蠍と蜘蛛と蜈蚣
現実では、最近地震や雪だそうですが、皆様お気を付けて下さい。
ちなみに、まだまだゲーム世界は夏が続いています。
今日寝る前にした真司とのメールで…
「おぃーーーーー!今日ムカデに狙われたって聞いたけど、大丈夫だったのか?」
「あれ?その情報どっから?一応無事だよ!アーサーさんとブッチャーさんって方に助けて貰ったから!」
「騎士王から唯さんで俺に来たんだよ!マジで唯さんから聞いた時心臓止まるかと思ったぜ!」
「そんな…心配してくれてありがと!多分、俺が唯さんの知り合いだって言ったからかも知れない」
「あったりまえだぞ!俺はモフモフが大事だからな!あーなるほど!」
「おいこら!」
「冗談はさて置き、あいつらの事言わなくて悪かった!多分、俺達と離れた所為もあるかも知んない」
「あーそれアーサーさんにも言われたけど、今回は俺が1人だったからね。一応、アーサーさんと、ブッチャーさんにPK集団の事を聞いたから、大丈夫だと思うよ!」
「ごめんよー!…あと、唯さんが「うふふ。アーサーマジうざいね」ってメール画面見ながら言ってたんだが、どうした?」
「あー…多分かなり長いメール文章だったからじゃないかな?俺とブッチャーさんに朗読劇の様に話しながら書いてたから…」
「あーたしか、騎士王は最強にベタ惚れだけど、軽くあしらわれてるって有名だから」
「あっやっぱり?」
「おう!薔薇みたいな花束送って、その場で切り刻まれたり、騎士ポーズで「あぁ、麗しの君よー」ってのを完全スルーで通り過ぎるとか、結構あげたらキリないけどな」
「それって、ストーカーで訴えられない?」
「それが、唯さんが申告しないから、何のお咎めも無いみたいだな。それに、会ったら行動に移すだけで、付きまとったりはしないみたいだし、戦闘中は一応まともみたいだし、まぁ、唯さんはお友達''だけ''ならって言ってるみたいだけど」
「あー脈なさそうだな」
「しょうがねえよ。騎士王は残念王とも呼ばれているからな」
「うん。それはよく分かる」
そのまま、今日の成果や、真司が今日やった事とかたわいも無い内容が続く。
まぁ、主にスパルタの愚痴だったのだが。
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真司とメールする4時間程前。
「済まない。少々取り乱してしまったみたいだね。」
「アァ、イエ、大丈夫デス」
「やっと戻ったか。馬鹿め」
「いや、本当に済まない」
手で顔を覆いながら、ため息をこぼしたアーサーさんだが、俺としては少々取り乱したなんて感じでは無く、かなり取り乱している様に感じられた。
今の状態になるまでおよそ10分間は、ずっと俺と唯さんの関係を聞いてきたり、いかに唯さんが素晴らしい女性なのかを永遠と話続けていた。
そんな話は興味無いと、灰白さん達は俺達からちょっと離れて遊んでいたし、ブッチャーさんはひたすら無視して、ウィンドウで何やらやっていた。
俺自身は、「あぁ」とか「はぁ」の相づちをしていて、話は殆んど聞いていなかった。
いや、だってさ、「戦闘中になびく黒髪の美しさ」や「敵を見る目で見つめられたい!」とか言われても、返答に困ちゃうじゃんか!
「坊ちゃんよ。落ち着いたか?」
「あぁ、ちょっと我を忘れてしまったよ」
えっ…あれがちょっとだと!
