闘技大会予選2日目
闘技大会2日目。
今日は昨日と違い、二人のプレイヤーが俺達の所へとやって来ていた。
「やぁ、ヨシタカ君久しぶりだね。こっちは僕の奥さんで明日菜だ」
「ハルの妻の明日菜です。よろしくね、ヨシタカ君!」
そう、久しぶりに会ったハルさんと、その奥さんである。
紹介された奥さんは、両サイドが三つ編みになっているハーフアップで、髪は濃い茶色をしている。
服装はと言えば、なんと巫女服であった!
巫女服をリアルで初めて見たな。
「ヨシタカです。よろしくお願いします!えっと、こっちは灰白さんとこがねで、灰白さんの上にいるのが真白。こがねの上に乗っている雀が紅緒、露草、さえずりです」
そう言って紹介した灰白さん達は、尻尾を振ったり、ハル君や明日菜さんの肩に移ってスリスリするなど、各々の挨拶をする。
小さいもの好きのハルさんは、紅緒を手に乗せてパァァって音が聞こえそうな笑顔で撫でていた。
「いやぁ、皆を見つけられるかなって思っていたんだけれど、グルって一周見ればここだけポッカ空いているんだもん。すぐに分かったよ」
「あっ…やっぱり目立ってますかね?」
ハルさんの言う通り、俺達の周りは何故かポッカリとスペースが空いている状態なのだ。
一応ここで弁明をしておくと、今回闘技大会へと参戦していない白薔薇さんは、自分の分と従魔達の分の入場料を支払っているので、何も問題は無いのだが、やっぱり連れている従魔が怖いのか、俺達の周りには余り他のプレイヤーが寄ってこないのだ。
昨日はネコ科がメインで、迫力のあるライオンとかが両サイドに陣取っていたし、今日は人なんて簡単にガブ飲み出来そうなほど大きな、白い蛇が来ていた。
その他にも、白薔薇さんの肩にはフクロウがいて、手で撫でているのは蛙である。
もちろん全部色は白である。
唯一の例外だとすれば、今俺の足元にいる尻尾が二股の三毛猫位だろうか?
「まぁ、舞姫や白薔薇、唯とかは有名だからね。いい意味でも悪い意味でも」
「あーなるほどー」
挨拶が済んだ後は、女性陣同士で会話に盛り上がっており、中々その中に入る勇気は無いので、ハルさんと俺が必然的に会話する形になった。
真司?真司なら、そこら辺の毛皮の中にでもいるのでは無いだろうか?
「ハルさんは闘技大会に出るんですか?」
ふと思った事を聞いてみたら、きょとん?とされた後に、笑いながらハルさんが答えた。
「僕?僕は出ないよ。ほら、初級以外は装備
の威力がそのまま出るからね。Lvが500位の
僕だと、唯みたいな900台のLvのプレイヤーがいたら瞬殺だよ」
「えっ!そんなに差があるんですか?」
「あるある!僕のが100だとしたら、唯とかのプレイヤーは200とか300位は言っているんじゃないかな?」
「えぇ!…凄いんですね」
「まぁねー。それより、昨日はどうだったかな?」
そう言われて、昨日の事をハルさんに説明して言った。
昨日は、遅めの朝食を皆でワイワイと食べ終わった後に試合が開始された。
ちなみに、昨日の朝食はここで買って来たもので、中には課金の商品も入っている。
大人組は課金商品も買い込んでいて、食べ物は俺にも一口味見させてくれた!
大変美味しかったです!
