1周年記念番外編。その4
注意事項は前回と同じです。
これで1周年記念番外編は最後になります。
これからも、引き続きよろしくお願いします。
「最愛の家族」
クーラーとパソコンが放つ、独特の機械音以外は何一つ音がしない部屋。
そこでは、ヘッドホンを付けてパソコンの画面に映し出されている女性の戦闘を、熱心に見つめている青年がいた。
彼の名前は真司。この部屋の主人である。
彼が何を熱心に見ているのかと言えば、awo内に出て来る武器の取説動画であった。
特に、今はランス系の武器の動画を漁っては見て、漁っては見ている。
そして、動画内で自身の身長程もあるランスを華麗に使用しているプレイヤーは、真司の顔馴染みでもある唯であった。
動画のタイトルは「【awo】派生戦闘スキル。ランスの使い方【派生戦闘スキル】」である。
唯はランス以外にも、様々な武器の動画を上げているのだが、今回はランス系を熱心に探していた。
その動画を見ている理由であるが、普段真司は戦闘スキルの刀を使用しているのだが、最近馬の夜空をテイムして、馬上行動が増えたヨシタカの為に、馬上攻撃と相性が良い武器の動画を見ては、影でこっそり練習してヨシタカに実戦で見せて教えているのだ。
これは初心者プレイヤーのヨシタカの為に、色々と教えたいと言う思いがあるからである。
別に、ヨシタカが使用している片手剣でも一応馬上攻撃は出来るのだが、いかんせんリーチが短いが為に小さいモンスター相手では、十全に威力が出せないからである。
なので、昨日は弓。明日は槍かランスでも教えようと考えていた。
余談ではあるが、槍とランスは斧の派生武器となっており、斧の最初の派生武器が槍。その次がランスである。
片手剣でも派生武器であるランスに行く事ができ、その場合は片手剣の派生武器である、レイピアから派生させるやり方である。
こんな風に、一つの戦闘スキルから様々な派生先が生まれて行くので、今の所、最強の二つ名を持っている唯でさえも、全武器完全習得には至っていないのである。
さて、夏休みに入ってからのこの時間は、いつもヨシタカとawo内で遊んでいるのだが、昨日ヨシタカから「明日は用事があって出掛けるから、ここに来れないんだ。ごめん!」と、羽田ポータルで部屋を取る時に言われたので、今日の真司はフリーなったのである。
なので、空いているこの時間に、普段は使っていない戦闘スキルを、動画でおさらいをしているのであった。
まぁ、何だかんだ言って真司も男の子なので、かっこ悪い所を見せたくない。
たとえ友人のヨシタカにさえ、ドヤ顔で見せつけたいのである。
そんな彼の足元で、シュルンと何かが通り過ぎる。
「にゃぁん」
「ん? ミケ婆、どうした?」
真司の足に身体を擦り付けて、チョコンと座った三毛猫。真司の家で飼われているメスのミケである。
もちろん名前の由来は三毛猫だからで、真司から婆ちゃん呼びされているのは、真司が赤ちゃんの時から、既にこの家で飼われているからであった。
つまり最低年齢でさえ18歳のミケは、人間換算すると88歳なので、真司から婆ちゃん扱いされている。
「ニャムにゃ〜」
「ん? って、もうこんな時間か。最強の取説動画、すげぇ参考になるから熱中して見てたわ」
「にゃ〜」
「へいへい。休憩しますよー」
まるで、「お目々が疲れちゃうから、休憩でもしなさいな」と、小言を言う様に鳴くミケをヒョイっと抱き寄せて、勉強机からベットまで移り、ちょっと広めに作った胡座の中にミケを入れて背中を撫でる。
「にゃむにゃむ」
「そうか。ここが良いのか?」
「にゃーん」
胡座の中で香箱座りとなったミケの背中を撫でながら、まるで、おばあちゃんと孫の様な会話をする1人と1匹。
ミケも、もう18歳以上だ。
