第36話 先端
今回は交渉編です
鬱蒼とした森が植民地海兵隊の眼前に広がっていた、隊員達は汗を拭き、水を口に流しのどを潤し、頭に水をかけていた
そんな彼らの任務は敵地偵察及び自然資源調査隊の護衛植民地海兵隊第1遠征海兵部隊と自然資源の調査が今回の目的だった
そんな中、二人の隊員が休憩を時間を利用して話していた
隊員1「ほんと、蒸し暑いなぁ、第4師団の連中が羨ましいぜ」
隊員1は水を飲みながら比較的、温暖な気候で植民地防衛任務に就いている、植民地海兵隊第4師団のことを羨ましいと発言した、その発言を聞いていた、隊員2は少し驚いた顔をしながら隊員1に向かって話し始めた
隊員2「聞いてないのか?」
隊員2は恐る恐る聞いたような聞き方で隊員1に尋ねた
隊員1「いいえ、全く」
隊員2の顔が曇り始めた、少し考えた後、重い口を開き始めた
隊員2「第4師団は連日、刀を持った武者みたいな連中に大打撃を受けているぞ、いつ何時殺されるかわからない状況下で第4師団は戦っている、それに、武者みたいな連中は弾を斬ったりと化け物じみた力を持ったのが多いみたいだ」
隊員1は隊員2の重苦しい話しを聞いて身震いした
隊長「おい!休憩時間は終わりだぞ!その思いケツを上げろ!」
隊員たちは立ち上がり再び行進を始めた
行進を再び始めて数十分後
先行している隊員「全隊行進止め!」
隊が行進を止めるのは未知の勢力との遭遇、敵の攻撃、行進不可能とされる障害物、休憩時間等だ、そして今回の行進が中止されたことについて隊員たちが小声でざわつき始めた時だった
?「おい!てめぇら、なにもんだ?!」
ドスのきいた男の声が隊全体に響いた、これにはみんなびっくりして銃構える者もいた
すると、その声に呼応するが如く、森から人が出て来た
いや、人では無かったのだ、頭に角が生えていたのだ
隊員1「ま、まさか、鬼か!」
隊員2「ま、まじかよ、始めてみたぜ」
隊員3「そんなことより、俺達囲まれてるぞ」
兵士達はざわつき始めた、列の前の方では大隊長と自然資源調査隊のが鬼と話していた
鬼「おい、てめぇら、俺たちの土地になんで入ってきてんだよ」
自然資源調査隊の隊長「どうも、私はこの一行の責任者の山瀬涼です、知らずとはいえあなた方の土地に勝手に入ってしまって申し訳ありません、我々は八雲西行寺連合合衆国の代表としてあなた方と交渉します」
この自然資源調査隊の隊長の山瀬涼は平時は外交官として他国と交渉しているため、その手腕が評価されて自然資源調査隊の隊長に抜てきされた
鬼「ちょっと待ってくれ」
鬼はどこかへと去って行ってしまった、それから数分後、山瀬と交渉していた鬼がもう一人の鬼を連れてきた
そのもう一人の鬼は少女だ、片腕を包帯でぐるぐる巻きにした
少女「こんにちわ、茨木華扇と申します、以後お見知り置きよ」
山瀬「はい、こんちわ、茨木さん」
少女はやさしく微笑みかける、山瀬にはその微笑みが純粋なものかそれとも試しているのか今は知る由もない
華扇「それで私たちに何のようですか?」
山瀬「はい、我々八雲西行寺連合合衆国はあなた方と一緒に共に繁栄したいと思っています」
華扇は少し顔を歪めたような素振りを見せた、それを見た山瀬は少し焦りながら話を続けた
山瀬「なので我が国と通商協定と同盟を結びましょう」
華扇は少し悩んだ素振りを見せつつ隣にいた鬼と少し会話を交わした
華扇「分かりました、ですが、あなた方と手を組むメリットがありません、聞くところによるあなた方はこの大陸にある国々を攻撃しているではありませんか?」