「あとは、観戦って言ったらこれでしょ!」
と言って、舞姫さんがドドンッてお酒を取り出して、女性陣3人でお酒を飲み始めしまった。
俺と真司は未成年なので飲み物はコーラで、つまみには唐揚げや揚げ物系を手渡された。
一応法律と照らし合わせて、ゲーム世界でも飲酒は20歳を超えてからとなっているが、
実際は軽い酩酊感が味わえる位で、酔ったりはしないらしい。
では、何故買うのかと言えば雰囲気なのだそうだ。
「ヨシタカ君。一応他のプレイヤーの邪魔にならないように、外周辺りに場所取りをしているのだけれど、そこからだと試合会場は見にくいだろう?」
「あのパネルも、ゆっくりだけどグルーって回っているしねー」
そう言われて、下にある試合会場を見てみると、確かに見れるには見れるのだが、前のプレイヤーが立ったりしちゃうと見れないし、細かい動作などは、よく分からなさそうである。
「うーん。確かにそうですね」
「そんな時の説明をするよ」
そう言って白薔薇さんは、何かウィンドウで操作すると、試合会場の映像がウィンドウに映し出された。
「いいかい?説明をするから、その通りにやってごらん?」
「はい!」
俺はコクンと頷き、白薔薇さんの次の言葉を待った。
「まず、ウィンドウの地図で現在地であるここを押すだろう?その後に、試合観戦って項目があるからそこを押して。そうすれば大丈夫だ」
言われた通りに操作すれば、試合観戦って項目を押した瞬間に、試合会場全体を上から見た映像が映し出された。
「あとは、見たいところを押せばいい」
そう言われて試しに右上の所を押すと、そこが拡大した。
見た感じだと、試合会場と試合会場の間で、内側からの映像みたいだ。
多分だけど、他の試合が映らないよう配慮されての事だと思った。
「今は選手が居ないからそこまでだけど、選手がいたら、テニスみたいな感じで見る事が出来るよ」
「はい、ありがとうございます!」
「あとは、選手が居ないと説明が出来ないからね。暫く待っていよう」
そうしてしばらく待っていると、空に浮かんでいるパネルが10カウントを取り、会場にいるプレイヤー達がカウントをし始めた!
「「「「…5!4!3!2!1!」」」」
『皆様お待たせしました!毎年恒例夏限定の闘技大会スタートです!』
「「「「うおおおおおぉぉぉぉ!」」」」
まるで地響きかの様な歓声が上がり、いよいよ闘技大会が始まったのだ!
『選手の皆様は、指定のフロアへと移動して下さい!準備はいいですかー?では、ソロ初級スタートです!司会はソルト・ピクルド・シュガーがお送りします!』
『解説は、運営東京支部菜々緒がお送りします』
歓声に負けぬ音量で、2人の女性の声でアナウンスが流れて来るので、どこから司会をしているのかと探して見ると、観戦スペースにポコッと前に出ている部分があり、そこに女性が二人がいた。
1人は菜々緒さんだったので、もう1人がソルトなんちゃらシュガーさんだろう!
『えー、今回からルール変更があるとか?』
『はい、そうなんです。有難いことに日本支部のプレイヤーの方々が増えて来たので、闘技大会に参加する方々も増えると判断されたので、その処置です。まぁ、社長がいきなり言って来たので、こっちからしたら仕事増やしやがって!って感じですけどね』
『それはお疲れ様でーす!でも、確かに有名所は対策しないと今後も優勝しちゃいそうですからね!』
『そうなんですよねー』
『おっと?そんな話をしている間に、Aフロアの試合が終了しました!電光石火の速さでの勝利でしたね!』
そんな司会者達の会話を聞きつつ、試合を観戦する。
「ところで、あの人…何であんな長い名前なんだろう?」
「彼女ね、料理をする時によく間違えるんだって、塩と砂糖。だから、戒めにあんな名前を付けたんだって噂になってたよ」
ふと、思った事を呟いたら、聞こえてたのか白薔薇さんが苦笑しながら周りの声に負けずに答えてくれた。
「なるほどー!」
「それはそうと、ヨシタカ君は片手剣だったよね?だったら、観戦の時は片手剣のプレイヤーを見て見るといいよ。上手な人はどんなLv帯でも上手だからね」
「はい!ありがとうございます!」
「もちろん、興味あるプレイヤーがいたら、そっちを優先してね」
「ヨシタカ君!フロア選択をしたら、右端に戦っているプレイヤーの表示がされているから、そこを押すとその人の後ろからの映像になるよん!」
「はーい!」
そう言われて、ウィンドウに映っている映像を確認すると、片手剣vs弓の所があったの
で、片手剣の人を選択して見て見ると、どっかで見た事がある人だった。
あれ?どこで会ったんだっけ?
