二七 塚原機動部隊進撃す
一九四二年一月二日、午前二時過ぎ。(現地時間)
ウィリアム・ハルゼー海軍中将率いる第一六任務部隊、つまり合衆国海軍太平洋艦隊の別動隊は、二五ノットの速さでハズバンド・キンメル海軍大将率いる本隊と合流すべく北西の方角に真っ直ぐ進んでいた。
艦隊は潜水艦の襲撃を避けるために灯火管制をしいて、一二隻の駆逐艦のうち四隻を前衛に、八隻を輪形陣の外側に配置して対潜警戒にあたらせていた。
そんななか、旗艦である航空母艦「エンタープライズ」の作戦室の椅子に、ハルゼーは一人で座り物思いにふけっていた。
考えることはただ一つ。昨日の航空戦のことである。
ヨークタウン級空母二隻分の艦上機を失って得た戦果はわずかに撃墜三四(実際は二九)。
そもそも、日本機動部隊に攻撃をかけるはずだったのだが、その機動部隊さえどこかへ消えてしまった。
代わりにいたのはマーシャル諸島からやって来たとしか考えられない大戦闘機部隊。
「これはいったいどういうわけだ……」
ハルゼーは珍しく呟いた。
最初は恐れをなして逃げ出したのかと思った。
しかし……系列的に見れば英国海軍の弟子である帝国海軍の精神は見敵必戦のはずであり、逃げたとは考えにくい。
第一、五隻の空母を抱えている有力な機動部隊なら、こちらに向かって攻撃をかけてくるのが普通である。
……ではなぜ消えたのか?
もしハルゼーがあと一〇分でも考え続けていれば、それが正しいことなのかはともかく何かしらの結論を得ていただろう。
とは言っても、世の中そんなにうまくいくものではない。
「ドンぴしゃり、大当たりだな」
帝国海軍の潜水艦部隊である第四艦隊が持つ、ほとんど唯一の対艦攻撃専任部隊……第二潜水戦隊司令官の市岡寿海軍少将は、旗艦の「伊号第一三潜水艦」の潜望鏡を覗きながら不敵な顔でつぶやいた。
「長符二つ、発信!」
市岡がそう命じると、海上に突き出ていた潜望鏡に取り付けられている通信アンテナから長符「--」が発信される。
「今頃、敵さんの通信室で『微勢力電波を確認』といった報告が上がっているところですかね」
「伊一三潜」艦長の小泉麒一海軍中佐がそう言うと、狭い発令所内の乗員達は皆一様に微笑を浮かべた。
「水測、敵の推進機音に変化は?」
「今の所ありません。こちらに向かってくることも無く、ひたすら直進しています」
「今の所は、賭けに勝ているようだな。さて、艦長」
「はい、発令所より水雷。魚雷発射用意!」
市岡が発した一言から全てを察した小泉は、艦内電話に向かって力強く命令する。
「水雷より艦長。雷撃距離八〇〇〇メートル、発射用意完了です!」
「了解、撃て!」
小泉の号令と同時に、潜望鏡深度で懸吊状態をとっていた「伊一三潜」は軽い振動と共に艦首の魚雷発射管から、六本の九七式五三,三センチ魚雷を漆黒の太平洋に放つ。
海中にあっては確認する術が無いが、「伊一三潜」の左右に二隻ずつ、さらに米艦隊を挟んで反対側に五隻が展開している、第二潜水戦隊に所属する一〇隻の伊号第九号型潜水艦がほぼ一斉に放った合計六〇本の酸素魚雷は、航跡をほとんど残すことなく、本隊に合流することを第一に考えている第一六任務部隊を挟み込むように突き進んでいるはずだ。
「潜望鏡そのまま、後進微速。次発装填、かかれ」
電動機の微かな駆動音が発令所に響く中、小泉は自身が発した新たな命令が、結局の所より安全な場所への退避行動でしかないということを悟っていた。
基本的に、潜水艦の魚雷の次発装填というものは、駆逐艦のそれに比べて時間がかかる。
