15 御対面~ハードルは高めで~
一旦退勤した僕が昼になってシュシュを片腕に抱いて隊長の執務室に入ると、中にはボガード隊長と滅多に詰所にいたためしの無いヴォルグ副長までが顔を揃えていた。
「……何を拾って来た小僧」
「この前報告したじゃないですか。特例措置の保護対象です。やっと落ち着いたので顔見せに連れて来たんですよ――――――ちょっ…副長は勝手に触んないでください!怯えてるでしょ」
「なんだお前、花宿に誘っても一向に乗ってこないと思ったら幼女趣味か」
「頭腐ってんですか副長」
だからあんまり此処にシュシュを連れて来たくなかったんだよ。
爺ぃも中年も見るからにアレな強面で、まず堅気の人間とは思えない風貌をしてるから。
絶対、怯えるって!
厳つい頑固親父がそのまま年くって、更に気難しい年寄りになりました!な爺ぃさんと、始終他人を小馬鹿にしたような目付きで薄ら笑いを顔に張り付けた、明らかににどっかおかしい不良中年。
この子でなくとも絶対ひく。
せっかく時間をかけてリハビリしたのに、台無しだよ!
「………シュシュ。あのお爺さんは怖そうに見えるけど子供好きだから君の事は苛めないよ。そしてこっちのオジサンは乱暴そうに見えて本当に乱暴者だけど、男にしか暴力は振るわないから大丈夫」
何処まで通じてるかは分かんないけど、取り敢えずフォローは入れておかないと!
実際この二人が顔以外でシュシュを脅かす事は無いはずだし。
隊長なんかシュシュに怯えられて内心ガッカリしてるんだろう、眉が僅かにしょんぼりと下がってる。
「いずれきちんとした保護者が必要になるだろうが……それまでお前が責任持って面倒を見ろ。今のところお前に一番なついてるとハナから報告が来とる」
「了解」
「今から仕込んで好みのオンナにするテもある」
「死ね」
滅びてしまえ!
ひとの心の癒しに何て事言いやがる、中年!
執務室を出た後、緊張して強張った表情のまま肩にしがみついてるシュシュの頭を撫でて笑いかける。
頑張ったしね。
リハビリの成果は確実に出てる。あの二人を前にして泣いてパニック起こしたりしなかっただけでも偉い。
抱き上げているから視線が丁度同じくらいの位置にあって、必死に『怖いけど頑張ったもん!』とうるうる涙目が訴えかけてくる。
思わず頭を抱き寄せて目元にキスをしたくなったけど、この前医師によってもたらされた『シュシュのお年頃疑惑』が頭を過ってどうにか踏み留まった。
あんまり過剰な接触は控えるべきだよね…。
ここのところ例の夢見もあまり良くなくて、毎朝しょっぱい気分で目を覚ましてる。
何故だかあっちでも悩んだり落ち込んだりしてる場面ばかりが続いて、現実に引き摺ってしまいそうだ。
主に真珠の事で。




