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蠍と蜘蛛と蜈蚣

現実では、最近地震や雪だそうですが、皆様お気を付けて下さい。

ちなみに、まだまだゲーム世界は夏が続いています。


今日寝る前にした真司とのメールで…


「おぃーーーーー!今日ムカデに狙われたって聞いたけど、大丈夫だったのか?」


「あれ?その情報どっから?一応無事だよ!アーサーさんとブッチャーさんって方に助けて貰ったから!」


「騎士王から唯さんで俺に来たんだよ!マジで唯さんから聞いた時心臓止まるかと思ったぜ!」


「そんな…心配してくれてありがと!多分、俺が唯さんの知り合いだって言ったからかも知れない」


「あったりまえだぞ!俺はモフモフが大事だからな!あーなるほど!」


「おいこら!」


「冗談はさて置き、あいつらの事言わなくて悪かった!多分、俺達と離れた所為もあるかも知んない」


「あーそれアーサーさんにも言われたけど、今回は俺が1人だったからね。一応、アーサーさんと、ブッチャーさんにPK集団の事を聞いたから、大丈夫だと思うよ!」


「ごめんよー!…あと、唯さんが「うふふ。アーサーマジうざいね」ってメール画面見ながら言ってたんだが、どうした?」


「あー…多分かなり長いメール文章だったからじゃないかな?俺とブッチャーさんに朗読劇の様に話しながら書いてたから…」


「あーたしか、騎士王は最強にベタ惚れだけど、軽くあしらわれてるって有名だから」


「あっやっぱり?」


「おう!薔薇みたいな花束送って、その場で切り刻まれたり、騎士ポーズで「あぁ、麗しの君よー」ってのを完全スルーで通り過ぎるとか、結構あげたらキリないけどな」


「それって、ストーカーで訴えられない?」


「それが、唯さんが申告しないから、何のお咎めも無いみたいだな。それに、会ったら行動に移すだけで、付きまとったりはしないみたいだし、戦闘中は一応まともみたいだし、まぁ、唯さんはお友達''だけ''ならって言ってるみたいだけど」


「あー脈なさそうだな」


「しょうがねえよ。騎士王は残念王とも呼ばれているからな」


「うん。それはよく分かる」


そのまま、今日の成果や、真司が今日やった事とかたわいも無い内容が続く。

まぁ、主にスパルタの愚痴だったのだが。


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


真司とメールする4時間程前。






「済まない。少々取り乱してしまったみたいだね。」


「アァ、イエ、大丈夫デス」


「やっと戻ったか。馬鹿め」


「いや、本当に済まない」


手で顔を覆いながら、ため息をこぼしたアーサーさんだが、俺としては少々取り乱したなんて感じでは無く、かなり取り乱している様に感じられた。

今の状態になるまでおよそ10分間は、ずっと俺と唯さんの関係を聞いてきたり、いかに唯さんが素晴らしい女性なのかを永遠と話続けていた。


そんな話は興味無いと、灰白さん達は俺達からちょっと離れて遊んでいたし、ブッチャーさんはひたすら無視して、ウィンドウで何やらやっていた。

俺自身は、「あぁ」とか「はぁ」の相づちをしていて、話は殆んど聞いていなかった。

いや、だってさ、「戦闘中になびく黒髪の美しさ」や「敵を見る(まなこ)で見つめられたい!」とか言われても、返答に困ちゃうじゃんか!


「坊ちゃんよ。落ち着いたか?」


「あぁ、ちょっと我を忘れてしまったよ」


えっ…あれがちょっとだと!


