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闘技大会予選3日〜6日2

先週はお休みしてしまい申し訳ありません。

闘技大会6日目、予選最終日の今日は、特訓はお休みにして無差別級のレギオンの観戦をしようと決めていたので、9:00頃にログインをした俺は、白薔薇さん達がいるスペースを探した。


「あっ、今日はあそこか」


「基本的に外周辺りにいるよ」って昨日言われていたので観客席をぐるっと見渡すと、一箇所だけ真っ白な空間が出来ているのだ。

今日の様に、もの凄く目立つので今回の様な場所取りには白薔薇さんが率先してやるみたい。

それにしても、今日は数日前よりも人が多い気がする。


「あと、フロア広いなぁー」


レギオンでの試合は、フロアが100×100の1面になっているから、俺達が試合したフロアに比べると2倍の広さと言うことになる。


「おはよう。君が一番乗りだね」


「おはようございます。何か…今日凄く混んでいますね」


白薔薇さんと共に、白薔薇さんの従魔達も挨拶にやって来たので撫でつつ座り、いつもと熱気が違う会場を見渡した。


「そりゃあ、有名人達がわんさか出てくるしね。それ以外にもお楽しみはあるから、今日と明日だけ観戦に来るってプレイヤーも多いんじゃないかな?」


どうやら、真司達ははまだ来ていないみたいで、しばらく白薔薇さんと話して時間を潰していると、試合開始ギリギリになって3人がやって来た。


「間に合ったー!に、しても、今日もやっばい位に人が入ってるねー」


「会場の外にもまだ溢れていたかんな!」


「まるでお祭り」


「だなー」


そう言うが早いかササッと座り、どんどんお酒類や惣菜を取り出して行く。


「ユッキーは飯とか買って来たか?今から行くとかなり混んでるし、昼頃も人で溢れると思うぜ?」


「あー…俺が売店見た時もそうだったから携帯食でいいかなって?まだ、数も余っていたし」


そう、ここに来る前に売店フロアを見て見たら、かなりの長蛇の列が出来ていたから買わずにスルーしたのだ。


「えっ!ヨシタカ君ご飯買って来てないの?せっかくのお祭りなんだから美味しいもの食べなきゃ損だよー!」


「私達の上げる」


「いやいや、悪いですよ」


ズイズイっと食べ物を差し出されたけど、首と手を横に振って遠慮していると、白薔薇さんに肩をポンポンと叩かれる。


「貰っておきなさい。それに、そこのお馬鹿2人のお金は有り余っているんだから、こんな時でも無いと減らないのよ」


「そうだぜ。初心者に手厚くするのも高Lvプレイヤーの楽しみなんだよ」


「そうだぞー!こう言うのは貰っとけ貰っとけ!」


「ん」


2人にも賛同されたので、ありがたく貰う事にした。

ちなみに、お金が有り余っているのはゲームの方のお金である。

舞姫さんの場合は、舞姫印シリーズがオーダーメイドで評判も良く高く売れるからで、唯さんの場合は、ソロでクエストをクリアしているので、報酬を独り占め出来るからであ

る。

それに、一番お金を使うと言っても過言では無い武器や防具も、イベントとかが無いと新しいのは出ないし、ぶっちゃけちゃえば、今使っているので十分に戦えるのだから、新しく買う必要ないので、どんどんお金が貯まって行くと言う訳だ。


『さぁ、皆様お待たせしました!無差別級レギオンの試合を再開します!果たして優勝は誰の手に!おおっと!早速剣聖アーサー率いるアルファの入場だぁー!』


『アーサーのクラウン「Adults' party」で

は、アルファ、ベータ、シータとして3つのレギオンで参加しているので、もしかしたら同士討ちがあるかも知らないですねー』


『そうですね!昨日は運良くバラけていましたが、数が減る分当たる確率は高まりますからね。…おおっと?divaこと祈。後方で早くも全力を出す模様です!早速2つ名に恥じない美声を客席に届けるのかぁー!!』


試合開始と共に、司会者の2人による解説が入るが、それを遮るかのような歓声が辺りに響き渡った。

そして試合開始と共に、ビリビリと鳥肌が立つような試合が始まった。


やはり特筆すべきは、アーサーさんが率いているレギオンだろう。

先制で魔術師による攻撃の後、前衛同士の戦いになり、最初は拮抗している様に見えたのだが、前衛にいるアーサーさん達に幾重にものエフェクトが掛かると、あっという間に瓦解して相手の前衛が全滅した。

