初めての宿屋。好き嫌いは無いようです。
おはようございます。
現在朝の7:58です。
現在地は、宿屋「まんぷく亭」の食堂部分にいます。
見た目は和式のファミレスって感じのを想像して貰えば分かりやすいかな?
大体あんな感じの間取りです。
そして、2階から上が泊まれるスペースみたいだ。
昨日は、ここに案内してくれた真司と同じ部屋を取ってログアウトしたんだ。
お金のやり取りは全部、真司に任せちゃったけど、まぁいいか、モフモフで相殺って事で。
宿屋でのログアウトのやり方は簡単だった。
まず、ベットに入って目を閉じたらログアウトをするかしないかって表示される。
するって選択をすれば、意識が途切れて現実世界に戻るって訳だ。
ただ、昨日は大変だった。
俺がベットに入ったら、紅緒が俺の腹の上に止まって寝始めたんだ。
それを見た灰白さんもベットに上って来て、俺の隣でクルンって丸まって添い寝し始めちゃって、そしたら床に置いてかれた真白がベットが高くて上がれないんですけどっ!って拗ねて床ダンし始めちゃったから、ご機嫌を治すのに時間が掛かって結局ログアウトするのに遅くなって、
「夕飯の時間過ぎるまで何やってるの!」
って母さんに怒られた。
真司は真司でスクショスクショって言っててなんの役にも立たなかったし…
「それにしても、真司遅いなー」
そう。
昨日ログアウトする前に真司から
「明日8:00に食堂待機な!遅れるなよ!」
って言われたんだけど、影も形もありません。
はぁーとため息を吐きつつ、太ももに頭を乗せている灰白さんと、俺の横にピタッとくっ付いている真白を撫でつつ真司を待った。
8:10です。
約束の時間を10分経過した頃に真司達はやって来た。
「悪い悪い!合流すんのに時間かかった!」
「10分連絡無しの遅刻だぞ!」
「だから、悪かったって!朝飯奢るから勘弁してくれ。先にこっちの2人を紹介させてくれ。」
そう言った真司の後ろを見ると、そこには1組の男女がいた。
「こっちが舞姫で、隣がハル君だ。」
「私が舞姫。よろしくね」
「僕がハルだ。よろしく頼む。」
俺は2人に握手を返しつつ、自己紹介をした。
「僕はヨシタカです。真司の友達で、このゲームは始めたばっかりです。よろしくお願いします」
「よし!そんじゃ軽く紹介は済んだし、俺は朝食買いに行くから、細かい説明とかは適当にやっといて!皆は朝食セットでいいよな?」
「大丈夫だよん!」
「あぁ、大丈夫だ」
と2人は真司に向けてサムズアップ。
「じゃっ、後は任せた。」
と真司はカウンターの方へ走って行った。
あっ…朝食セットの説明聞きたかったのに、聞きそびれた。
「それじゃ、座って待っていようかね?それとこれ、私のギルカとフレンド申請ね」
「僕のも渡して置くね」
『舞姫からギルドカードを貰いました。』
『舞姫からフレンド申請が来ています。許可しますか?はい/いいえ』
『ハルからギルドカードを貰いました。』
『ハルからフレンド申請が来ています。許可しますか?はい/いいえ』
「あっ俺のも送ります!」
俺も2人に渡しておいた。
それにしても凄いな。
真司もそうだったけど、この2人もゲームをやり込んでいる感じがする。
舞姫さんは肩位までの黒髪で、巫女さんの格好をしているんだけど、なんて言えば良いんだろう。
片腕がバーンって開いているから、こう目のやり場に困るっていうか。
困るって言っても、ちゃんとタスキで巻いてるから見えないよ!
ハルさんはとにかく大きい上にマッチョだ。
髪は短髪の銀髪で肌は小麦色に焼けている。
けど、ニコッと微笑んでいて優しい印象だ。
良いなぁー、俺もハルさん位大きくなりたい。
そう言えば、舞姫ってどっかで見たような…
あっそうだ!
「舞姫印の着物一式!」
「ぬぬっ!服飾なら、舞姫印をよろしくね!」
うおっ!凄い眩しい営業スマイルだ!
って事はやっぱり…
「真司が着ていた着物って舞姫さんが作ったやつなんですか?」
「そだよ!真司のもそうだしハルのも私が作ったの。当然私が着ているのも自作だよ!ヨシタカ君も作って欲しいのあったら言ってね」
自作で服を作るのって凄いなぁー
「ふふっ、こいつの服は高いから気を付けろよ」
「ぬあっ!ハル君、君は何を言ってんのかなー?」
「事実だ」
「ぐぬぬぬぬっ!」
この2人仲が良いんだなー
ノリが俺と真司に似てる気がするし。
「へーい!お待たせ〜」
「おかえりー」
「おかえり」
「おっかえりー!」
と、真司が大きなお盆を持って帰って来た。
慣れてるのか、俺以外の3人が茶碗とかお皿をそれぞれ並べていく。
そして目の前には立派な朝食が置かれた。
まんぷく屋の朝食セット
・米普通盛り
・小松菜と油揚げの味噌汁
・厚焼き卵
・ネギのお浸し
・たくあんと梅干し
ゴクッ
現実世界で朝食は食べたけど、出来立ての匂いを嗅いだら何だかお腹が空いてきた。
「そんじゃ、いただきます!」
「「「いただきます!」」」
うまっ!どれもこれも全部美味しい!