若い時に比べたらかなり毛の感触が悪くなってはいるのだが、まだまだ衰えてはいない肉付きが良い身体を、マッサージする様に撫でて行く。
後頭部からお尻まで撫でたり、顔や肉球をモニュモニュ揉んだりするが、ミケは真司にされるがままであり、時折「ニャウニャウ」と、「もっとそこ強く揉んでな」と、催促する様に鳴く。
「そう言えば、ミケ婆に話したっけ? 俺、新しい友達が出来てさ。由貴って言うんだけど、そいつがすげぇ動物に好かれんの! マジで俺と代わって欲しいくらいだぜ」
「にゃー」
「えーと、確かヨシタカと出会ったのは、入学式の時にうろちょろしていた時だったからーーー」
そう言うと、真司はヨシタカとの出会いをミケに話始めた。
小さい頃から、真司は何かイベントがある度に、当日の朝からテンションが高かった。
その被害を受けていたのは、もっぱら彼の母親である詩織であった。
始まりは幼稚園からで、初めて長時間母親と離れると言う事で、嫌々と泣き出してしまう子が多い中、真司は太陽が昇る前から起き出して、詩織と父親の吉継が寝ているベットの周りを、「パパ! ママ! 今日からだぞ! 早く起きろ!」と言いながら、ズンチャッチャ、ズンチャッチャと踊っていたのである。
そこにミケが「ニャムニャムニャー」と合いの手を入れていた。
遠足のある日や、小学校の入学式。その次は小3から始めた剣道の習い事の初日も、嬉しさの余り、太陽が昇る前に起き出しては変な歌と踊りを踊りながら、ベットの周りでぐるぐると回り、時折ミケの合いの手が加わったりして、両親からしてみたら堪ったものでは無かった。
今でこそ、ヨシタカにイケメンと思われている真司ではあるが、小さい時はかなりヤンチャなダンシィだったのである。
それは小学校卒業まで続き、真司にとっては思い出すのも恥ずかしい黒歴史の様なものであったが、たまに親子の会話に上ってしまい、証拠として当時の映像が残っていたりする。
そんな真司は大学の入学式でもそうで、もう変な歌と踊りは卒業したのだが、早く行動するのは変わっておらず、その日も両親を置き去りにして早めに大学に到着していた。
「うぉーー! やっぱり高校とかに比べると
かなり広く感じるなぁ」
入学式の1時間以上も前に来た真司は、大学の庭を散策し始めた。
もちろん、受験の時にはここへ来た事はあるのだが、あの時は受験生だった為にそんな雰囲気にはなれず、のんびりと散策など出来なかったのである。
「へぇー。あん時はあんまり見て回れなかったけど、結構桜の木とか多いんだな」
チラチラと敷地内を見て回りながら歩き続けていると、時折在校生っぽい人や先生の様な人がちらほらいる。そんな人達を見ながら進んで行き、ある程度回った所で満足した真司が、そろそろ時間だからと入学式の会場になっている場所に向かっている途中で、何やら動物や鳥達の鳴き声が聞こえた。
「何だ?」
何があるのか気になった真司は、その鳴き声がする方へ向かうと、まるで童話のお姫様の様な光景に、思わず目が奪われてしまった。
「…えっ? 何あれ」
真司が見たものは、春の木漏れ日の中、何故か自分と同じ位の年齢の青年が、指先や肩に小鳥やリスを乗せていて、足元には猫やタヌキが集まっていたのである。
時たま肩に乗った鶯が、「ホーホケキョ」と鳴いたりしていて、幻想的な印象を真司に与えた。
今では、ヨシタカの周りに動物が集まれば、喜んで飛び込んで行く真司ではあったが、初めて見た時はあまりの光景に、ただ呆然と眺めていただけであった。
「あっ!」
棒立ちとなり自分を見つめている真司に気が付いた青年は、パァァァァァと顔を輝かせると、猛ダッシュで真司の方へと駆け出した。
「うぇ? えっ? 何!」