あっ!乗馬クラブで会ったキースだ!
あの時は気付かなかったけど、キースは片手剣だったのか!
それより、キースの動き方は参考になるな。
キースも俺と同じ片手剣と小楯を装備していて、矢が飛んで来たら横から盾で晒すか、剣で叩き折っている。
何故自身で躱したりしないのかと言うと、弓の性能の問題だろう。
基本的に、弓には毒などが塗ってあるのが定番であるらしく、ちょっとでも掠ると状態状態になってしまうらしい。
また、毒以外にも麻痺や睡眠効果のある薬を塗っている矢もあるみたいだ。
さらに、弓のスキルに射撃補正があるみたいで、このスキルがあると標的に命中しやすくなるらしい。
あとは、キースが片手剣の範囲内に入りたいため、態勢を崩して躱すよりも、走りながら弾いたり、叩き落としたりして距離を詰めたいのだろう。
そうこうしているうちに、射程圏内に入った後のキースの攻撃は圧巻だった。
まず、隙の無い小振りの攻撃を連続で繰り出して、相手が距離を取ったり反撃をしにくい攻撃を繰り返していた。
弓の場合、1回引いてからでないと攻撃が出来ないのだが、キースが一定の距離を維持したままなので、中々反撃が出来ないようだ。
「ヨシタカ君どこ見てる〜!」
「わっ!えっとここの試合です。…あと、酔ってます?」
「うふふー!酔ってないよー!」
後ろから舞姫さんにドーンと抱きつかれて、そこからウィンドウを覗きこんで来た。
「どれどれ?」
そうしたら、ヘタァって感じで唯さんも俺の右側に寄りかかって来た!
えっ?マジでこの人達酔ってるんじゃないのか!?
「ふむ…初級なら、この子はまぁまぁ上手い方かな?」
「あっやっぱりそう思う?」
「うん。あと、効率が良いから弓の人何も出来ないで…あっ終わった」
そう言われて画面に視線を戻すと、右端に映っているキースの上の部分にWINって書かれていた。
もちろんキースの上にある弓の人の部分に
は、LOSSって書かれている。
「むふーん!スリスリー」
「ツンツン」
「あわわわわ!」
後ろで俺に抱きつきスリスリし始めた舞姫さんと、ツンツン頬を突く唯さんに便乗して、灰白さん達も俺の顔をペロペロ舐めたり、スリスリし始めた!
えっ?白いライオンさんも、のっそりとこっちに来ているんですが?
「しっ…白薔薇さーん!助けて下さーい!」
「あはははは」
白薔薇さんに助けを求めたけど、帰ってくるのは笑い声だけ、まさか、白薔薇さんも酔ってらっしゃる?
