから回復薬を取り出してゴクゴクと飲みながら、近くに墜落している濡羽の元へと駆け出した。


「濡羽、大丈夫か? まだ、戦えるよな?」


「カァー!」


 濡羽にも回復薬と傷薬を与えると、器用に嘴で掴みゴクゴクと飲んで行く。

 濡羽が受けたダメージは俺よりも多く、6割近いダメージを受けていたようだったので、全体の4割を回復させる回復薬と、2割を回復させる傷薬を渡したのだ。


 俺と濡羽でダメージが異なるのは、確か、円形状に衝撃波が発生して、発信源に近ければ近いほどダメージを喰らうって書てあったはずだったので、おそらく、さっきの攻撃の前のモーションがキーになるから、次にあのポーズを取ったら十分に距離を離さなければならない!


 さらに周りを見てみれば、俺達以外にも真白としじまが状態異常になっていたようだったが、そっちにはさえずりが回復をさせていたので、俺達は真司達の方へと駆け出した。


「やっと戻ってきたか! 心配したっぞい!」


「悪い!」


 シュンシュンと槍を扱い、太もも、胸、顔の順番に素早く突き刺すとササっと交代し、今度は灰白さんが勢い良く体当たりをすると、その衝撃に耐えられなかったのか、思いっきり吹っ飛んで行った。


「今やっと3割位のダメージまで与えた所だな。……ふぅ、先は長いぜ!」


 俺が状態異常になっていた間の事をサラッと説明しつつ、真司も回復薬でHPを回復させる。


「うぁぁぁぁ」


 ゴロゴロと転がったあと、まるで痛みを感じていないかの様にゆっくりと立ち上がると、フッと消えるが、ちょっと移動した場所にパッと現れた。


「あいつ、移動するだけだったら転移使うんだよ。ただ、攻撃モーション中は最初の時みたいに走ってくるけどな」


「……唯さんの動画だと、転移する隙を与えないスピードでの、攻撃ラッシュだったな」


「フッ……それは気にしたら負けだぜ! こっちは質よりも数じゃー!」


 少しだけ俺達と唯さんの差に落胆しつつも、俺は出来るだけの事をしようと、再び攻撃をし始めた。




 その後は、連携も順調に上手く絡んでの戦いが出来ていたのだが、相手のHPが残り3割となった所で事態が一変した。


「ぅぅぅゔあああぁぁぁぁぁ!」


「ッ!? ギャウ!」


 ちょうど、こがねが雷を纏いながらの体当たりをした直後に、ブワッと黒い靄があいつを中心に出てきたのだった。

そのせいで、そばにいるこがねのHPがゆっくりとだが確実にジリジリ減っていってしまっている様だ。


「マズイな……あれに触れたらダメージって喰らうんだよね?」


「誠に残念ながら」


 あいつの体の周りにある黒い靄は、あいつの体力が残り3割になったら出てくるみたいで、大体半径1メートル位ある。それに体が触れてしまうとダメージがジリジリと入るらしく、俺や近接攻撃しか手段が無い従魔にとっては、少なからず厳しいものがある。


「くそぅ! 当たって砕ける!」


「いや、砕けちゃダメだろ!」


 残り3割まで削ったのだから、死に戻りじゃなくて勝ち残りたい!





「これでっ、最後だーー!」


「ギャァァアアアアアアアア!」


 全身がボロボロになる程のダメージを受けつつも黒い靄の出現と共に攻撃力も上がり、こちらに多大なダメージを与えていたのだが、俺が最後の最後に渾身一撃で心臓を突き刺すと、それがトドメになったのか絶叫と共に消失していった。


「やったぁーー。やっと終わったーー!」


 黒い霧を纏って、いかにも「ラスボス」っぽい風貌となっていたのだが、真司から「いや、虫に変形するよりかはマシ」と言われて「は?」っとなり、嫌な想像をしてしまったのだが、あと少しだと気合を入れてダメージ覚悟で戦った結果、見事討伐する事に成功した。


 今回は今までのどの戦闘よりも長く、1回の戦闘で10分近く戦っていたのだ。俺は疲れ果ててバタンと地面に大の字で倒れ込むと、近くに来ていた灰白さんの首元をギューと抱きしめ引き寄せて、一緒にゴロゴロし始まると、次々に露草達もやって来て一緒にだる〜んと横たわるのを、真司が羨ましそうにしながら、俺の頭を足で挟む様な距離で見下ろして来た。