「ふむ。今後の事を考えて、ある程度はPKの事について教えておいた方が良いかな?」


「ここじゃあ、あれだから町まで送りながらでいいんじゃ無いか?」


片手を上げてブッチャーさんに応じた後、腕を組み右手を顎に当てて、暫し考えてから、真剣な表情で俺に問いかけて来たので、ブッチャーさんの提案に乗って、俺達は雷門へと向かいながら、PK講座が始まった。


「やっぱり…あぁ言う人って結構いるんですか?」


「多いと言っても、全体の10%未満いるかいないかだからな。狙われていない限り滅多に会うもんじゃ無いぞ?」


「それか、僕みたいな高Lvプレイヤーは狙われにくいかな?そもそも、PKにもルールがあってね…」


アーサーさんが言うにはPKのルールは以下が基本になって、所々でブッチャーさんが補正で追加説明をしたのを纏めると、こんな感じになる。


PKプレイヤーのアイコンは、通常プレイヤーと異なり、オレンジ色をしている。

ただし、スキルの「隠蔽」を習得している場合は、通常プレイヤーの様に青に設定する事が出来るし、諸々の情報も隠蔽する事が出来る。

例えば、性別だったり、職業だったり、もちろんギルドカードも隠蔽出来るらしい。

それを看破するには、スキルの「看破」を習得しなくてはならないが、スキルのLvが隠蔽よりも高くなければ、成功しない。


PKプレイヤーは自身のLvより100以下のプレイヤーを攻撃する事は出来ない。

これは低Lvプレイヤーを守る為の物で、低Lvプレイヤーを攻撃した際には、attack impossible(攻撃不可)と表示される。

この時に、囲んで10分間以上の間攻撃し続けた場合は、運営からお説教と言う名の忠告が来る。

ただし、低Lvプレイヤーが高Lvプレイヤーに攻撃する事は出来るが、その場合は攻撃不可が解除される。


「まぁ…東京だと、菜々緒が担当だから滅多に起きないぞ」


「えっ!そうなんですか?」


「そうなんだよ。ヨシタカ君知ってる?普段僕達が受けているダメージは、2割から3割位でしか無いんだけど、運営からの攻撃は100%のダメージなんだよね」


「しかも、菜々緒の場合は拷問だからな。あいつ、違反者に最初にしたのが爪の間に針を刺して行ったんだぞ!」


ギャーーーーー!

痛い痛いよそれ!


それで話を戻して、PKによる利点は、討伐したプレイヤーの経験値と所持金とアイテムが手に入るが、経験値と所持金は数%のみで、アイテムはランダムで選ぶ事は出来ないが、自身より高LvプレイヤーのPKに成功した場合は得られる物が比例して上がる。

ただ、逆に討伐されてしまうと、この反対の事が起こる。


「まぁ、基本はこんな感じかな?ただ、残念な事に、従魔は攻撃対象になっちゃうんだよね」


「あっ…それ、さっきの奴にも言われた気がする」


「詳しくは運営に聞かねぇと分からねぇが、従魔は元々モンスターだろ?それをプレイヤーと契約した感じだから、俺達とは違うルールがあるんだよ。知ってるかも知れないが、例えばだな…」


ブッチャーさんが色々と教えてくれたのは、これは俺の知っている通り、従魔は例えLvが低くとも県外に行ける事や、武器や装飾品が付けれる事。

あとは、Lvが低くともPKの攻撃に当たってしまう事。

知らなかった事は、何とプレイヤーが居ないパーティで行動出来る事だ!

もし、俺がやったとすると、半分に分かれて半分は七福神に、もう半分は別の場所で狩りに行くなどが出来るのだ!

どうやら、契約した従魔の数が多いと、連れてくのが大変だからと言う事で、運営に言って見たらこの様になったらしい。

なので、高Lvの従魔のみのパーティがダンジョンなんかにいるみたいだ。

ただ、モンスターに装飾品でアイテムポーチを付けないと、アイテムやお金がゲット出来ないみたい。

あと、人型の従魔がいないと使えないアイテムがあるみたい。

確かに、回復系の薬は蓋付いてるから、牙や嘴なんかじゃ開けにくいよね。


「まぁ、俺が知っているのはこん位か?」


「あと、種族ボーナスってのがあるよ」


「種族ボーナスですか?」


それは初耳だぞ!


