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待乳山聖天

明日は、久しぶりに会うさえずりや真司達と再会して浅草七福神を巡り、神様達にお参りする予定となっている。

その次の日からは闘技大会が始まりとなる、早いものでさえずりや真司と別れてから、もう1週間近くも経っている事になる。


1週間の事を思い出すと、七福神討伐は勿論だし、スノウ達の出会いや夜空との出会い、今後も相手にするかもしれないPK集団、スコーピオンとの出会いであったり、ちょっと残念なアーサーさんと、厳ついおじさんって感じのブッチャーさんに会ったりして、俺としては中々に濃い1週間だった。


リアルでは、真司とSNSで連絡を取っていたから、あまり寂しいとは思わなかったけど、さえずりはここでしか会えないから、淡いピンクの雀に早く会いたいのと同時に、どれ位強くなっているんだろう?とか、またうるさい日々の始まりか…なんて思ったりもする。


そのためにも、この鳥居の先のいる相手を倒さなければならないが、相手はかなり強いのだろう。

何故なら、今までの相手よりもここに居る神様の方が、純粋に戦闘能力がトップで戦の神様「毘沙門天」だからである。


一応ここで最後なので、ここに来るまで攻略情報を何度も読み返していた。

今まではなんとかなっていたから、ここでもなんとかなるとは思っていない。

最悪の場合は死に戻りもあるかな?と思っている。


「ふぅ…緊張するな。一応もう1回読んでおこう!」


鳥居に並び、順番を待っている間に再度攻略情報を読んでみた。


舞姫の七福神攻略情報!


待乳山聖天について


・待乳山聖天に祀られているのは、上杉謙信が自分の生まれ変わりだと思っていた、毘沙門天だよ!

ちなみに、単体だと毘沙門天で、四天王だと多聞天って呼ばれているみたい。


「何っ!奴がやられただと!」

「フッ…だが、四天王の中で、奴は最弱!」


みたいなのは無いからね!

何故なら、毘沙門天は戦の神様と言われている位だし、他の神様に比べると戦い方がガチ勢寄りだから、きちんと対応出来る様にしておくと後々楽になるし、動きや戦い方を観察して目標にするプレイヤーもいるよ!

特に、何かしらの戦闘術を学んだ事のあるプレイヤーには特にね!


待乳山聖天のエリアボスについて


・毘沙門天の特徴は、戦国時代の武人みたいな格好だよ!

ただ、愛が目印の兜みたいな、面白装備とかはしていないんだけどね。

基本は、三叉になった槍を使って戦うんだけど、例えば柔道を習った人が、ソロか柔道家オンリーのパーティーで行って、「柔道で勝負して下さい」って言うと、槍を捨てて柔道で勝負してくれる神様なんだよ。


ここが戦闘狂とか、格闘術習った事のある人達に人気の理由で、ソロや同じ武器の人達が何回も行っているいるなら、それは毘沙門天に教わりに行っている人達だよ!

勿論、基本戦闘スキルも、言えば同じ武器で戦ってくれるから、言ってみたらどうかな?

最適化された動きをしてくれるから、プレイヤースキル上がるよ!

ただ、戦い方がバラバラだったりすると、言っても「問答無用!」って感じで襲って来るんだけどね。


さてさて、そんな毘沙門天を討伐して貰えるお守りは、「武道の心得(微)」のお守りと「降魔厄除(微)」のお守りの2つで、お守りの性能は以下の通りだよ。


武道の心得(微)

効果 武道の心得があるならば、戦闘時に僅かながら威力を上げてくれるお守り。


降魔厄除(微)

効果 闇属性の相手に対して、僅かながら威力を上げてくれるお守り。


ここだけ〜のお守りじゃないんだよね!

さて、武道の心得は、真司みたいに何か習っているならば、取っておいた方が良いよ!


降魔厄除は、東京だと洞窟か夜にならないと闇属性のモンスターが出ないんだ!

だけど、取っておいて損は無いし、出来たら皆の分をゲットしようぜ!


ここのゲーム内にも道場とかがあるから、習うのなら行ってみるのも良いかもね!

勿論タダじゃ無いし、ゲームみたいにスキルとして表示されないんだけどね。


そうそう、武道の心得みたいなお守りは人型の従魔も適用されるけど、効果は重複しないから、もし、人型の従魔が出来たら、他の七福神や神様の所で入手する方が手間にならないかもね。


効果は、微、小、中、大、特の順に上がって行って、東京ならほとんどの効果は微か小になるね。

逆に、特は天国と地獄に行かないと入手出来ないんだよねー。

両方ともLvが500以上じゃないと、行ったとしてもLvが足りませんって、なって行けない場所なんだよ!


戦い方について


・毘沙門天の戦い方は、実にいい動きをしている!の一言に尽きるね。

あと、厄介なのが攻撃力が高いって事かな?