指や肩に乗っていた動物達が落ちるのも構わずに急いでやって来た青年に、真司は何事かと怯み後退するが、青年は逃がさないとばかりに真司の腕を掴むと、必死の形相でこう言ったのである。
「ごめん! 入学式の会場ってどこ!」
と。
これが真司とヨシタカの出会いであった。
その後、事の成り行きを聞きつつ、会場に向かって行くうちに仲良くなったのと、awoの特性を思い出した真司が、猛烈にヨシタカをawoの世界へと誘ったのである。
ちなみに、何故ヨシタカがあんな所で童話のお姫様の様な事になっていたのかと言うと、高校とは違う広い敷地内に戸惑って居るうちに迷ってしまい、困惑してどうしようかと立ち尽くしている間に、わらわらと動物達が集まって来てしまって、時間も無いのにどうしようかと悩んでいたのである。
そんなタイミングで真司が通りかかったもんだから、藁にも縋る思いで真司に向かって走って来たのであった。
のちに、ヨシタカは様々な場所でこの様な現象が起こる為に、友人知人その他から「白雪姫」や「動物ホイホイ」などと言われる。
「ーーーって感じでさぁ、俺とヨシタカが出会った訳ですよ」
「にぁん」
「ですよねぇ。運命の出会いですよねぇ」
ミケを抱き上げ顔を近づけて、ウリウリしながらミケと会話をしていたのだが、ミケに、テシッと顔を叩かれてしまう。
「にゃ〜」
「おっふ。ごめん……ああ〜離れないでー。ミケー、ミケー。ミケ婆ちゃーん、婆ちゃーん!」
「……にぁ」
「えへへー。ミケ婆は俺を愛してますなぁー!」
スルンと真司から離れて部屋を出て行こうとしたミケに、真司が離れないでと何度も何度も名前を言えば、「まったく、しょうがない子だねぇ」と言う感じに、真司の胡座の中に戻って来るミケ。
普段はヨシタカに集まって来る動物に、ハイテンションで向かって行く為ビックリして逃げてしまい、触る事が出来ない真司にとっては、こうして懐いてくれてずっと一緒に居てくれるミケは、真司にとって最愛の猫なのであった。
「もふもふパニック!」
主人公のヨシタカこと由貴君は、動物に異様に好かれる。
そんな彼のとある日のお話。
夏休み中の動物園は、いつもとは違い沢山のの子供連れの家族が居て、楽しそうに動物を見ては笑っていたり、一緒に写真を撮ったりしているのだが、一ヶ所だけ異様な雰囲気が漂っていた。
場所はウサギやひよこなどの小動物を集めた触れ合い広場で、いつもだったら10歳前後の子供達が集まって、触れ合ったり餌やりをしている風景の筈だったのだが、何故かその日だけは動物達が一ヶ所に集まっていたのである。
「ママー! あのお兄ちゃん、ひよこさんとウサギさんまみれー!」
「こら、人に指指しちゃダメでしょ! すいません」
「いえ、だいじょ『ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ』……」
少女が指差した先。
その先にあったのは、ウサギやモルモット。ヤギに亀にひよこなどなど、様々な動物に囲まれているヨシタカの姿があった。
ヨシタカは、触れ合い広場担当のスタッフさんから「お兄さんも、どうぞー」と言われたので、しゃがんでモルモットを触っているうちに、彼の周りにわらわらと動物達が集まって来てしまっていたのだ。
今日のヨシタカの格好は、黄色のキャップに白のTシャツとジーンズと言うラフな格好なのだが、今は様々な動物に囲まれてしまっている為、キャップの部分しか見えていない。
「ブフッ」
「千佳、笑うなよ」
「ゴメっ、ふふ。取り敢えず、ここから離れようか?」
動物達に囲まれているヨシタカに手を差し伸べたのは、ヨシタカの従兄妹である千佳で、彼女もまた、ヨシタカと似たような格好をしている。
違う所と言えばキャップの色がピンクな所位だろうか?