「ふむ。今後の事を考えて、ある程度はPKの事について教えておいた方が良いかな?」
「ここじゃあ、あれだから町まで送りながらでいいんじゃ無いか?」
片手を上げてブッチャーさんに応じた後、腕を組み右手を顎に当てて、暫し考えてから、真剣な表情で俺に問いかけて来たので、ブッチャーさんの提案に乗って、俺達は雷門へと向かいながら、PK講座が始まった。
「やっぱり…あぁ言う人って結構いるんですか?」
「多いと言っても、全体の10%未満いるかいないかだからな。狙われていない限り滅多に会うもんじゃ無いぞ?」
「それか、僕みたいな高Lvプレイヤーは狙われにくいかな?そもそも、PKにもルールがあってね…」
アーサーさんが言うにはPKのルールは以下が基本になって、所々でブッチャーさんが補正で追加説明をしたのを纏めると、こんな感じになる。
PKプレイヤーのアイコンは、通常プレイヤーと異なり、オレンジ色をしている。
ただし、スキルの「隠蔽」を習得している場合は、通常プレイヤーの様に青に設定する事が出来るし、諸々の情報も隠蔽する事が出来る。
例えば、性別だったり、職業だったり、もちろんギルドカードも隠蔽出来るらしい。
それを看破するには、スキルの「看破」を習得しなくてはならないが、スキルのLvが隠蔽よりも高くなければ、成功しない。
PKプレイヤーは自身のLvより100以下のプレイヤーを攻撃する事は出来ない。
これは低Lvプレイヤーを守る為の物で、低Lvプレイヤーを攻撃した際には、attack impossible(攻撃不可)と表示される。
この時に、囲んで10分間以上の間攻撃し続けた場合は、運営からお説教と言う名の忠告が来る。
ただし、低Lvプレイヤーが高Lvプレイヤーに攻撃する事は出来るが、その場合は攻撃不可が解除される。
「まぁ…東京だと、菜々緒が担当だから滅多に起きないぞ」
「えっ!そうなんですか?」
「そうなんだよ。ヨシタカ君知ってる?普段僕達が受けているダメージは、2割から3割位でしか無いんだけど、運営からの攻撃は100%のダメージなんだよね」
「しかも、菜々緒の場合は拷問だからな。あいつ、違反者に最初にしたのが爪の間に針を刺して行ったんだぞ!」
ギャーーーーー!
痛い痛いよそれ!
それで話を戻して、PKによる利点は、討伐したプレイヤーの経験値と所持金とアイテムが手に入るが、経験値と所持金は数%のみで、アイテムはランダムで選ぶ事は出来ないが、自身より高LvプレイヤーのPKに成功した場合は得られる物が比例して上がる。
ただ、逆に討伐されてしまうと、この反対の事が起こる。
「まぁ、基本はこんな感じかな?ただ、残念な事に、従魔は攻撃対象になっちゃうんだよね」
「あっ…それ、さっきの奴にも言われた気がする」
「詳しくは運営に聞かねぇと分からねぇが、従魔は元々モンスターだろ?それをプレイヤーと契約した感じだから、俺達とは違うルールがあるんだよ。知ってるかも知れないが、例えばだな…」
ブッチャーさんが色々と教えてくれたのは、これは俺の知っている通り、従魔は例えLvが低くとも県外に行ける事や、武器や装飾品が付けれる事。
あとは、Lvが低くともPKの攻撃に当たってしまう事。
知らなかった事は、何とプレイヤーが居ないパーティで行動出来る事だ!
もし、俺がやったとすると、半分に分かれて半分は七福神に、もう半分は別の場所で狩りに行くなどが出来るのだ!
どうやら、契約した従魔の数が多いと、連れてくのが大変だからと言う事で、運営に言って見たらこの様になったらしい。
なので、高Lvの従魔のみのパーティがダンジョンなんかにいるみたいだ。
ただ、モンスターに装飾品でアイテムポーチを付けないと、アイテムやお金がゲット出来ないみたい。
あと、人型の従魔がいないと使えないアイテムがあるみたい。
確かに、回復系の薬は蓋付いてるから、牙や嘴なんかじゃ開けにくいよね。
「まぁ、俺が知っているのはこん位か?」
「あと、種族ボーナスってのがあるよ」
「種族ボーナスですか?」
それは初耳だぞ!