ゲーム世界なのに、こんなに味の再現が出来てるなんて思わなかったな。
「ぴちゅちゅちゅ」
「クーン」
夢中になって食べてたら、3匹がジッとこっちを見てた。
あっ、ご飯まだ上げてなかったっけ。
「なぁ、真司。灰白さん達に食べさせれる物って置いてあるかな?」
「むごっふ。ごくん。使役モンスは俺達と同じの食えるぞ。もう1人前頼めば良かったな、ちょっと待ってろ!」
そう言って真司はカウンターに向かって行った。
「ねぇ、ヨシタカ君知ってる?ここに出てる殆どが東京産の食べ物なんだよ」
「しかも、他の県に行くとその土地の名産が食えるんだ」
「えっそうなんですか!」
「そっ!良い時代になったもんだわ〜」
知らなかった。
けど、各地の食べ物が食べれるってなったら、全国周りしてみるのも良いかも知れない。
「それと、大事なのは名産を食べると満腹値以外に得点が付くんだ。ここだと、確か攻撃力+10だったかな?」
へーそうなんだ。
美味しいご飯食べれて特典付くのは良いな。
それに全国の名産品が分かると、現実世界で旅行に行く時に便利かも知れない。
「ほーい、お待たせー」
と、戻って来た真司が灰白さん達の前に朝食を置くと、待ってました!とばかりに、朝食に飛び付いた。
紅緒はやっぱり雀だからかな?ご飯ばかり食べている。
真白は梅干しを食べて、酸っぱっ!て顔してるのが何だか可笑しい。
灰白さんは味噌汁をチビチビと舐めてる。
そうか、熱いよな。
それに肉が無いから物足りないのかも。
ごめん灰白さん。
お昼はお肉用意しときます。
「ふーごっそさん!」
最後に真司が食べ終わったら、目の前の空のお皿が光に包まれて全部消えた。
「えっ!消えちゃったけど…」
「大丈夫だって、食べ終わると自動で回収されんだよ。便利だよなー、それより、こいつらのギルカ見たか?俺より凄いぞ!」
確かに、自動に回収されるのは便利だ。
それに何々、舞姫さん達のギルカカード?
ギルドカード
1/10
名前 舞姫
ギルドランク Lv892
生産ギルドランク Lv574
商人ギルドランク Lv411
職業
冒険者/狙撃手(2丁拳銃)
服飾
織物
商人
料理人
2/10
武器
2丁拳銃右・怒リヲ表ス者【阿】
2丁拳銃左・怒リヲ秘メシ者【吽】
防具頭 日輪の髪飾り
防具胴 日輪の胸当て
防具腕 日輪の手甲
防具腰 日輪の腰当て
防具足 日輪の下駄
装備品
舞姫印の着物一式
舞姫印の足袋
舞姫印のサラシ
1/10
名前 ハル
ギルドランク Lv522
生産ギルドランク Lv346
商人ギルドランク Lv201
職業
冒険者/拳闘士(格闘家)
木工
樵
2/10
武器
雷神ノ拳鍔
防具
防具頭 韋駄天の面
防具胴 韋駄天の胸当て
防具腕 韋駄天の籠手
防具腰 韋駄天の腰当て
防具足 韋駄天の靴
装備品
舞姫印の戦闘服
舞姫印の足袋
獄卒の首輪
うわっ!
数字がとんでもなく凄い事になってる。
えっと、このゲームの発売が確か4年前位だから…
「なっ、舞姫とか廃人プレイヤーなんだぜ!ヤベーだろ!」
「やばくないよ!1日平均5時間してればこれ位普通だよ!」
「いや、それは人として駄目だろう」
さすがに俺も1日5時間はちょっと…
「ムキー!!って、あぁ!ヨシタカ君が引いてる!」
「アハハ。そんな事は無いですよ。ところで、この2丁拳銃とかってどうやったんですか?何の派生スキルですか?」
話を変える為に、気になった事を質問した。
「んっ?2丁拳銃?2丁拳銃は特殊派生スキルだよ。弓と魔術師の熟練度を上げれば拳銃のスキルが、それにプラスして双剣の熟練度を上げれば2丁拳銃のスキルが習得出来るわよ」
中々に習得するのがめんどくさ…げふんげふん
「そうだ。ちなみにですけど、この後は何するんですか?」
「草原でピクニックを予定しているよ」
ってハルさんが答えてくれだけど、草原でピクニック?
「そう!実は最初から気になってたのよ!ヨシタカ君の獣魔達!真司から、可愛い子達が居るよーって言われて、いつも仏頂面のハルも、さっきからニッコニコしちゃってるもんねー」
「止めなさいな」
と、ハルさんのほっぺをウリウリした舞姫さんの手をペイって叩き落とした。
そうか、ハルさんがにこにこしてたのはそう言う理由か!
「ハル君は、見た目と違って小っちゃいのとかが好きなんだぜ。だから、紅緒ちゃん見た瞬間から、ずっとにこにこしてんだよ。」
「へー、紅緒可愛いってさ」
「ぴちゅちゅちゅん!」
当然です!って顔をして胸を膨らましている。
「「「はぁー!かわい〜」」」
あぁ、3人共顔が溶けてますよ。
「…ごほん。さて、いろいろ必要だし商人ギルドの所に行くわよ!」
「必要?」
「そっ!食べ物とか遊び道具とかね。」
「よーし、じゃあ皆で行くぞー!」
という訳で、俺達は商人ギルドへと向かった。