まるで、お互いに何をすれば最善かが分かっているような動きで相手のレギオンを翻弄して、誰が王者かを辺りに見せびらかすが如くこの試合は圧勝した。

そして、初見の戦闘スキルで戦っている人が何人も居た。

特に気になったのは、司会の人が言っていた祈さんだ。

だって、あの人、昨日アーサーさんの頭を叩いて引きずって行った人だったのだ。

って訳で、隣にいる真司に聞いてみる。


「さっきの祈さんって、どんな戦闘スキルなんだ?」


ここから見る祈さんは、他に楽器を持っているプレイヤーと共に後方にいて、音符が付いたエフェクトがグルグルしていて、正直どんな戦い方なのか分からないのだ。

ただ、アニソンが流れている事は分かる。

えっと、確か金曜日の深夜にやっているアニメのOPのやつだ。


「ん?祈?あぁ、ユッキーは初見か。祈は吟遊詩人で、2つ名はdiva。3人いるめちゃくちゃ歌が上手い人の1人だな」


この会話を聞いて舞姫さん達が補足説明をしてくれる。


「ちなみに、各々の2つ名があって、祈がdiva。もう1人がセイレーンの美紅(みく)。唯一の男性で歌唱王子がいるよ」


「男性用の歌姫って単語は今の所無いから、歌唱王子って呼ばれているかな?」


「残念。染喜(しき)


「吟遊詩人」とは、付与術師の派生スキルであり、付与術師のスキルと、歌唱または各楽器の熟練度が高いと発生する戦闘スキルである。

戦い方は、予め楽曲に各効果を選択し、その効果を音楽に乗せて付与する事が出来る。

既存の楽曲でも、オリジナルでも使用可能となっているが、オリジナルの場合は楽譜を運営に送らなければならない。

オリジナルの場合は、楽曲の選択肢に載せるかは任意で決める事が出来る。

アレンジも同様で、変更点を運営に送る必要がある。

その場合の曲名は以下の通り。

「既存の楽曲」「既存の楽曲〜ver」

「オリジナル」

また、他のプレイヤーとの重ねがけも可能。

戦闘時は奏者の周りに楽譜のエフェクトが出て、カラオケと同じ採点式であり、正確さや技能が高ければ高いほど、効果が高くなる。


「と、まぁこんな感じだったかな?」


「はぁーなんか、音楽やってない俺からしたらめんどくさい仕様だな」


まぁ、あまり歌はあまり得意では無いし、楽器も小学校の時のリコーダー位しかやっていないので、選ぶ気はないんだけどね。


「あと、演奏中は他の行動は出来ないから、レギオンみたいな多人数での戦闘じゃ無いとねー。他のプレイヤーに迷惑掛かっちゃうんだよねー」


確かに、ドラムやキーボードの人とかだと、

楽器を持ちながらの回避とか無理だもんな。


「ちなみに、楽器が武器扱いになっているんだよ。面白いよね」


楽器の場合攻撃力は無く、その代わりに音の性能がそれぞれ違うらしく、極端な例だとすれば、あの物凄く高いヴァイオリンとかも置いてあるみたいだ。



「うむ、この組みで今日は終わりか」


「ん」


「今15時ごろだから結構早かったよね?」


「休憩挟みそうだけど、16時ごろから開始かな?」


今、下で行われている戦闘が今日最後の組み合わせになっており、すでに上位3組は決まっているので、ここで勝った方のレギオンが決勝戦に行けるのだ。

ちなみに、優勢側の方に吟遊詩人の染喜さんがいるのだが、彼が出てきた瞬間の女性達による歓声が物凄く、一種のアイドルの様でもあった。

もちろん祈さんや美紅さんの時は男性達の歓声が凄かった。

ただ、俺の周りのメンバーは歓声など送らずに、ひたすらモフモフしたりお酒を飲んでいたりしていた。

ブレていない所は流石です。

その後暫くして染喜さん達のレギオンが勝ち進み、上位4組が決まった。


『勝った人も負けた人も、皆様お疲れ様でしたー!予選は全て終了し、明日からは本戦が始まります。本戦出場者はこの後運営からの連絡があると思うので、見逃さないようにねー!この後のイベントは調整あるので、楽しみにしている人達は暫くお待ち下さ〜い!』