「そう、パーティの本人以外の従魔が全て同じなら、ボーナスが付くんだよ。例えば…君の所にいるのだと、雀シリーズとかかな?」
それ以外にも、狼シリーズや兎シリーズもあるし、七福神の様な有名なのも揃えるとボーナスが出るみたいだ。
ただ、雷獣であるこがねの様なタイプはシリーズが無いみたいでちょっと残念。
「なるほど!でも、揃えるの大変そう」
「みたいだねー」
「あぁ、言い忘れていたがPKの特徴は、蠍と蜘蛛と百足だからな。これが体の何処かにあれば、そいつはPKだって事だ。隠蔽で消している奴もいるがな」
PKの構成員は、必ず蠍か蜘蛛か百足に入れなくてはならず、それぞれの正式名称がスコーピオン、女郎蜘蛛、スコロペンドラと、言われていて略して、蠍、蜘蛛、百足と言われている。
スコーピオンは蠍を模していて、罠や毒殺をメインとしたPKプレイヤーが入るギルドの事で、ヒッソリと獲物が来るのを待ち、罠にかけて殺すのを高みの見物で眺めている集団の事だ。
たまに、毒を塗った暗器で攻撃して来たり
する人もいれば、麻痺や睡眠で行動不能にして、モンスターに襲われるのを見ているなど悪趣味な奴もいたらしい。
「サソリ怖イデス…」
「あいつら無駄に罠や毒殺のスキル伸ばしてるしねー」
「探知系のスキルがあれば見つかるから、無かったら取っておけばいい。それか、獣系は罠に敏感だからテイマーかサモナーだったら1匹は連れて行くのが良いぞ」
次に女郎蜘蛛で、これは女性限定のグループの事で、名前そのままなのだそうだ。
男性に取り入り貢がせた挙句に、裏切ってポイッてやるみたいで、毎年哀れな男性プレイヤーが罠にかかるみたいだ。
「貢がせるだけなんですか?それもPKになるんですか?」
「彼女達に身包み剥がされるって事は、今までの苦労が水の泡って事だからね」
人によっては、貢がせるだけだったりするみたいだが、「ある程度の演技力と度胸が無いと出来ないよな」ってブッチャーさんが言っていた。
その理由を聞いてみたら、「あっ?貢がせるなら体の関係もするだろう?」って言っていた。
「うわぁ…」
「うんうん。若いねー」
「若いな」
ドン引きしてしまった俺の頭を、何故かご機嫌で撫で撫でするアーサーさんと、肩をポンポンするブッチャーさん。
さて、2人には何があったのだろう?
最後にスコロペンドラである。
これは、全てのPKプレイヤーが所属するギルドの事で、その由来は、百足の様に節々が俺達で、例え切断されてもしぶとく生きるという意味と、ムカデの持つ凶暴で後退しない
ってイメージも付いているのだそうだ。
だから、さっき見たいな好戦的な奴が多いと2人が言っていた。
以上の3つがこのゲーム内にいるPK集団の事で、それぞれ体の一部に、モチーフの刺青が入れているか、アイテムを所持しているみたいだ。
そんな彼らを略して蠍と蜘蛛と蜈蚣と言われているのだ。
まぁ、ものの見事に虫ばっかである。
「大体はこんな感じかな?助ける前に君の従魔達が警戒していたから、取り敢えず、罠や暗殺なんかは大丈夫だと思うよ」
「本当ですか!わぁ、2共偉いぞー!これからもよろしく頼むぞー!」
「わふ〜ん!」
「ぎゃう〜〜!」
俺が、感謝の印に思いっきり灰白さんとこがねを撫でてやると、「褒められたー!」と物凄いテンションの上がり方で喜んでいる。
ちょっ、嬉しいからって2人共顔をベロベロ舐めないで!
「あぁ…それに、普段のあいつらは東京にはあまり来ないからな」
「ぶぇっ?」
2匹にベロベロされて、変な声で返事しちゃった…
「たぶん、闘技大会があるから、東京に集まった獲物を物色って感じかな?」
「んで、俺達はその見回り」
なんと、人が大勢集まる毎年恒例の闘技大会では、PK集団とPKK集団の戦争が裏で行なっているみたいなのだ!