駆逐艦の場合、魚雷格納庫にある魚雷にワイヤーを引っ掛けて発射管に収めればそれで済むが、潜水艦はまず発射艦内の海水を排出してからでなければならない。さもなければ、発射管の艦内側の扉から海水が艦内に勢い良く浸入してくるからだ。
つまるところ、魚雷の再装填が終わった頃には、敵艦隊は遥か遠くに去ってしまっている。伊号第九号型潜水艦の水中速力は一〇ノットに満たないし、まさか浮上するわけにもいかない。
「大丈夫だ、艦長。連中、まさか魚雷に挟み込まれているなんて想像もしてはおらんのだからな」
小泉の心情を察したのか、市岡が彼の肩に手を置いて話しかけてきた。
確かに、気付かれてはいない。
闇に閉ざされた海上に、少しだけ突き出た潜望鏡が視認出来るとも思えないし、レーダーにかかったとしても目標が小さくて誤差と認識される可能性のほうが高い。
攻撃開始の合図として、「伊一三潜」が放った“長符二つ”は間違いなく傍受されているであろうが、何も知らない米軍の通信士に、この“M”の意味する所が分かるはずはない。
もっとも意味は分からなくとも、近くに潜水艦が潜んでいることは分かる。
しかし、ハワイはオワフ島の真珠湾を出撃後、潜水艦による接触を頻繁に受けていた米軍にすれば、その近くにいるという潜水艦も、索敵任務を帯びて単艦で行動しているものであると思うだろう。
今回に限って、偵察機や他の潜水艦から集められた情報を基に、自分達がの通る予定の針路上に攻撃任務を帯びた潜水艦が多数配置されているなど、思いつくわけがないのである。
「本艦両舷より魚雷航走音!」
「面舵一杯!」
「『サラトガ』被雷!!」
何の前触れもなしに、しかも間髪入れずに伝声管から絶叫が聞こえてくると、ハルゼーは恐るべき知らせをに半ば反射的に椅子を飛ばして羅針艦橋に向けて走り出した。
羅針艦橋にたどり着いたハルゼーの目に飛び込んできたのは、あろうことか両舷に魚雷を受けたのか猛火に包まれ濛々とした黒煙に包まれた巡洋戦艦「サラトガ」の姿だった。
「……ここから見ただけでも、少なくとも五本の魚雷の命中を確認しました」
艦橋にいた当直士官が力無く言う。
帝国海軍の魚雷は、列強海軍のそれに比べて強力であるという噂は、ハルゼーの耳にも入っている。「サラトガ」もうは助からないだろう。ハルゼーがそう思ったとき、水上見張り員の絶叫が再び聞こえてきた。
「『ユナイデット・ステーツ』ひら、あ!『チェスター』『オーガスタ』も被雷!……『レンジャー』被雷!」
ハルゼー部隊は二隻の空母を中心にその周りを六隻の巡洋戦艦が、さらにその周りを四隻の重巡と二隻の軽巡が、そして一番外側に八隻の駆逐艦を配置した巨大な輪形陣を組んでいる。
そのおかげなのか、さすがに輪形陣の中心まで到達した魚雷はなかったが、それでも被害は甚大だった。
沈没……巡洋戦艦「サラトガ」「レンジャー」、重巡洋艦「チェスター」「オーガスタ」、軽巡洋艦「フェニックス」、駆逐艦三隻。
大破……巡洋戦艦「ユナイデット・ステーツ」……後に自沈。
中破……巡洋戦艦「レキシントン」、重巡「ミネアポリス」。
「潜水艦だと……何ということだ」
「エンタープライズ」が今更ながら右に回頭し始めるなか、ハルゼーは力無くうめくしかなかった。
「上手くいったか……」
一時間後、つまり日本時間午前〇時。
神奈川県日吉の連合艦隊総司令部で参謀長の宇垣纏海軍少将が言うと、かたわらにいる海軍中尉の階級章を付けた女性士官が地図上に、“レ戦三”という旗につけかえられた駒を置いた。