「そう、パーティの本人以外の従魔が全て同じなら、ボーナスが付くんだよ。例えば…君の所にいるのだと、雀シリーズとかかな?」


それ以外にも、狼シリーズや兎シリーズもあるし、七福神の様な有名なのも揃えるとボーナスが出るみたいだ。

ただ、雷獣であるこがねの様なタイプはシリーズが無いみたいでちょっと残念。


「なるほど!でも、揃えるの大変そう」


「みたいだねー」


「あぁ、言い忘れていたがPKの特徴は、蠍と蜘蛛と百足だからな。これが体の何処かにあれば、そいつはPKだって事だ。隠蔽で消している奴もいるがな」


PKの構成員は、必ず蠍か蜘蛛か百足に入れなくてはならず、それぞれの正式名称がスコーピオン、女郎蜘蛛、スコロペンドラと、言われていて略して、蠍、蜘蛛、百足と言われている。


スコーピオンは蠍を模していて、罠や毒殺をメインとしたPKプレイヤーが入るギルドの事で、ヒッソリと獲物が来るのを待ち、罠にかけて殺すのを高みの見物で眺めている集団の事だ。

たまに、毒を塗った暗器で攻撃して来たり

する人もいれば、麻痺や睡眠で行動不能にして、モンスターに襲われるのを見ているなど悪趣味な奴もいたらしい。


「サソリ怖イデス…」


「あいつら無駄に罠や毒殺のスキル伸ばしてるしねー」


「探知系のスキルがあれば見つかるから、無かったら取っておけばいい。それか、獣系は罠に敏感だからテイマーかサモナーだったら1匹は連れて行くのが良いぞ」


次に女郎蜘蛛で、これは女性限定のグループの事で、名前そのままなのだそうだ。

男性に取り入り貢がせた挙句に、裏切ってポイッてやるみたいで、毎年哀れな男性プレイヤーが罠にかかるみたいだ。


「貢がせるだけなんですか?それもPKになるんですか?」


「彼女達に身包み剥がされるって事は、今までの苦労が水の泡って事だからね」


人によっては、貢がせるだけだったりするみたいだが、「ある程度の演技力と度胸が無いと出来ないよな」ってブッチャーさんが言っていた。

その理由を聞いてみたら、「あっ?貢がせるなら体の関係もするだろう?」って言っていた。


「うわぁ…」


「うんうん。若いねー」


「若いな」


ドン引きしてしまった俺の頭を、何故かご機嫌で撫で撫でするアーサーさんと、肩をポンポンするブッチャーさん。

さて、2人には何があったのだろう?


最後にスコロペンドラである。

これは、全てのPKプレイヤーが所属するギルドの事で、その由来は、百足の様に節々が俺達で、例え切断されてもしぶとく生きるという意味と、ムカデの持つ凶暴で後退しない

ってイメージも付いているのだそうだ。

だから、さっき見たいな好戦的な奴が多いと2人が言っていた。


以上の3つがこのゲーム内にいるPK集団の事で、それぞれ体の一部に、モチーフの刺青が入れているか、アイテムを所持しているみたいだ。

そんな彼らを略して蠍と蜘蛛と蜈蚣と言われているのだ。

まぁ、ものの見事に虫ばっかである。


「大体はこんな感じかな?助ける前に君の従魔達が警戒していたから、取り敢えず、罠や暗殺なんかは大丈夫だと思うよ」


「本当ですか!わぁ、2共偉いぞー!これからもよろしく頼むぞー!」


「わふ〜ん!」


「ぎゃう〜〜!」


俺が、感謝の印に思いっきり灰白さんとこがねを撫でてやると、「褒められたー!」と物凄いテンションの上がり方で喜んでいる。

ちょっ、嬉しいからって2人共顔をベロベロ舐めないで!


「あぁ…それに、普段のあいつらは東京にはあまり来ないからな」


「ぶぇっ?」


2匹にベロベロされて、変な声で返事しちゃった…


「たぶん、闘技大会があるから、東京に集まった獲物を物色って感じかな?」


「んで、俺達はその見回り」


なんと、人が大勢集まる毎年恒例の闘技大会では、PK集団とPKK集団の戦争が裏で行なっているみたいなのだ!

