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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン3-イスキュロン編-
50/450

第五十話 これは軍人ですか? 6.はい、どちらも瀕死です




繁は一度宿に戻り、ひとまず報告

―前回より―


「さて」

 その日の夜、宿(とは言っても値段の割に所々中途半端に設備や待遇の良いビジネスホテル)の一室に集った我等がツジラジのメンバー達。

「今日は一部で『生存している』という噂の流れているリューラ・フォスコドル元陸軍少佐に実際に会ってみたわけだが、凄かったな」

「うん、凄かった。まさかあんなオチになるとは……」

「あの手の怪物は普通狡猾で打算的な性格で、寄生対象を操って暴れ回ったりするのがスタンダードなもんだけど」

「もしくはあのまま取り憑いて殺害・捕食なんてパターンもありますよね」

「しかしフタ開けてみれば何て事はない、恋するピュアな熱血少年っぽい奴だったと」

『いやぁ、ヒトは見掛けに寄らないなんてのはしつこく言われますが、まさか謎の怪物相手にもそれが通用したとは……』

「んで、まあなんつうかアレだ。昼間も言ってたが、あいつ等出すぞ」

「「「『は?」」」』

「いやだから、出すんだよあいつ等を」

「出すって、何処から?」

「何だ香織?女の癖に鈍いな。出すっつったら病棟からに決まってんだろ」

「あぁ、成る程」

「そっちでしたか」

「いやいきなり出すなんて言うから何かと思って」

『成る程確かに、あの二人をメンバーに誘い入れることが出来れば戦力になるだけでなく、普通のラジオらしい企画もしやすくなりますね』

「だろ? 何時も血生臭い企画ばっかりってのもアレだしよ、予め録音しといたのを電波ジャックで流しゃ良いんだから家でくっちゃべりつつ反省会出来るし、編集出来るしな」

「ゲームは?」

「カードの類なら何とか可だな。向こうにデッキ置き忘れたからこっちで組み直さねぇと……あ、禁止制限も向こうと違ってたらヤベェな……キーカードが揃うかどうか……」

 等と雑談に花を咲かせつつ、五人の会議は進んでいく。


―翌日の隔離病棟―


 繁は再びリューラの部屋へと面会に訪れていた。適当にツジラジについて説明した後、リューラをあくまで合法的に病棟外部へ連れ出す作戦を説明した。奇妙な事に詳細な説明がなされたのはバシロのみであり、何故かリューラには簡単な指示と気構えについての説明があっただけだった。

 そしてその日の夜。リューラは作戦を実行に移す。

「(確か、まずコップに水道水を半分より少ないぐらいまで注ぐ…っと)」

 リューラは細心の注意を払って作戦を実行する。

「(それをこぼれないように回して……机の上に置き40数える…)」

 そして四十秒後。

「(あとはそれを飲んで二十秒以上したら、非常用呼出しブザーを押して……)」

 等と考えながら待っていると、リューラの体を突然凄まじい発熱・動機・息苦しさが襲う。

「(っぐぉぁぁっ…なん、だ、、この……発熱と、息苦しさはっ…)」

 苦しみ転げ回るリューラは、ふと繁の言葉を思い出す。


『何があっても状況を疑うな。恐れず段取り通りにやれ』


「(そうだ……段取り通りに……仮に奴が私を殺すつもりだったにせよ、ここで助けを呼ばなきゃ死んじまう!)」

 リューラは必死の思いで這って動き、乱暴に非常用呼出しブザーを叩く。暫くブザー音が鳴り響き、スタッフからの応答が返ってきた。

『どうしました?』

「苦しい……助……助けてくれぇっ! 苦しい…熱い……今…にも、今にも、死にそうだぁぁ!」

『畏まりました。直ぐに救護班を其方に呼び寄せます』

「あ…ああ……なるべく、早く頼む……(クソ……何だこりゃあ……マジで死ぬんじゃねぇか私……つか、バシロの野郎……何処行った……?)」

 原因不明の発熱・動悸・息切れに苦しめられたリューラの意識は、時間が経つにつれて加速度的に薄れていく。そしてリューラの病室に救護班が到着したとき、倒れ伏した彼女の身体からは既に体温が消え、脈拍も途絶えてしまっていた。

 この事はすぐさま軍上層部に連絡され、会議の結果死因調査の為司法解剖が決定。急遽ラビーレマより専門家のチームが召集される事となった。

リューラ・フォスコドル、まさかの死亡!?

次回、リューラ&バシロの運命や如何に!?

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