「レキシントン級の半分を沈めたわけだな。第四艦隊、そして第二潜水戦隊はよくやってくれた」
反対側から連合艦隊司令長官の山本五十六海軍大将が満足そうに言う。
「これで敵の戦艦と巡洋戦艦は合わせて一五隻。強大であることには変わりありませんが、それでも少しは楽になったかと」
「こちらは一〇隻だからな……後一月遅ければ一二隻で戦えたわけですけどね」
帝国海軍の最新鋭戦艦である大和型戦艦……「大和」「武蔵」……は今、日本海で公試と訓練に励んでいる。
「武蔵」は史実と違い、司令部設備を載せる必要性がないため「大和」とほぼ同時期に完成した。もっとも間に合わないことに変わりはないが。
「間に合わないものは仕方ありません。……といっても艦の数はともかく、主砲の数でも相当まずいですね……」
首席参謀の黒島亀人海軍大佐が、分かりきってはいるが残酷な現実に対してぼそりと言う。
と言うのも、まず一六インチ……つまり四〇,六センチ砲の数が、サウスダコタ級とノースカロライナ級は三連装砲を三基、コロラド級と三隻が太平洋に消えたレキシントン級は連装砲を四基であるから合わせて一一〇門。
テネシー級は一四インチ……つまり三五,六センチ砲を三連装四基だから、二隻合わせて二四門。
対する帝国海軍は、四一センチ砲を信濃型が三連装四基、伊勢型が連装四基載せているから合わせて六四門。
三六センチ連装砲を四基載せている天城型は四隻いるから、合わせて三二門。
「確かに攻撃力では劣っている。しかし防御力では勝っていると思うがね」
そんな参謀達の不安を吹き払うかのように山本が言う。
そう、テネシー級はともかくその他の合衆国海軍の戦艦及び巡洋戦艦は、自身の搭載する主砲の射撃を防ぐだけの装甲を持たないという欠点を抱えていた。
その点、帝国海軍の戦艦は自身の主砲はもちろんのこと、信濃型の主要防御区画にいたっては、四六センチ砲にも耐える厚みを持っている。そう簡単にはやられないはずなのだ。
さて、山本達が今更ながら敵味方の戦艦について論じているころ、合衆国海軍太平洋艦隊旗艦の「サウスダコタ」のCICでは、司令長官のハズバンド・キンメル海軍大将が、親友の犯した大失態に顔を真っ赤にさせていた。
「ブルの奴は一体何をやっているんだ! 艦上機を半分失ったと思ったら今度はレキシントン級を半分だ」
しかし、一人怒っているキンメルの周りを囲む参謀達はまた別の見方をもっていた。
すなわち、「ワシントンがマーシャルを攻撃させるからだ」ということだ。無論誰も口には出さない。
「しかしどうしましょう。第一六任務部隊の駆逐艦は九隻にまで減ってしまいましたし、それらは皆沈没艦の乗員を乗せていますから、また再び潜水艦が攻撃を仕掛けてきたとき、防ぎようがありません。まだ日の出まで時間がありますから、哨戒機もあげられませんし」
「うむむ、確かにそのとおりだ。……致し方ない。『レキシントン』と『ミネアポリス』をパールに戻そう。沈没艦の乗員と一緒にだがな……それから本隊からも応援部隊を捻出して、迎えにいかなければならないだろうな」
ちなみにこの時、キンメル率いる本隊から見てハルゼー部隊は南東の方角約一〇〇キロという、極めて近い所に位置していた。
……それから約二〇分後。
ノースカロライナ級戦艦の「ノースカロライナ」と「ネヴァダ」を中核とし、ブルックリン級軽巡洋艦四隻、ベンソン級駆逐艦一二隻を抱える太平洋艦隊第二別動隊……第二任務部隊は南東に舵を切った。