この言葉に山瀬は今こう思った「やばい、皆殺しにされる」と、華扇の言った言葉には脅しがあるように思えたのだ
山瀬「え、ええ、確かに我々の軍はこの大陸に存在するかなりの数の文明国と戦争中です、ですが、我々は攻撃されたから攻撃したまでであって決して武力侵攻をしようとは思ってはいません」
山瀬は華扇を説得した、これに失敗すれば我々はこの鬼族たちと戦争をするだけでなくここにいるみんなが殺されると直感で感じていた
華扇「ええ、それは分かっています、分かっていますが私たちはこの大陸から叩き出されてしまう、ただでさえ妖怪やら魔物といった人間以外の知的生命体をこの大陸の国々が追い出そうとしている、そのためあなた方に関わっても我々が迷惑を受けるだけだ」
山瀬「ならばメリットを付けましょう、我が軍はこのままこの大陸の文明国を占領又は同盟にして見せます、我々はそれを約束しましょう、さらに、食糧支援や医師の派遣と言ったとこまで我々は幅広い支援を行う所存です」
華扇は悩んでいた、もし、八雲西行寺連合合衆国に付けば、我が民族は飛躍的な発展が遂げられるだろうと、だが、果たしてこの国は我々のことを騙そうとしていない見張っていた
女性の声「おい!なんで私抜きで外交が始まってるんだ?」
兵士達が突然、ザワザワしていた、そう、彼らはその女性に見覚えがあるからだ
山瀬「あ、あなたは星熊元国防大臣様ですか?」
※八雲紫の関係者と西行寺幽々子の関係者以外、今は殆ど別の大臣達になっている、あの内閣の編成は第二次幻想郷大戦が起こった時に臨時として変わる仕組みである
勇義「あんたらの軍門に下る気などさらさらないよ、俺達鬼族は」
華扇「ちょ、勇義!このままだと戦争よ」
勇義「そのこと望むところだよ」
勇義の出現により一気に空気が交戦ムードに突入した、これに山瀬は大隊長と話す許可を貰い二人で今後を話した
山瀬「大隊長、これはやばいですよ」
大隊長「今回は撤退しましょう、いくら何でも分が悪い」
山瀬「ですが、それでは植民地に被害が」
大隊長「そんなことを気にしていると我々の命が危ないここは大人しくここを立ち去るべきです」
山瀬「分かりました、それではそのここは引き上げましょう」
山瀬は悔しい思いで勇義と再び交渉を開始した
山瀬「星熊元国防大臣様、我々はこれ以上の鬼族との関係悪化を懸念して、今回は引き上げましょう、ですが、今後とも鬼族の関係者が我々の植民地に危害を加えるような事態が起これば、それ相応の対応させていただきます」
勇義は山瀬に向かって鼻笑いをして、近づいてきた
勇義「そうか、脅しをするほど君たちには鬼と戦う実力があるのか?それは楽しみだな、いつでも相手にしてやるよ、何なら今でもいいんだぜ」
山瀬「星熊さん、あなたは我々を裏切るつもりですか?」
勇義「いや、俺たちは俺たちの土地を守るためあんたら侵略者と戦う、裏切ったのあなた方のほうだろ?それに、我ら鬼族がこの大陸にいることを知っているはずだ、それを知っててこれだけの軍隊を送り込んだ、これは宣戦の意思があると理解しても問題はないのでは?」
大隊長「もうやめだ、こいつらに言ってもだめだ」
山瀬がこれに反論しようと発言する前に大隊長がこの交渉を強引に切り上げた
勇義「そうか、ならば仕方ないな、お前らはここで死ね」
この一言で第1遠征海兵部隊の周りを囲んでいた鬼達は一斉に植民地海兵隊に飛びかかった
次回は戦闘編