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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン3-イスキュロン編-
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第七十三話 イクチ一族の野望



対決直前!

※今回、文章の一部分に作家としては大変不適切な描写が含まれておりますが、秋本という敵のしょうもなさをアピールするための演出ですのでご了承ください。

―前回より―


「遂に残るは私一人か……だが何も問題はない」

 西校舎一階会議室で一人待ち構える秋本の顔は、自信に満ち溢れていた。

「ツジラ一味を打ち倒すことなど、イクチ一族最強の妖術師と呼ばれたこの私の力を持ってすれば赤子の手を捻る程に雑作もない事だ。来るが良い、ツジラ・バグテイル……我が天上天下天地無双の力を以て、己の愚かさを思い知らせてやる……」

 秋本の手に握られているのは、真珠のような宝石で出来た数珠と煌びやかな装飾の施された蒼い細身の剣であった。

「『絶海刀』、『神授珠』……偉大なるイクチ一族の最長老達によって創り出されしこれら法具の力は、並大抵の魔術具を遙かに上回る力を持っていると言っていい」

 秋本は現在、自分という存在に心底酔いしれていた。

「そう、私は自分に酔う事が何より……って、おいナレーション。というか作者」

 ん? 何?

「貴様三次元世界住民の分際で人聞きの悪い事を言うな。産まれながらの天才であるこの私が自己陶酔マニアの変態ナルシスト野郎な訳が無いだろうが」

 いやぁ、そう言われてもねぇ。そう設計・構築しちゃったし。

「ならばそれは設計や構築に不備があったんだろうな。肝心な所でしくじるお前らしいことだ」

 バカかテメェ。肝心な所でしくじるっつーのはまだ認めるが、キャラの設計しくじる創作家が何処にいる?

「居るだろう、日本に。何でも、かの吸血鬼と噂される某漫画家は、ある敵役の異能について理解しきれていなかったと噂されるているそうだ。それと同じように、お前は私について不理解であるが故に私の設計と構築を間違えたんだ」

 はぁ? 何それ? オメェこそ1シーズン限りのゲストボスの分際で作者に生意気言ってんじゃねぇよ。そもそも仮に設計ミスがあったとして、只でさえ少ない読者から指摘される事なんざ希だっつの。まだ誤字の指摘の方が多いだろ。

「ええい、五月蠅い! 落ち零れのヘタレ学生の分際で生意気だぞ! もうよい、こうなったら私自身で私について解説してやらねば!」

 かくして秋本の身勝手な思い立ちから――

「黙れ! お前は喋るな! さて、読者諸君。あんなクソ作者は放っておいて早々に私こと秋本・九淫隷導・康志及び我々イクチ一族についてのスポォティーでビューティーかつゴッディーな華麗なる生い立ちについてご説明しよう! 我々イクチ一族とはそもそも、カタル・ティゾル創世の時代―まだ陸に生命体が居なかった頃から、魔術の基礎を確立させ海底に高度な文明社会を築いていた! その頃より海中の生態系の頂点に立っていた我々は、如何に野蛮な種族をも寛容に受け止めようとした。だが知性のない野蛮で愚劣な下等生物共は我々の崇高な愛を受け入れず、それどころか愚かにも我々に牙を剥いて来た! 我々の力を以てすれば奴らを滅ぼすことなど雑作もない……だが寛容な我々の祖先はそれを良しとせず、無用な争いを回避する為深海の辺境へと逃れた……だがそこからが試練の連続だったのだ……」


―長いので省略―


「かくして最長老達は激闘の末絶海刀と神授珠を守り抜いた。さて、次に私の生い立ちについてだが」


―長いので省(ry―


「つまり私は世界中に恋人が居るというわけだ。あの48人は所詮使い捨てでしかない。読者諸君が驚くのも無理はないが、私のようなカリスマにとってこの程度当然の事なのだ。つまり私のようなデキるカリスマ男は毎日がハーレムなのだ。どうだ、羨ましいだろう? 羨ましく無いはずがない。男とは皆総じてハーレムの中枢に憧れるものなのだからな。それこそ男が男である意味! そして存在価値であ――ぐばらべっ!」


 突如現れた巨大な岩石球が秋本を吹き飛ばし、その拍子に秋本の体内からくすんだ色合いの太い内蔵らしき物体が飛び出した。内蔵らしき物体はすぐさま蛇のような動きで嘗て秋本だった鰓鱗種の亡骸へ這い寄り、秋本の声で喋りだした。

「何という事だ……よもや私の妖術で抜群の鮮度を保っていたこの身体がここまで崩壊するとは……」

 さて、ここで言及するまでもなく読者諸君は既にお気づきかと思うが、この内蔵らしき物体こそが士官学校教頭代理の秋本・九淫隷導・康志の真の姿である。その実態はつい十数年ほど前にある生物学者が進化論否定派に対抗するため実験目的でヌタウナギに遺伝子操作を施し鰓鱗種に近付けたものである。その完成度は極めて高く、学者は見事進化論否定派を閉口させることに成功した――と、それだけならばまだ良かったのだが、何処を間違ったのか知性と寿命が予想以上に向上し生物学者に反逆。おまけに変な偽の記憶と魔術の力まで獲得したこの個体は、自らをイクチ一族なる妖怪氏族の天才妖術師であると自称。

 生物学者の体内を食い荒らし殺害した後、その死体を操って巧り研究者の財産を全て金に変え逃亡。各大陸の方々で女を誑かしては貢がせ、働かずして多額の金を稼ぎ続けていた。今回士官学校に入り込んだのは士官学校を裏から支配し自身の支配下に置く為であった。

「さて、これからどうするべきか……」

 秋元が頭を抱えたその時、講堂の扉が勢いよく吹き飛び、中に何者かが入ってきた。

「お邪魔しま~す。何時もニコニコ貴方の街まで這い寄る狂気、ツジラ・バグテイルです!」

「おかえりなさいませご主人様。チオペンタールナトリウムに致しますか? 臭化パンクロニウムに致しますか? それとも塩化カリウムで御座いますか?

はーい、順番に全部ですね。畏まりました。ケミカル魔法少女・青色薬剤師です」

「貴方の余命は、今日限りでしょう……どうも。ニコラ・フォックスです…」

「『さぁ、お前の罪を数えろ……』」

「このイモウトキシンと…」

『アニジキニンが…』

『「許しはしないッ!」』

「秋本……お前の敗因は断った一つ…」

「たった一つのシンプルな答えだぁ…」

「お前は私を怒らせ…」

「俺に喧嘩を吹っ掛けた…」

 見渡せば、いつの間にか秋本の眼前にはツジラジメンバーの7名が立っていた。

「秋本……てめえの天下もこれまでだぁ……」

「ほざけクソガキ! イクチ一族は常に全ての上にあるのだぁ!」


かくして秋本軍最後の一人、鮫系禽獣種改め自称イクチ一族の妖術師、秋本・九淫隷導・康志との対決が始まる。

次回、イスキュロン編(予定上の)最終話!

何時もと違った最終決戦はきっと見逃せない(凄くしょうもないかもしれないけど)!

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