司令官はレイモンド・スプルーアンス海軍少将。
目指すは一〇〇キロ先にいる第一六任務部隊……面目丸潰れのハルゼー部隊である。
そして分離からわずか一〇分後、一隻の駆逐艦が突然輪形陣から離れていった。
何のまえぶれも無しに行われたこの行動に、スプルーアンス以下第二任務部隊の幕僚達は唖然とした。
しかし、この駆逐艦の目的は三分後に明らかになった。
「『我、敵潜水艦を一隻撃沈。これより艦隊に復帰する』か、先に連絡ぐらい入れて欲しいものだ」
スプルーアンスがぼやく。
ぼやきながらもスプルーアンスは何とも言えない不安にかられた。……奴ら、潜水艦は見ている。我々の行動を……良くないことが起きなければいいが……
「友軍潜水艦より入電!『我、敵艦隊発見。戦艦一〇、巡洋艦二三、軽空母四、駆逐艦』ここで切れました。索敵工程表通りに行動していた場合の位置は……本隊からの方位二七〇度、距離三八〇海里です!」
スプルーアンスのどす黒い疑念をよそに、新たな報告が入る。
「やっと見付けましたな」
「あぁやっとな……それで機動部隊はどうした?」
「まだ見つかっていないようですね……」
スプルーアンスの参謀長が不安そうに言う。
しかし存外に早く、別の潜水艦から報告が入った。
「『我、敵機動部隊発見。 空母七、巡洋艦七、駆逐艦多数』位置は本隊からの方位三三〇度、距離二七〇海里です!」
「……七隻か、やはり別にいたわけだな」
スプルーアンスはつぶやき、そして軽く笑った。
まだ分離してから一時間程しかたっていないため、ハルゼー部隊を視界に捉えることはまだ出来ない。
とは言えあのハルゼーのことだ。名誉挽回とばかりに戦闘機の発進準備をしているだろう。顔を真っ赤にして部下に指示を出すハルゼーの顔を頭に思い浮かべると、笑わずにはいられない。
だがすぐに、スプルーアンスは真顔に戻り考え込んだ。
……なぜ今まで見つからなかったのか?
距離的に索敵機が見つけられなかったのは分かる……しかし潜水艦はそれこそ、どっちゃりとばらまいたのだ。なぜ引っ掛からずにそこまでこられたのか…
今更ながらスプルーアンスは帝国海軍の対潜能力を甘く見ていた自分と、太平洋艦隊司令部を呪った。
そして、それからさらに一時間後。
帝国海軍第一機動艦隊の空母群の飛行甲板は、てんやわんやの大騒ぎになっていた。
なぜなら第一次攻撃隊の出撃準備中なのだ。
“豊富な航空戦力をもって敵艦隊に先制攻撃を加え、後の艦隊決戦において味方に有利な状況を作るために徹底した航空攻撃を行う”との、冥二号作戦における第一機動艦隊の役割を果たすために、単独で敵艦隊近くまで進出してきた同艦隊は、まさにその真価を問われようとしていた。
ちなみに塚原艦隊を発見し、スプルーアンスが自分達を呪う原因を作った潜水艦はもういない。
この潜水艦は気づいていなかったようだが、実は空母はもう一隻いるのだ。
これは無論戦闘用ではなく、三三機の搭載機中二一機が対潜哨戒機型の九六式艦上攻撃機という編成で臨んだ、潜水母艦改造の軽空母「蔵王」である。
……この「蔵王」の他にも帝国海軍は二隻の改造空母と一〇〇機を超す対潜哨戒機型の九六式陸上攻撃機及び艦攻、四〇隻近い数の駆潜艇や小型駆逐艦、小型護衛艦をいわゆるミクロネシア地域にばらまいて、米潜水艦を片端から沈めていた。
一部太平洋艦隊が放った索敵機の索敵範囲内に入ったものも当然いたが、航空機は青を基調とした迷彩塗装をしており、低空飛行をしていたため運良くばれなかったのだ。