防御力100の場合だと、普通の攻撃で半分位HP削れるから、回復薬は上限まで持って行った方が良いかな?


勿論、毘沙門天は甲冑着ているから、防御力は東京ではかなり高い方だと思うよ。

他の七福神の防御方法は避ける位だと思うけど、毘沙門天は甲冑や槍でガードしてくるから、物理攻撃で切断系なら急所や隙間を狙うか、打撃ならひたすら頭を叩く位しないと、ほとんどダメージが入らないんだよね。

属性攻撃は普通にダメージが通るから、バンバンやっちゃいなー!


最後に


高い攻撃力と防御力を持ち、物理攻撃に強く属性攻撃に弱いとか、初心者殺しでここの毘沙門天は有名だよ!

まぁ、最初は防御力が紙同然の魔術師を選ぶ子って少ないのと、初心者と師範クラスの槍術使いとか、リアルで一戦しようとしたら、自殺行為だよねー


と、書かれていているので、ここに来る前に気になったのでショップに行き、魔術師の防御力はどれ位なのかな?って思ったら、なんと120であった!

俺の着ている一式の場合は、防御力250にスキルの効果が合わさり、260になっている。

最近俺自身のLvが上がり、もう5〜10位は防御力の高い防具を買えるのだが、それにしても魔術師の防御力は低すぎるだろうって、思っていたが、その分火力がかなり高く設定されているみたいで、攻撃力が280とかなり高かった。

なるほど確かに、友人達と一緒でなければソロで魔術師をやるには、いささか難しいかもしれない。


「ワン!」


「…っ!おっと!」


そんな事を思っていたら、灰白さんに呼ばれて意識を戻すと、鳥居の中から俺達の前に並んでいたパーティーが出て来た。

何やら気持ちスッキリとしているのだが、中で何かあったのだろうか?


「よっし!俺達も行くか!」


片手剣をグッと握り締め、気合を入れて、俺達も鳥居の中へと入って行った。





「クッ!フッ!」


突き、突き、突き!の連打をさっきから右、左と交互に避けたり、盾や片手剣で弾いたり叩き落としたりする。


その後に、ビュン!って音と共に槍での薙ぎ払いが来たのでしゃがんで躱してから、毘沙門天の懐へ行こうとしたら、そのままクルリと回転して側頭部へと蹴りを放って来たの

で、それより早く腕で頭をガードする。


「イッ!」


蹴りの衝撃でタタラを踏んでしまい、急いで毘沙門天へと意識を向けたら、腰を落とし、刃先へ添うように左手を前にしたポーズをしている。


「げっ!」


「フン!」


刃先が光ると同時にカッと目が見開きこちらへ向かって突いて来て、その先からブンッ!って音と共に衝撃波が襲って来た。


「うわっ!」


そのタメを作った後の攻撃はさっき喰らったぞ!

急いで盾を前にしてガードの姿勢を取るが、踏ん張れず、ガード仕切れないダメージと衝撃が直撃して吹っ飛ぶ。

そんな俺を追うように、ダダッ!と毘沙門天が追い掛けて来る。


「ガウ!」


「チッ!」


そうはさせるか!と、灰白さんが毘沙門天の前に飛び出して行く手を遮り、時間を稼いでくれている間に地面に着地して姿勢を戻し、急いで回復薬を飲む。


さすが戦の神様毘沙門天だ。

動きに無駄が無いし、攻撃がいちいち急所を狙って来るのだ。


ここに入って戦闘が始まるやいなや、いきなり顔面に向かって、槍での突き技が来た時は死ぬかと思ったわ!


それに、さっきの溜めた後の攻撃は毘沙門天の必殺技なのか、ガードした筈なのに2割近くのダメージを喰らっている。

こんなの、防御力が低い灰白さんに直撃でもしたら、大ダメージになるだろうけど、スピードでは灰白さんの方が上らしく、さっきからひょいひょいと毘沙門天の攻撃を避けている。


「チュン!」


「チュン!」


「ギャウー!」


紅緒、露草、こがねが、槍の攻撃範囲外から属性攻撃をタイミング良く合わせての連続攻撃をした後に、その場からササッ!と離脱する。

そして、さっき露草がいた場所に向かって石がビュン!って勢いで投擲された。


槍の攻撃範囲から離れていると、こうやって石を投げつけて来るのだ。

ダメージは槍より低いものの、1割近く減ってしまうので、さっきから遠距離で攻撃する際は、こうやって回避も一緒に行うのだ。


なるほど確かに、舞姫さんの攻略情報通り初心者殺しも頷ける!