ぱっと見はペアルックの様なこの2人は、別に付き合っていると言う訳では無く、今日は彼女からのお願いで、動物園に来ていたのである。
事の発端は先週の事であった。
ちょうど時期的に、闘技大会真っ最中の時に、千佳から電話が掛かって来たのである。
ここで、ヨシタカの家族構成を簡単に説明しようと思う。
ヨシタカは両親と姉の四人家族であり、徒歩一時間以内に母方の実家と親戚である、祖父母、伯母、伯父、叔父の家族が住んでいるので、ヨシタカがまだ小学校低学年の頃は、祖父母宅に従兄妹同士で集まって遊ぶほど仲が良く、今でもこうして連絡を取り合って、遊びに出掛けたりしているのだ。
そして、今回は伯父さん家の千佳から電話が来たのである。
『もしもし、ゆー君? 今大丈夫?』
「うん。大丈夫だけど、何? 千佳」
先ほども述べた様に、従兄妹同士で仲が良い
ので、千佳はヨシタカの事を「ゆー君」と呼んでいる。
他の従兄妹からは、「ヨシ兄ぃ」や「ヨッシー」なんて呼ばれていたりする。
『実はさ、来週、私と一緒に動物園に行って欲しいんだよね』
「えっ? 何で俺? ってか、俺じゃ無くて姉ちゃん誘えよ」
『えぇー。付いて来てよーお願いだよー! ゆー君じゃなきゃ、動物デッサン出来ないよぉ〜!』
千佳は美大生の3年生であり、ヨシタカよりも2つ年上である。
動物系の絵を描くのを専門としているので、動物ホイホイのヨシタカに是非とも来て欲しいのだが、ヨシタカ的には面倒臭そうな匂いがプンプンしているので、断りたい案件であった。
『よし、分かった! 交通費に入園料、食事代と一緒にアルバイト代も出そう! これでどうだ!』
「えぇー」
さっきからずっと「来て!」「ヤダ!」と、繰り返し続けているヨシタカを誘う為に、千佳からまさかの、大盤振る舞いの提案を言われたのだが、それでもヨシタカは難色を示す。
『お願いしますー。ヨシタカ様ー! この通りですー。ははー」
くぐもって聞こえているので、まさか、土下座でもしているのだろうか? と、思ったヨシタカは、千佳がこんだけ言っている事だし、金額次第では行って上げてもいいかな? と思い始めた。
「ちなみに、バイト代っていくら位なの?」
『……ごめんね。1日で、5000円位でいいかな?』
「……はぁ、いいよ。分かった。食費とか出してくれるんだし、それ位で乗ってあげようではないか!」
あまり乗り気ではなかったのだが、千佳からの猛烈アピールに負けてしまう。
『きゃー! ヨシタカ様素敵ー!』
「うるさっ!」
『あっごめん』
どうしてもヨシタカを連れて行きたかった千佳は、あの手この手でヨシタカを誘い、ついにはヨシタカが折れて千佳のお誘いに乗る事となり、ついつい嬉しさの余り黄色い歓声を上げてしまって、ヨシタカに怒られてしまう。
「それで、いつ行くの? こっちも予定とかあるから、早めに教えて欲しいんだけど。あぁ、あと、今週中はちょっと忙しいかな?」
気を取り直して、動物園に行く日にちの段取りを聞く。
『そっか、なら来週らへんでどうよ? 一応、詳しくはまた連絡するね』
今週は闘技大会があるので、ヨシタカ的にも来週の方が都合が良い。
「ん。分かった」
『それじゃあ、よろしくー! バイバーイ』
「じゃあなー」
と、言う約束を、闘技大会中のリアル世界であったのだった。
「にしても、動物園なんて久しぶりだなぁ」
「あぁー叔父様と叔母様動物苦手だもんね」
「そうなんだよなぁ」
触れ合い広場にいる小動物達の包囲網から、無事に脱出する事が出来た2人は、入り口で貰える園内マップを片手に、記載されているマップに従って、道なりに進んで行く中でほのぼのとした会話をしていた。
