闘技大会予選開始!
お待たせしました。
闘技大会編スタートです。
今年もよろしくお願いします。
「はぁはぁ…」
時刻は朝7時55分頃で、俺は雷門の入り口に向かって走っていた。
何故なら雷門前には、すでに3人が待っていたからである!
「おはようございます!」
「ウィース!ふぁー…寝みー」
「オッス!オッス!」
「おはよう」
「あちゃー…俺が最後ですね」
「大丈夫大丈夫ー!8時前に来てくれれば大丈夫だよー!」
なんて会話をしていたら、
ーーーパンッ!パンッ!パンッ!
ーーーテロン♪
と、朝の8時になった瞬間に空に3発分の、花火よりもかなり小さい煙が打ち上がったと同時に、運営からのお知らせが届いた。
舞姫さんが言うには、3発の花火は三段雷などと言われているみたいで、よくお祭や運動会の前に打ち上がり「開催しますよー!」って、お知らせの様なものだと言っていた。
あと、開始時間まで30分間隔で打ち上げるみたいだ。
「よしっ!運営メール確認してみて!」
そう言われて、運営からのメールを開く。
運営からのお知らせ
第4回闘技大会開催!
本日10時から闘技大会の予選を開始いたします。
参加者個別に試合会場のお知らせをお送り致しますので、そちらへ開始時間前に準備をしておいて下さい。
担当の者がチェックいたします。
遅刻厳禁となり、開始時間前にない場合は失格となりますので注して下さい。
詳しくは2ページ以降に記載されています。
ご確認下さい。
では、存分に戦って遊んで楽しんで下さい!
と、1ページ目には書かれており、2ページ以降からは細かいルールや、会場の内容が記載されていて、俺の場合は「本日パーティーの予選はありません」ってなっていた。
真司の場合は「本日未定」で、唯さんは「本日の予選はありません」となっていたので、詳しく聞いてみると、ソロは64人で、それ以外が32組が参加可能となっていて、全部で約4500人のプレイヤーが参加している。
そして、朝10時からスタートで、18時頃に解散となっている。
これを1週間かけて行うのだ。
ふと、日本サーバーにいる300万人近いプレイヤーがいるのに、闘技大会の参加可能人数が少ないんじゃないかな?って思ってみたけど、1週間近く大体同じ時間と、おなじに場所にログインしなければならないため、大丈夫みたいだ。
確かに、1週間も完全に予定を空けられる事って難しいかも。
そして、初日はソロの初級からスタートとなり、終わったら、次はソロの中級が始まるため、時間が繰り上がるかどうかで真司の出場が決まりるのだと言う。
さすがに無差別級の唯さんまでは順番は来ないので、俺と同じ内容になっているのだ。
「よし、それじゃあ会場まで行こうかね!」
「馬で行く?ドーラ?」
「はいはいはーい!絶対馬でお願いしまぁーす!」
よほど昨日の事が怖かったのか、唯さんがドーラの名前を出した瞬間に、真司が被さる様な感じで挙手をしながら会話の中心へ突っ込んで言った。
闘技大会の会場は、東京ドームの場所であるため、俺達は雷門から西に向かう。
場所的には、始まりの町の上辺りでもあるため、この時期ほとんどのプレイヤーは始まりの町へとやって来るのだと言う。
さてさて、そこで困るのは収納人数に限界があると言う事で、闘技大会のキャパが約6万人であり、参加プレイヤーで約4500人いて、NPCはもちろん、各地にいるプレイヤー数万人ものプレイヤーが始まりの町に来るわけだが(順番待ちしているプレイヤーは出番が来るまで観戦スペースへ行くため、大体が3万人位である)そんな大人数を泊められる宿泊スペースは無い。
そこで、この闘技大会期間限定で始まりの町より少し離れているが、コロッセオ(明治神宮球場に当たる場所)が解放されて、そこで宿泊が出来るみたいだ。
ちなみに、普段のコロッセオは曜日毎に内容が変わっているらしく、平日は市場の様になっており、休日と祝日はイベントが開催されていると言う。
イベントは多岐に渡るが、参加するには運営に許可を貰わないと開催されないらしい。
前にやった事があるイベントだと、モンスターvsプレイヤーで賭けが行われたり、ある時はアイドルライブみたいな事もやった事があるらしい。
もちろん、リアル世界での場所である野球も出来たりする。
「ところでヨシタカ君は馬乗れるの?」
「あぁ、はい。特訓の時に、ここから離れた場所に行く時は、基本乗馬で行きましたよ」
「いい子。いい子」
「う〜まうまうま〜♪」
舞姫さんが、ポンって手を叩きながら聞いてきたので、答えたら、何故か唯さんに頭を撫でられるとは、何故に?