またさすがに空母はそこまで深入りしないし、駆逐艦等は単艦行動なのでこれも運良くばれなかった。
さて、話を戻そう。
七隻の空母の飛行甲板には猛訓練を受けた熟練の水兵達によって、第一次攻撃隊の機体が整然と並べられている。
すでに暖気運転は済んでおり、空母も風上に向かって最大戦速で走っている。
司令部巡洋艦「矢矧」の羅針艦橋にあってその様子を静かに見守っていた司令長官の塚原二四三海軍中将は、発艦準備が完了したのをみてとると、直ちに発艦命令を出した。
各々の空母では、「かかれ!」の号令を受けた塔乗員達が、弾かれるように愛機のもとへ駆け寄り操縦席に飛び込む。
整備兵達はそれを確認すると、車輪止めを外して主翼の下に潜り込む。
艦橋や甲板には手の空いている乗組員や幹部達が並び、思いっきり帽子を振っている。
塔乗員達は軽く敬礼すると、ブレーキを解除しスロットルを全開にして機体を走らせる。
冥二号作戦に参加する空母に特別支給された上質なハイオクガソリンで、機内タンクと胴体下に吊るした落下式増槽を満タンにした零式艦上戦闘機は華奢な見た目にそぐわない軽やかさで、五〇〇キロ徹甲爆弾を胴体内の爆弾倉に搭載した艦上爆撃機“彗星”と、八〇〇キロ航空魚雷を胴体下に吊るしている九六式艦上攻撃機は、いったん飛行甲板よりも低高度に沈んで乗組員達の寿命を縮めてから浮かび上がる。
ただし、油圧カタパルトを装備している蒼龍型航空母艦だけは例外で、重い艦攻も勢い良く飛び出していく。
零戦一四四機、彗星九〇機、九六艦攻九〇機の合わせて三二四機の第一次攻撃隊は、しばらく艦隊の上空を旋回していたが、総指揮官の淵田美津雄海軍中佐搭乗の九六艦攻を先頭に隊形を整えると、東の方角に向かって進撃を開始した。
……さらに一時間後。
第一次攻撃隊は寸分たがわぬ航法技術を発揮して、目標とする太平洋艦隊の本隊をその視界内に捉えた。
その上空には、第一七任務部隊の二隻のロングアイランド級軽空母が搭載してきたありったけの艦上戦闘機……三六機のF4Fワイルドキャットが舞っている。
ハルゼーの第一六任務部隊も応援のF4Fを放っているが、まだ到着していないようである。
迎撃機の存在を認めた第一次攻撃隊の中から、零戦隊の総指揮を任された板谷茂海軍少佐の乗機を含めた六四機の零戦が制空隊として前に出る。
数において劣勢なF4Fも決死の覚悟で向かって来る。
航空戦は所詮数だけで決まると言われているが、もちろん技量と経験も求められる。
その点、初めての実戦でかつ配属先が軽空母の……おまけに重要視されていない……米軍パイロットと、フィリピンにおいて実戦を経験し……配属先も正規空母で、おまけに最重要視されている……の日本パイロットでは大きな差があるのだ。そもそも、数の上でも問題にならない。
たちまち三六機のF4Fは零戦の群れに押し潰され、艦爆や艦攻を攻撃するどころか自分の身を守ることで精一杯となった。
そしてその脇を、八〇機の零戦に守られた艦爆と艦攻が悠々と通り過ぎて行く。
「我、これより敵艦隊に対し攻撃を開始する」
淵田美津雄海軍中佐の指揮官機から無電が打たれ、続けて信号弾も撃たれる。
これを受けて、まず高橋赫一海軍少佐や江草隆繁海軍少佐等に率いられた彗星隊が対空放火の中に向けて猛然と突撃を開始し、淵田や村田重治海軍少佐に率いられた艦攻隊は援護の零戦隊を引き連れて低空に舞い下りていく。
これが、後に“ウェーク島沖海戦”と呼ばれることになる大海戦の始まりである。