「ダメだっ!ここにまともな人間は、1人もいない!」
「ーーーと、まぁ、昨日は大体こんな感じでした」
「あー…うん。多分今日は唯は大丈夫だと思うよ。試合あるし」
昨日の出来事をハルさんに話していると、途中から苦笑されていた。
「あっ…そっか!今日は唯さんも出るんですね」
「はぁ、そろそろ時間だから行ってくるわ」
そして、そんな会話をしていると、ひょっこりと真司が会話に入って来た。
昨日は初級と中級の上位4名が決まり、上級も数名戦った所で終わった。
そして、今日の予選では真司が最初に戦う事になっているので、開始時間20分前に選手控え室に向かわなければならず、灰白さん達をモフモフしていたいのをグッと我慢して、やっと立ち上がったのだろう。
「頑張れよ真司!」
立ち上がった真司に向かって拳を突き出す
と、「おう!」と返事と共にお互いの拳をぶつけ合った。
「4回勝ち抜けば大丈夫」
「初戦敗退とか罰ゲームだからねー!」
「まぁ、楽しんで来なさいな」
「応援しているよ!」
「頑張ってね。真司君!」
上から順に、唯さん、舞姫、白薔薇、ハル
君、ハル君の奥さんの明日菜さんだ。
「おう、頑張ってくるわ!取り敢えず罰ゲームは嫌だから、初戦は勝ち抜けるようにするわ」
それぞれにハイタッチした後に、選手控え室のある場所へと向かって行った。
「あっ、これ真司じゃない?」
「あっ本当だ!真司ー!がんばれー!」
舞姫さんの指摘で、ウィンドウに表示がされた真司を発見し、ここからだと聞こえないだろうけど、フロアにいる真司に向かって叫んだ。
結果だけ言えば、初戦は楽々と勝ち上がる事が出来たけれど、最後の4人を決める試合で負けてしまった。
「くそー!あの砂打ち野郎!弾幕にも砂入れてやがったんだぜ!くそーまだ目がゴロゴロしてる気がする!慰めてー!」
戻って来た真司は先程の試合の影響か、治っているはずの目を擦りながらも、戻って来た瞬間にもふもふに埋もれてい行った。
「乙どんまい!彼あれだよね?砂射羽鴉ってやつだよね?」
一応このゲームにも、土、砂、樹木魔法は存在しているが、火や水の様にステータスには表示されない。
その理由は、どの攻撃も物理攻撃だからだと教えてくれた。
「そう、それで合ってる。弾幕から攻撃するのが基本。で、この後、試合あるみたいだから行ってくるね」
そう言いつつ立ち上がり、真司の時と同じく皆にハイタッチしながら、今度は唯さんが試合会場に向かって行った。
なんだかんだで、唯さんの戦闘シーン見るの初めてかもしれないと、噂の最強にちょっとワクワクする。
「まだ、お昼位なのに進むの早いですね」
「そうだね。10分試合時間があるけど、基本的に時間切れで判定はあまり無いかな?」
「上級からだとどのグループも、結構短期決戦だからね。特に唯っちの場合はハンパないよ!参考にならないから!」
最初はえっ?って思ったけれど、その意味は直ぐに分かった。
何故なら、どの試合も俺から見たら常識からかけ離れていて、到底真似が出来るなんて次元では無かったからだ!
それと、無差別級になると戦闘スタイルも、同じ戦闘スキルでも全然違う感じになるのだから、俺が真似しようだなんて思っても当分は無理だ!
その後、俺は見ていないが、あっさりと最後の4人まで勝ち上がった唯さんは、「これで最終日前日までお酒飲めるー!」と、戻って来て早々にお酒を飲み始めた。
そして、俺は今控え室にいる。
とうとう俺達のグループ、パーティー・初級が始まろうとしていた!
「えーパーティ初級の12番の方ー!」
「あっ、俺達だ。はーい!」
「12番の方ですね。試合場所はAとなっています」
冒険者ギルドにいる職員と、同じ服装の人に
呼ばれたのでそちらに行くと、「Aフロアにて、次の試合になります」と言われたので、
控え室からAフロアに向かう。
今度のフロアは50×50の2面で、そのうちの司会者側から見て右側が、俺達が最初に戦う場所だ!
いよいよ俺達の番が来るぞ!
モブ名を考えてくださった方、ありがとうございます!
ここからじゃんじゃん出して行こうと思います。
来週と再来週は、真司と唯目線でのストーリーになります。
なので、ヨシタカ達の試合はもうちょっと後になります。