あと、馬も許容範囲内なのか、さっきから真司がうまうま歌っていてちょっと引く。
そんな訳で、俺だけ馬を借りに行き、他のメンバーは自分の馬に乗って闘技大会へと向かった。
真司の馬はごくごく普通の茶色の毛並みで、舞姫さんは灰色っぽい毛並みの馬で、さすがと言えばいいのか、唯さんが乗っているのはユニコーンであった!
俺以外は自分専用の馬を持っているのか!…うーむ、テイムの枠が余っているしな、闘技大会が終わったら俺も自分専用の馬をテイムしよう!
やっぱりと言うか、真司、舞姫さん、唯さんのユニコーンまでもが俺に近寄って来て、スリスリしたり唇でハモハモして来たのを見
て、真司は羨ましがるし、舞姫さんと唯さんに至っては、「処女厨のユニコーンが!」とか、「まさか、男の娘なのか?」とかちょっと離れてヒソヒソしていた。
うん…まぁ、あれだよね。
ちなみにだが、今回も俺の相棒となった馬は夜空である!
西へ真っ直ぐ向かっていると、遠くに大きな建物が見えて来た。
辺りに生えている木に比べると、かなり大きい事が分かる。
「あそこが修練の間だ!元々のモデルが東京ドームだぜ!」
「へー!」
「よぉーし!ちゃっちゃと行って、ご飯にし
よー!」
先頭を走っていた真司が、俺の隣に来て説明し、そのまま並走してどんどん修練の間へと近づいて行くと、今度は大勢の人が入り口周りに殺到していた。
「やっぱり混んでるね」
「そっすねー!取り敢えず馬を置いて来て中に入っちゃいましょう!」
「ヨシタカ君は迷子にならない様にね!」
「きっ気を付けます!」
「うわぁー!中すっごい広い!あと人多!」
中に入ってビックリしたのが、中の広さもあるが、沢山いるプレイヤーの方々だ!
真司の様にぱっと見コスプレ?って人もいるし、舞姫さんのように和装の人もいる。
でも、圧倒的に多いのが唯さんみたいな鎧を着ている人達だろうか?
闘技大会中に、建物の中に入るにはやり方があって、俺や真司の様に闘技大会に参加する人は、NPCから番号札を渡される。
俺に渡された番号札は、「パーティー初級12番」であった。
これは早い者順に渡されるため、上級や無差別級のプレイヤーは、初日は混む事が分かっているので、受付時間が始まると直ぐに取りに行くのだそうだ。
なので、真司や唯さんの番号は40〜番からであった。
もう1つだと、参加しないプレイヤー達で、こっちは入場料で1000G徴収されるみたい。
1週間分まとめて買うと、1000G値引きの6000Gで買う事が出来るみたいで、舞姫さんは1週間フリーパスを買っていた。
「まぁ、夏や冬のお祭りもこんなもんじゃないかな?慣れれば大丈夫だよ!」
「それより、座る場所どうすんだ?」
「あっ!コミケってやつですか?」
「ええぇぇぇー!ヨシタカ君もコミケ行くのー?」
「ほほう。売る側?買う側?コスプレ派?」
バッとこっちに寄って来て質問攻めに合うけど、二人共ちょっと怖いです!
「俺じゃなくて、姉ちゃんがよく行ってるんですよ。なんか…行く前の鬼気迫る感が凄いんですよね」
「まぁねー。ちゃんと準備しないと死んじゃうよね!」
「おいおい、無視すんなよー!」
「あはは!ごめんごめん!場所取って貰ってるんだよね。ちょっと失礼!」
そう言うが早いか、腰に装備しているシリンダー銃に1発分の弾を入れて、クルルルーと回した後に、空に向かって1発放った。
打ち上がったのは赤い色の花火で、周りの人達は「何だ?何だ?」と、こっちをみたり花火を見たり言っていたら、ちょっと離れた所から「ガォオオオオォォ!」と、猛獣の鳴き声が聞こえて来た!
「あっちだって!」
「やぁ。久しぶりだね」
鳴き声の方へ向かい、人の波をスルスルとすり抜けると、パッと辺りが開けた場所に出
た。
その中心にいるのは、白一色に身を包んだ白薔薇さんであった!