PK集団は、狙い目のプレイヤーを探すの

と、スキルの「マーキング」を相手に付ける目的があり、マーキングを付けると、一定時間マップに表示されてしまうらしい。

一応、マーキングの落とし方は、付けた相手が消すか、付けた相手を倒すか、教会に行ってお祓いをして貰うと落ちるみたい。

イヤイヤ、それってマーキングじゃなくて呪いでしょーが!


「僕達が偶然通りかかったらさー、君達が襲われているんだもん。本当はルール違反ギリギリだったんだけど、つい助けちゃった」


「えっ!そうだったんですか?」


詳しく聞いてみると、助けてくれたけど、アーサーさん達の行為は横殴りと呼ばれるのに該当するらしく、本来はやってはいけない行為みたいだ。

横殴りは、他のプレイヤーの獲物を横取りして倒す行為になり、暗黙の了解で緊急時以外はやってはいけない行為であった。


「ただ、僕達位のLvになると、相手の攻撃を受けないと反撃出来ないからねー。あぁせざるを得なかったと言うか」


「お前が注意を引いたお陰で、俺はさっくりとあいつの首を落とせたから良いんじゃないか?まあ、あいつがモンスターだったら色々と剥ぎ取れたのに…チッ」


ええぇー今、首を落とすって言った?言ったよね?聞き間違いじゃないよね?

良かった…見なくて良かった。

うぅ、グロいホラー怖いよー。


「ん?どうかしたかな?顔が真っ青なんだけど?」


「うひゃぁ!だっ大丈夫です!それより、解体って?何か出来るんですか?」


話題を変えなければ!

グロいホラーとはおさらばしなくては!


「あぁ、解体はスキルの一つで、そのまんまだよ」


「俺の家が肉屋で、趣味がジビエとかだか

ら、自然と肉の解体スキルが高かったみたいでなー」


聞いて見ると解体スキルは、NPCから教わって習得出来るスキルの一つで、戦利品をドロップで受け取るか、解体で受け取るかが出来るみたいだ。

解体の利点は、戦利品を余す事なくアイテムとして入手できる事であり、Lvが上がれば上がるほど、品質が高く、捌くスピードもあがると言う。

難点としては、ドロップに比べると時間がかかってしまう事と、長時間そのままにしていたら、肉が腐っていく事だろうか?


「あと、解体の注意点なんだけど、このゲーム変にリアルに凝っているから、解体スキルで捌くと血がドバーッてなるんだよ」


「一応、18以上にならないと起こらない現象だけどな」


うわぁーーー!

聞くんじゃなかったー!


「普段の戦闘も、血の演出を付けるか付けないかも設定で弄れるよ」


「ちなみに、今現在俺のエプロンはあいつの返り血で真っ赤だ」


「首を落とすと吹き出るもんねー。僕はこの防具が真っ赤になるのが嫌だからしてないけどね」


いやいやいや、それって1回はそうしたって事ですか?


「これも、18になったら設定の所にnewって表示されるな。…お前今幾つだ?」


「…19です」


「なら、出来るな。リアルに拘るんならオススメだぞ!」


「いや、大丈夫です」


うぅ、そんな演出絶対にやらない!

絶対に夢で見ちゃいそうだもん!

俺グロい系のホラーはダメなんだよーーー!


「あぁ、ほら。町が見えて来たよー」


アーサーさんが指差す方に、目印の雷門が見えて来た。

やった!これでグロい話とはおさらばだ!

なんか、今までの中で1番グッタリと疲れてしまった。



主人公はグロいのダメですが、作者は大好きです!

ジグ○ウさんがお気に入りです。

あと、ア○ンダ!



闘技大会前に皆さんにモブの名前の募集をかけるかも知れません。

その時はよろしくお願いします。

詳しくは後日報告させて貰います。

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