「むーん。ユッキーこの後どうする? 休憩するか、進むか」


 そう真司に言われた俺は即答した。


「今日はもう無理!」


 と。


「なら、ポータル設置しなきゃなー。強制戦闘が終わったから、ぞくぞくと奴らが出てくるぞ」


「それは困る!」


 ガバッと立ち上がった俺は、すぐさま買ったばかりのポータルを取り出してセットし起動させると、ポータルを中心に半透明で半円形状の何かが俺達を包み込んだ。


「この中にいる分には安全だからな。今の内に飯にしますか」


「あぁー、だねぇー。結構さっきの戦闘で消耗しちゃったし、明日は戦闘よりも移動重視で、早目に目的地に行きたいかも」


 実は今日の分の戦闘により、回復薬系を7割がた消耗してしまっていたのだ。

 それに、さっきの戦闘で負ったダメージの回復はまだしていないからそれ以上の薬を使う事になると言うわけで、夜のawoは恐ろしいのだと実感した。

 むしろ、たった一体だったのに10分位の戦闘となった、コラボモンスのステータスの高さが恐ろしい。


「あぁー……動きたく無いー。……イテテテテ」


 疲労困憊の体と心を癒す為に、うつ伏せの状態のまま、左右をモフモフの体毛を誇る灰白さんと真白で頭をサンドして堪能していたのだが、頭をコツツツツと複数箇所を連続で突かれて、地味に痛い。


「誰だ、今の!」


 ガバッと起き上がると、鳥sが勢揃いしているけれど、誰1人として俺と目線を合わせずに明後日の方向を向いているが、突かれた場所的にお前ら全員が犯人だな!


「皆頑張ってたから腹減ってんだよ。さっさと飯にしてモフモフタイムに突入しようそうしよう! うへへへへ」


 鳥sを代弁するかの様に真司に言われたのだが、真司は飯よりもその後のモフモフタイムが本命だろう。だって、手が気持ち悪いほど滑らかに動いてワキワキとさせているからだ。


「何か、夜に食べるご飯ってキャンプ以来かも」


 円陣を組む様に全員で座り、その真ん中に月明かりだけでは心許ないので、ランプが灯されている。さらに俺達の周りをフヨフヨと、紅緒とこがねが放ったそれぞれの灯りが漂っていて、夜なのにかなり明るくなった。


「だな。しかもテントも準備しているし、夕飯ってか夜食はカレーだし!」


 そう、キャンプと言えば定番のカレーなのだが、今日はカレーはカレーでも、夏野菜がたっぷり入ったカレーである。


 中辛のカレーの中には、半分にカットされたミニトマトと斜め切りにされたオクラにトウモロコシや枝豆がルーと一緒に混ぜ込まれており、あとは薄切りで素揚げされているかぼちゃとレンコン、皮の部分を格子切りで模様を付けて、これも素揚げされているナスやピーマンなどが乗っている。

 肉は食べ応えがありそうな大きさにカットされた牛肉が、ゴロゴロと入っている。


 これは、ここに来る前にだいたい二十人前が楽々と入る大きさの寸胴鍋を買って、その中にカレーを入れて貰い、トッピングの野菜達は種類毎に分けて買ったのである。

 さすがに全員分のカレーを1人毎に分けたら、アイテムポーチが満杯になってしまうからだ。


 カレー以外にも明日の朝食用に色々と買い込みつつ、俺は補助スキルの料理を習得していた。

 理由は主に3つで、料理自体が嫌いでは無い事と、料理スキルが上がれば宿屋の様な効果が付いて、さらにLvが上がれば効果の威力が上がるのだ。

 あとは、お金の問題である。

 「お店で商品を買うよりかは、自分で揃えて作った方が安上がりだよー」と舞姫さんが言っていたので、今後も従魔が増えそうな予感がする俺としては自炊する道を選んだのである。

ちなみに、真司は俺が苦手と知っている解体のスキルを習得したので、これでいつでもモンスターから肉が剥ぎ取れる。


「やっぱりカレー美味いな! 明日カレー作って貰おうかな?」


「まぁなー。カレーが嫌いな日本人ってほぼ居ないだろ? ってか、そんな事より食べ終わったんならさっさとモフモフタイム突入じゃー!」


「ギャウッ! ぎゃう〜」


 運悪く真司の隣で食後の余韻に浸って居たこがねに、容赦無く絡みに行った真司に「やめろよ〜」って感じで足蹴にしても、それはそれでご褒美になるのか、さらに絡み方に容赦が無くなっていく。

 それを見ていた他の従魔達は、こがねを生贄に捧げるが如く誰も助けに行かずに全員俺の所へとやって来てしまった。


「ぎゃう! ぎゃっきゃうーー!」


 心なしか「お前ら全員裏切り者ー!」って言っている様に感じる。


「えっと、助けないの?」


「「「「「……。」」」」」


 こがねが不憫に思えたので聞いてみたのだが、全員が一斉に首を振って嫌だと言う。


「マジか」


子供の頃のトラウマで一発で状態異常になるヨシタカ。

「生贄」「見て見ぬ振り」を覚えた灰白さん達。

運勢が悪かったのか、今日は散々な目に合ってすねるこがね。

真司はいつも通り。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