ちゃんと対策をしたとしても、毘沙門天に翻弄されてあっという間にこっちがやられてしまうだろう。


「クッ!フッ!」


さっきから俺は毘沙門天に近よれず、ダメージを与えられない。

片手剣での攻撃範囲まで近寄れないのだ。

範囲内へ行こうとすれば、槍で牽制されたり殴られたり、蹴られたりして中々近寄れないのだ。

灰白さんは近寄れるものの、牙や爪は甲冑により塞がれてしまうので、さっきから牽制以外では体当たりで攻撃している。

真白はそんな灰白さんの背中に乗り、唯一肌が出ている顔に向かって飛び蹴りをしたり、足に攻撃をして体勢を崩したりと、サポートをしている。

紅緒達は毘沙門天から距離を取り、遠距離攻撃で応戦してくれている。


「全く!早く倒れろよー!」


そう叫びながら、着々と俺以外が毘沙門天のHPを削り取って行った。






「はぁー!疲れたー!」


バタッと、オレンジ色に染まった草原に精魂尽き果てて地面に突っ伏した。

それもそうだろう。

今まで戦って来た七福神に比べて、1回の戦闘時間がかなりかかったのだから。

さらに、俺が与えたダメージなどあったのだろうか?

いや、後半はだんだん毘沙門天の動きに慣れて来たので、何回かは甲冑の隙間に攻撃出来ていたはず!


やっと七福神全員の討伐が終わり、ノルマも終わった事なので、舞姫さんに「全部終わりました」ってメッセージを送り、ふーと草原に倒れてグッタリしていると、直ぐにプルルルルルルと電子音がして、目の前に真司と書かれているので、通話ボタンを押すと同時に画面が映り、中には真司達3人と1羽がいた。

真司、舞姫さん、唯さん、さえずりである。


『もしもし?よぉーユッキー!1週間ぶりくらいか?』

『やほやっほー!久々だねー!』

『ピチュチュチュン!』


「あっ…はい。お久しぶりです。あと、一斉に言われても対処出来ません!」


皆が映ったと同時に一斉に喋られても、誰が何を言っているのかが分からないから、返答に困るのだが…特に、さえずりの鳴き声でほとんど消されていたし。


『こっちが一段落したからさ、ユッキーに連絡しようか?って話になってな?そしたらユッキーから、終わったよメッセージが来たから電話したんだけど、今大丈夫か?』


「うん。大丈夫だよ。とりあえず、最後に毘沙門天と戦ってたからグッタリしてるけど」


『あはっ!毘沙門に絞られちゃったんだ!』


「はい。そんな所です」


『お疲れ様。とりあえず、預かっていたさえずりのLvとかは、今言った方がいいかな?会う時まで待ってればいいかな?」


あははは!と舞姫さんの笑い声が響く中、ひょこっと画面の中央に映ったのは唯さんで、その肩にはさっきまで飛び回っていたさえずりが乗っている。

心なしか、飛び回っていた時には気付かなかったが、さえずりをちゃんと見て見ると、随分凛々しくなっているように思える。


「うーん…会ってからでお願いします!どんなスキル覚えたとか、詳しい説明があったら直接聞きたいので!」


『うん。分かった。会ってからのお楽しみだね』


「はい!さえずり、楽しみにしてるね!」


『チュン!』


他のプレイヤーに従魔を貸し出していると、直接会わないとステータスが更新されないのだ。

なので、俺が見れるさえずりのステータスは1週間前の物になる。

口頭で言われてもまた聞き返したりしちゃいそうなので、ステータスが更新までのお楽しみだ。


『アハッウフフ…コッテリ指導されちゃったのね!ウフフ…ふー笑った笑った!』


『おいおい…笑い過ぎじゃね?』


『ごめんごめんって!それじゃあさ、明日のお昼奢るわ!課金でも大丈夫よ!』


「本当ですか!」


あまりに笑い過ぎな舞姫さんをジトーと見てたら、そんな提案をされたので、さっきまで笑っていたのを許してあげよう!


『もちろん!ただし、全員で5000円以内!」


「『ごちになりまーす!』」


『えっ?真司のは無いよ?』


『何でだよー!俺も頑張ったじゃんかよー』


と、地面にバタン!と倒れてジタバタして子供の様にゴネる真司。


「子供かっ!」


『アハハッ!ウソウソ!ちゃんと真司も労ってあげるわよ!それじゃあ、明日の12時に雷門の所で集合ね!』


『それじゃあ、呼ぶね』


『あーい!』


「分かりました!」


俺と一緒に、奢られる気満々だった真司を舞姫さんがからかった後、明日会う時間が決まり、唯さんがピィィーと何か笛の様なものを鳴らした。


『それじゃあな!ユッキー!明日皆をモッフモッフするぜ!』


「おうっ!てか、ユッキーは止めろ!」


そのままブツッと電話を切った。


とうとう明日から闘技大会が始まる!


31か1にもう1話上げれるかも?知れないです。


12月中まで、闘技大会に出るモブのお名前募集中です!

活動報告の方へドシドシご応募お願いします!

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