さらに.沢山の従魔が俺達を出迎えてくれていた。
なるほど、通りでここら辺がポッカリ空いている訳だ。
だってそこにいるのは、白いライオンや複数の猫達。
さらに、グリフォンやスフィンクスもいたりする。
「皆お久ー!白薔薇席取りありがとー!」
「なに、問題無いわ。他のメンバーはまだ来ていないわね」
「ウヒョー!もっもふもふ…もふもふがいっぱい!」
「ウブっ!わっ、ちょっと!」
真司はいつも通りに、変態感丸出しで従魔の方へ突っ込んで行ったけど、皆スルンって避けて俺の所へ来ると、こっちもいつも通りにスンスンと匂いを嗅がれた後に、ベロンベロンと舐められて行く。
「彼はあの時の…これは凄い」
「でしょー!昨日も唯っちのドーラにも好かれていたからねー」
「ここまで来ると、神がかってる」
「ハァハァハァ!お尻の毛最高!」
上から順に、白薔薇、舞姫さん、唯さん、くぐもって聞こえるのは、お尻の毛に顔を突っ込んでもふもふを堪能している真司である。
取り敢えず誰か助けてー!
「ふぅ…出来ればもっと早く助けて下さい」
「ごめんねー面白かったから!」
「ごめんね」
俺に群がっていた猫科の従魔達は、白薔薇さんの一言で離れて行ったので、試合会場を見るために観戦席の手前に移動している。
真司と灰白さん達は白薔薇さんの元でお留守番である。
「ちょいっと失礼!ヨシタカ君こっちこっちー!この下が試合会場だよ!」
「おおー!漫画とかでよく見る光景!」
観戦席から下を見ると、地面に4つのステージが設置されてある。
「ソロは25×25が4つ。パーティーとユニオンが50×50が2つ。レギオンが100×100が1つのステージで戦う」
「そっ!闘技大会は上位4名まで選出して、最終日に各部門の優勝者を決めるの!その後に表彰式をやるんだ!」
「初日と2日目は時間いっぱいまでやるけ
ど、その後は様子見しながら進んで行くか
ら、6日目とかは早目に解散になる事もあるよ。お昼頃とかね」
「まぁ、時間が空いてたらステージでライブ出来たりするよ!あっ!唯っち!」
「理解」
「ーーー!?」
試合会場の説明をしていたら、俺の左右にいた舞姫さんと唯さんが、何かに気付いと思ったら俺の頬にキスをしたのだ。
「えっ?えっ何?」
キョロキョロと二人の顔を見合わせている
と、二人がチョンチョンと上を指しているのでそっちを見ると、上に大きく4つ、下に小さく4つスクリーンがあり、今は上下で逆回転している。
そこの1つに俺達が映っていた。
「あそこにあるの見えるかな?白い丸いやつなんだけど」
舞姫さんが指している所を見ると、確かに空を浮遊している白く丸い物が見えた。
時折パチパチ瞬きの様な動きをしている。
「あれ、カメラ」
「えっ!そうなんですか?」
「そっ!あのカメラの映像が上のスクリーンに映っているの!ほらあそこにもあるよ」
確かに、空を探せば何個か見たかったけど、それとさっきのほっぺにチューの意味は?
「マーキング」
「マーキング?」
「あぁ、さっきのキスの事?唯っちの言う通りだよ!」
詳しく聞いて見ると、「このプレイヤーは私の物だよアピール」であるらしい。
ほとんどは、低Lvプレイヤーに対し高Lvプレイヤーがやったり、恋人同士や友人関係でやったりするらしい。
やり方は、女性は相手の頬にキスをして、男性は相手の手の甲にキスをするのであるらしい。
ちなみにだが、発祥はアーサーさんである。
もちろん相手は唯さんである。
最初の闘技大会の時にやったらしく、その後この様なイベントになっているのだとか。
確かに、スクリーンを見ると、映像に映る時にやっているプレイヤー達がいた。
「今日の出番は真司が出るかな?位だから、お昼食べながらのんびしよー!」
そう言われて、真司や白薔薇さん達の元へ戻り、遅めの朝食を食べながら近況を話した
り、もふもふなでなでしていると、ザワザワと辺りが騒がさしくなった。
その人達がこっちを見たり、遠くの方だとスクリーンを指差している人もいるので、スクリーンを見ると、ヤバい顔をした真司が映っていた。
「プッ…」
「クスクス」
「うわぁ…」
「おいおい…」
周りの反応の様に、俺も真司の顔に引いた。
うん、せっかくのイケメンが台無しだよ!
おまけ
「ーーーハッ!何やら遠くで凄く羨ましい事になっている予感がーー!」
「何言ってんだ。お前?」
「ヒッ!」
「どしたん?」
「うーん…何やら悪寒が」
「ん?ゲームの中だと風邪は無いしな」