ヨシタカが異様に動物に好かれる体質だと言う事を家族は知っているので、どこかに旅行に行く際、車での移動が無い時は基本的に、ヨシタカとはちょっと距離を離れて行動をしている。
理由として、父が子供の頃に犬に噛まれたトラウマで、今でも犬が苦手(小型犬や子犬でもダメ)な事や、母が烏や鳩などの中型から大型の鳥が怖いからである。
なので、ヨシタカが側に居るとそれらの動物が寄って来てしまう為、別行動をしているという訳である。
ちなみに、姉は動物全般大好きなので、両親に変わって一緒に行動する事が多い為、ヨシタカの保護者として任されていた。
その姉である春香にも千佳はお誘いをしたのだが、今日は用事があった為に、泣く泣く不参加であった。
「でも、ここまで来るのも大変だったんじゃない? 特に飼い主が」
「あぁ、まぁな。でも、ご近所の飼い主さん達は俺の事知ってるし、もう慣れた」
「あぁー確かに」
実は、動物園に来るまでにも一悶着あったりしたのだ。
千佳が言った飼い主うんぬんは、散歩中の犬に会ってしまうと、なかなかヨシタカから離れようとしないので、力尽くで離そうとする飼い主と、力尽くで離れまいとする犬との戦いが勃発する為であった。
ご近所さんは誰もがヨシタカの事を知っていて、ヨシタカが住んでいる辺りの地域では、ちょっとした有名人となってしまっていた。
園内をある程度見終わり、一周しようかという所で2人は立ち止まり、辺りを見渡したすとコソコソと千佳が耳打ちして来た。
「やっぱり、ゆー君の注目度は凄いね!」
「動物も人間にもね。嬉しくないけど」
近況の話を織り交ぜながらしつつ、園内をグルっと見て回っていたのだが、見る動物のほとんどが、ヨシタカの前まで来てはちょこんとお座りしたり、ジーーーーと見つめ続けたり、さらには、ヨシタカに構って欲しいのか、その動物が得意としている芸を披露して来たのだ。
その為、その時にヨシタカの近くにいる人達からも、「えっ! あの人凄い! めっちゃ動物にモテてる!」と、注目をされてしまい、今ではヨシタカの後ろに続く、人集りが出来てしまっている状態なのであった。
「あとこれな」
「ずっと付いて来てるよね?」
「クエェーーー」
これと言って指差した先には、尾羽をファサと広げた孔雀がいた。
『キャーーーー!』
ちょっと残念な感じに羽を広げる孔雀に、辺りから子供達の歓声と拍手が鳴り響くが、ヨシタカと千佳はこの孔雀に憐憫を感じていた。
実はさっきから、ヨシタカの後を付いて来ていたのは人間だけでは無くて、放し飼いとなっている孔雀も、1羽だけヨシタカ達の後ろを、ずっと付いて来ていたのであった。
そう、触れ合い広場からずっとである。
完全に、ストーカーと成り果てた孔雀なのである。
「ごめんね。もう少し早く来ていれば、美しい求愛が見れたのに」
動物専攻と言うこともあり、生態にも詳しい千佳が膝をおりつつ、目線を孔雀に合わせる。
孔雀が美しく羽を広げるのは、メスに対しての求愛行動とされていて、春から初夏にかけてが見頃と言うか、盛大に羽を広げるのだが、今は8月の中旬なので、孔雀の羽はあらかた抜け落ちてしまい、何だか残念な感じが否めないのだが、それよりもヨシタカにとっては、聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「えっ? 俺、孔雀に求婚されてるの?」
「えっ? って言うか、他の動物もゆー君に求婚していた子いたんだよ?」
「え?」
「えっ?」
千佳から知らされる衝撃の事実に、どこかで見たことある様な反応をしてしまう2人。
久しぶりに動物園に来て千佳から知らさせた、衝撃的事実に「まさか、ここまでとは!」と、ヨシタカは愕然とするのであった。