フロアに居たプレイヤーが捌けたら、司会者からの説明があった。

フロアには、運営のマーカー付いた人達が居て、何やら作業をしているように見える。


そうか…もう明日から本戦だ。

せっかくここまで来たのだから、優勝したいなぁ。


「いやーまさかマチまで勝ち残るとは思わなかったよー」


「ね。けど、バランスは良かったし、それぞれ強化して来てたから…もしかしてワンチャンあるかも?」


レギオンでは、数グループにテイマーかサモナー職の人が居たのか、従魔が数匹入って居たのだけど、マチさんのレギオンはマチさん以外が全部従魔だったのだ。

それに、唯さんが言っている通りにバランスも良くて、俺が目指すプレイスタイルの1つを見た。


「そう言えば、マチさんの従魔も歌っているように見えたけど、従魔も吟遊詩人みたいなのあるんですか?」


「あるよ。人型の従魔限定だけど、祝歌と呪歌だね。祝歌は味方プレイヤーの能力を上げて、呪歌は敵プレイヤーの能力を下げるよ」


さすがベテランテイマーの白薔薇さんが答えてくれた。


「まぁ、祈達に比べれば、性能は落ちるけどね」


「それはしょうがないっすよ。モンスターは無差別級じゃないと人語話せないから、設定された物じゃなきゃ歌えないんだから」


そんな事を話しつつ、お酒のおつまみの枝豆や唐揚げを食べていると、俺と唯さんに運営からのお知らせが来た。


【運営からのお知らせ】

闘技大会予選お疲れ様でした。

明日10時から決勝戦を開始しますので、時間厳守にてお願いします。

基本的には予選の時と同じですが、変更点があります。


変更点

予選と異なりフロアは1つのみとなりますので、ソロとユニオンが終わる際にフロアの設定変更を行います。

各戦闘が終了した際に、10分ほどの休憩を挟みます。

その間に、次に参加するプレイヤーが現れない場合は不戦敗とさせて頂きます。


以上を気を付けてください。


「ヨシタカ君来た?」


「あっはい。来ました!」


「ん。決勝戦は遅刻厳禁だから、最初から控え室にいた方が良いかもだから、私と一緒に行こう。当日の人の多さは今日と同等」


「あーそうですね。そうさせてもらいます」


唯さんに言われて辺りを見渡すと、人人人で溢れているのだ。

テレビに映るライブ会場や、お祭りの混雑具合を思い描いてくれれば想像しやすいかもしれない。

そんな中を抜けては、時間に間に合わ無いかも知れないので、唯さんのお言葉に甘える事にした。


「ところで白薔薇っち、今日ラストまで居れるの?」


「一応20:30まで生存可能だよ」


「ん?何の話ですか?」


「ほら、あれだよ。あれ、生存保護の規制で12時間以上のプレイをしたら、6時間の休憩を取らないといけないんだよ」


「あぁ、説明書に書いてあったね」


今の時代、VRゲームの殆どが長時間のプレイをすると、強制的にシャットダウンされてしまい、一定の時間を過ぎないとログインが出来ないのだ。

それは、規制がされる前は長時間プレイによって、食事や睡眠を取らない人達が出て来てしまい、事故に繋がるからと今の仕様になっているのだ。

さらに、ゲーム機本体であるヘッドギアで脳波を測定し、睡眠不足などによって健常者でないと判断された場合もログイン出来ない様に工夫がされている。


「そういう事だから、最後まで楽しめるさ。

さて、そろそろじゃないかな?」


そして16時。

遂に始まったのだった。


『本日で予選の全試合が終了しました。これから20時までの闘技場はご自由にご利用下さい』


『うぉおおおおぉぉぉ!』


司会者からの言葉に、周りの観客が大いに盛り上がっている。

1人ポツンと、俺だけ周りについて行けずにいたけれど、その時間はあっという間に過ぎて言ってしまった。



部屋が暗くなり、辺り一面が真っ暗になったと思ったら、司会側の位置が下から上にライトアップされ始めて、更に、上からもフロアに向けてライトアップされて、ちょうどドーム会場によるアイドルなどによるライブの様な風景が目の前に映し出された。


フロアは全部で4つあり、1つのフロアに吟遊詩人とダンサー達がいて、それぞれ2〜3曲ほど歌うと時計回りに次のグループへと移って行く。

もちろん祈さん達も、それぞれバラバラだけど参加している。

真司に聞いたら、有志によるライブが毎年行われており、闘技大会と共にこのライブも有名で、これを見るためだけのプレイヤーもいるのだと言っていた。

ゲーム世界だからか、アニソンが多めな感じだが、ドラマや映画の主題歌もあったりして知っている曲があると、楽しいし、それに、「皆も一緒にー!」と言ってくれるので、一緒に歌ったり踊ったりもして物凄く楽しい!

そして、やっぱり物凄く歌や演奏が上手いので、飽きもせずにあっという間に楽しい時間は過ぎて言った。


『皆、残念だけど次が最後の曲になると思うの!なので、全員でこの曲を締めに歌わせてもらいましょう!このゲームのOP【Welcome new world】!」


最後はフロアにいるプレイヤー全員による合奏となり、会場に居るプレイヤーも一緒になって歌い、歌い終わると盛大な拍手が鳴り響いた。


『それじゃあ、明日も頑張るぞー!』


拍手の中、最後祈さんの言葉で有志によるライブは締め切ったのだった。



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