PK集団は、狙い目のプレイヤーを探すの
と、スキルの「マーキング」を相手に付ける目的があり、マーキングを付けると、一定時間マップに表示されてしまうらしい。
一応、マーキングの落とし方は、付けた相手が消すか、付けた相手を倒すか、教会に行ってお祓いをして貰うと落ちるみたい。
イヤイヤ、それってマーキングじゃなくて呪いでしょーが!
「僕達が偶然通りかかったらさー、君達が襲われているんだもん。本当はルール違反ギリギリだったんだけど、つい助けちゃった」
「えっ!そうだったんですか?」
詳しく聞いてみると、助けてくれたけど、アーサーさん達の行為は横殴りと呼ばれるのに該当するらしく、本来はやってはいけない行為みたいだ。
横殴りは、他のプレイヤーの獲物を横取りして倒す行為になり、暗黙の了解で緊急時以外はやってはいけない行為であった。
「ただ、僕達位のLvになると、相手の攻撃を受けないと反撃出来ないからねー。あぁせざるを得なかったと言うか」
「お前が注意を引いたお陰で、俺はさっくりとあいつの首を落とせたから良いんじゃないか?まあ、あいつがモンスターだったら色々と剥ぎ取れたのに…チッ」
ええぇー今、首を落とすって言った?言ったよね?聞き間違いじゃないよね?
良かった…見なくて良かった。
うぅ、グロいホラー怖いよー。
「ん?どうかしたかな?顔が真っ青なんだけど?」
「うひゃぁ!だっ大丈夫です!それより、解体って?何か出来るんですか?」
話題を変えなければ!
グロいホラーとはおさらばしなくては!
「あぁ、解体はスキルの一つで、そのまんまだよ」
「俺の家が肉屋で、趣味がジビエとかだか
ら、自然と肉の解体スキルが高かったみたいでなー」
聞いて見ると解体スキルは、NPCから教わって習得出来るスキルの一つで、戦利品をドロップで受け取るか、解体で受け取るかが出来るみたいだ。
解体の利点は、戦利品を余す事なくアイテムとして入手できる事であり、Lvが上がれば上がるほど、品質が高く、捌くスピードもあがると言う。
難点としては、ドロップに比べると時間がかかってしまう事と、長時間そのままにしていたら、肉が腐っていく事だろうか?
「あと、解体の注意点なんだけど、このゲーム変にリアルに凝っているから、解体スキルで捌くと血がドバーッてなるんだよ」
「一応、18以上にならないと起こらない現象だけどな」
うわぁーーー!
聞くんじゃなかったー!
「普段の戦闘も、血の演出を付けるか付けないかも設定で弄れるよ」
「ちなみに、今現在俺のエプロンはあいつの返り血で真っ赤だ」
「首を落とすと吹き出るもんねー。僕はこの防具が真っ赤になるのが嫌だからしてないけどね」
いやいやいや、それって1回はそうしたって事ですか?
「これも、18になったら設定の所にnewって表示されるな。…お前今幾つだ?」
「…19です」
「なら、出来るな。リアルに拘るんならオススメだぞ!」
「いや、大丈夫です」
うぅ、そんな演出絶対にやらない!
絶対に夢で見ちゃいそうだもん!
俺グロい系のホラーはダメなんだよーーー!
「あぁ、ほら。町が見えて来たよー」
アーサーさんが指差す方に、目印の雷門が見えて来た。
やった!これでグロい話とはおさらばだ!
なんか、今までの中で1番グッタリと疲れてしまった。
主人公はグロいのダメですが、作者は大好きです!
ジグ○ウさんがお気に入りです。
あと、ア○ンダ!
闘技大会前に皆さんにモブの名前の募集をかけるかも知れません。
その時はよろしくお願いします。
詳しくは後日報告させて貰います。




